たかしくんと三枚のお札

たかしくんはあるとき、一人で留守番することになりました。

お母さんが出かける前にこう言いました。

「たかし、もしものときはこの三枚のお札を使うのよ。」

たかしくんはとても賢いので自分の運命を素直に受け入れて、来たるべき時に備えることにしました。


たかしくんが留守番中にタブレットを触っていると、しきりにアドセンスが飛び出してきて、たかしくんを誘惑します。

どうしても我慢できないのでたかしくんは一枚目のお札を使うことにしました。


○ebmoneyカード3000と書いてあります。

課金してたかしくんは無事、読みたいウェブコミックを読むことができました。

でも、まだまだお母さんが帰ってくるまでの時間はあります。

時間つぶしに基本無料ゲームをやっているとガチャ更新メンテまであと2時間なのに気が付きました。

あと5000円ほど入れたら天井までいけそうです。


しょうがないのでたかしくんは二枚目のお札を使うことにしました。

現在では白くなっていますが、旧称「黒いカードマン」です。

ちょうど5000の奴なので、無事メンテまでに間に合いました。


まだまだお母さんが帰ってくるまで時間があります。

最後のお札を使おうとしてたかしくんは考えました。

最後のお札はりんごのマークだったのです。


お母さんがりんごユーザーなのを知っていたたかしくんは考えに考えて、最後のお札を使わないことにしました。

我慢できる人の方が将来的に高報酬になるのをネットサーフィンで知っていたたかしくんはとうとうお母さんが帰ってくるまで我慢できました。


「ただいま、たかし。いい子にしてたね。」

「お帰り、お母さん。僕、我慢できたよ。」


そんなたかしくんは今年で42歳になります。


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