第22話 少し痛い話
この間、新しい眼鏡を買いました。度数は同じなのですがとてもくっきりと見えます。買い替えて正解でした。
かなり前にも眼鏡を買いました。切っ掛けとなった出来事を思い出したので書いてみます。
その日は
ホームに向かう下り階段を嫌って横手のエスカレーターを選びました。両手が物で塞がった状態なので手すりを使うことができません。
終わりが見えてきて一歩を踏み出します。ですが、早過ぎました。何もないところを踏み抜いた形となり、身体が前に傾きます。両手は塞がっていたせいで抗うことができず、
「少し吞み過ぎたかな」
照れ隠しに呟いて停まっていた電車に乗りました。先に乗車していた人達が一斉に私を見ます。意味がわからなくて取り敢えず、笑ってみました。
「大丈夫ですか!?」
一人の女性が驚いたような顔で近づいてきました。
「はい、大丈夫です」
「でも、酷い出血ですよ」
言われて初めて気が付きました。コートの胸の辺りを見ると血で真っ赤になっていました。もしかして、このふらふらする感じは出血によるものなのでしょうか。膝から崩れ落ちるところを女性に支えて貰い、電車は動き出しました。
「次の駅で救急車を呼びましょうか」
「大丈夫です。自分の足で帰れますから」
「止血させてください。私、看護師なんです」
その後の処置はぼんやりしています。眼鏡を外してハンカチのような物を当てられていたような気がします。下りる駅がきた私は、ありがとうございました、と女性に頭を下げました。
やはり、ふらふらしながら家に帰り着くと、今度は集まっていた親族達に驚かれました。見た目が血塗れなので。救急車を呼ぶよりも速いと車で運ばれ、救急病院に連れて行かれました。
結果ですが、鼻筋の辺りが切れていました。倒れた衝撃で目の周りの骨が折れていました。眼球には問題が無くてほっとしました。
最後に眼鏡を見て寒気を覚えました。眼鏡の片方のレンズが中程で内側に折れていました。その状態で踏み止まって眼球を守ってくれたようです。
コンタクトから眼鏡に変えて、本当に良かったと心の底から思いました。あと眼鏡が壊れて痛い出費になりました。これで私の少し痛い話を終わります。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます