第16話 収穫はいいのですが
じめじめとした季節に入りました。雨は降らなくても曇り空が多く、沈んだ気持ちになります。そんな人間の事情に左右されず、庭の野菜は元気です。十話でちらりと書いたスナップエンドウが豊作を迎えました。
最初は喜びました。厚みのある実を選んで収穫して炒め物にしました。歯応えがあり、噛むと甘い汁が口の中に溢れます。
次の日は茹でました。用意した辛子マヨネーズに付けて食べます。夕飯の
更に次の日は細切りにしてみそ汁の具に使いました。同じように切って卵とじにもしました。朝食向きです。
まだまだ獲れます。白い可憐な花が全て厚みのある実になっているようでした。
明太子マヨネーズ、ツナマヨネーズ、辛子マヨネーズ、ワサビマヨネーズと数を増やし、飽きが来ないようにローテーションを組みます。完璧な布陣は崩れることがありません。
ということはなくて、一週間ほどで飽きました。白い悪魔から生まれた緑の三日月は我が家の食事情に食い込み、
今日も窓から庭を見ますと根腐れをすることなく、スナップエンドウが元気に育っています。風に煽られた実がブラブラと一斉に揺れ始めます。食べて食べてと大合唱しているような騒々しさが目を通して伝わりました。
私は呆然とした状態で眺めていました。
「……ケチャップも試そうかな」
新しいソースを口にしました。
そんな時に新しい発見が。立てた支柱の合間に白い花がちらほらと見えました。
恐るべし、スナップエンドウなのでした。
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