第34話 記録更新

 おはようございます。昨晩もツバメがきました。しかも団体さんです。シャラノキの先端の枝に五羽のツバメが一斉に止まろうとしました。そのせいで一羽も止まることができません。

 空中戦に発展しました。一羽がホバリング状態で蹴りを入れます。当然の権利と言わんばかりに蹴り返します。他のツバメも参戦して鳴き始めました。

 私は縁側で冷酒を飲みながら眺めていました。

 一羽のツバメが逃走を図ります。他のツバメも同じ方向に飛び去って、一羽もいなくなりました。

 ぼんやりとした目でシャラノキを見て、十五分ほど粘ったあと、部屋に戻ります。キャベツを千切りにしてアツアツの鶏の唐揚げの横に沿えました。夕飯を食べる前にどうにも気になって庭の様子を窺います。

 薄暗い中、シャラノキの枝に一羽のツバメが止まっていました。無事に勝利をもぎ取ったようです。ですが、私は疑いの目を向けました。


 あのツバメはいつも来ていたツバメなのでしょうか。


 見分けがつかないので思い込むことにします。それにしても我が家のシャラノキが、あれほどの人気スポットだったとは、全く気付きませんでした。


 今日の午後七時はどうなるのでしょうか。騒動をさかなに一杯、なんてことを考えると飲みたくなるのでグッと堪えて仕事に集中します。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る