第2話 どんでん返し
カクヨムの愛用者、愛読者で知らない人は、たぶんいないのでは。それくらいに大きなコンテストが開催中です。サイトの名前が冠としてついています。
『第6回カクヨムWeb小説コンテスト』
長編に新しい部門ができました。どんでん返し部門です。運営さんが期待する作品として三つのポイントが挙げられていました。とても間口が広くて、どのようなジャンルであっても、どんでん返しが内容に含まれていれば参加できそうに思えました。
そこで私は『家族ダンジョン』を書くことに決めました。十一月下旬の話になります。時間がありません。十二月一日から作品の募集が始まります。
うんうんと唸りながら作品の内容を考えました。思い付いたことをアクセサリのメモに書き留めて、ようやく
募集初日、ストックのない状態で書き始めることに。毎日更新で十二月二十四日の今日を迎えました。七万字が目前となり、ほっとしています。どうやら締め切りには間に合いそうです。
ですが、ここで問題が起こりました。運営さんが希望する参考図書の発表です。目にした私の心は揺れました。心の中心に投げられた一石は、少なくない波を立たせました。
挙げられた書籍はミステリに思えました。間口が一気に縮まってカテゴリーエラーという言葉が大きくなりました。
私の作品は正当な評価を受けられないかもしれない。そのように思った時、作品のフォロー数、十三が目に留まりました。
ああ、そうだった。
週間ランキングが発表される前は作品はある意味、平等に扱われていました。明確な順位は無くて、ランダムで表示されます。上位も下位もない。純粋な運で読者の目に留まる機会に恵まれます。その時に入った自作のフォローはとても大切で、少ない数だとしてもしっかりとした命綱になります。
ランキングが発表されて順位が下位になっても、そのフォローの数が作者を支えてくれます。更新すれば相手に伝わり、読んで貰える。評価されればハートや星が貰える。その応援が嬉しくて書き続けることができる。
作者も読者も皆が幸せになれると思いました。
参考図書の発表で積み上げてきた小さな幸せが崩れる可能性が出てきました。
カテゴリーエラーを恐れた作者がジャンルを変えるとします。ここまで積み上げてきたものを全て壊し、他のジャンルで一からの出発になります。評価が元に戻る保証はありません。一度はどんでん返し部門に出した作品です。最後まで読まないと話の全体が見えて来ない。知っている人は読むのをためらうかもしれません。
最初から最後まで面白く書ければいいのですが、どんでん返しを鮮やかに決める為には、ある程度の苦しさを前半に持ってくる必要があると、私は考えています。
作品の中で主人公は奮闘します。がんばっているつもりで空回り。それでも諦めないで前を向いて突き進む。苦しい時を過ごしたあとに訪れる、どんでん返しで一気に内容が変わり、華々しい最後が読者の目に鮮やかに広がる。そのような展開を望んで多くの作者さんは書いていると思います。
カクヨムコンテストの長編のどんでん返し部門に参加している、一参加者の私はそのように思うのです。細くてもしっかりした命綱は今でも私を助けて、書き続けることを陰ながら支えてくれています。とてもありがたいから、命綱を自らの手で切りたいと、どうしても思えないのです。
カテゴリーエラーかもしれないですが、私は命綱を手にして、しっかりと上を目指して進んでいきます。応援してくれる方々に、ありがとうと伝えたくて書きました。
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