06
「野原さん、秘書課に異動なんですってね?すごいなぁ、羨ましい。」
「羨ましい?」
受付業務中、隣の同僚が楽しげに話しかけてきて、一花は首をかしげた。
「だってあの秘書課でしょう?イケメンツートップに挟まれて仕事できるなんて凄いじゃない!」
「……ああ、そういうこと。」
勝手にいろいろと想像をしては盛り上がる同僚と特に興味のない一花との温度差は激しく、イケメンツートップと言われてもピンとこない。
容姿端麗でテキパキと手腕を発揮する人気のある社長、柳田直己。
それを影から支える聡明な秘書、向井政宗。
そんな二人の側で仕事ができることは大変に光栄で勉強になることは間違いない。
そういう意味ではラッキーだとは思うが、同僚の言う“羨ましい”がそれを指しているわけではないことは一花もわかっていた。
一緒になって盛り上がれたらどんなに楽しいことだろうとは思う。思うのだが、まったくそんな気持ちは沸き上がってこない。そういうことは苦手なのだ。
不安と期待を織り混ぜながら異動した初日、いきなりいろいろなものが崩れ落ちた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます