つかみの大切さ(一話の文字数について)



 つかみは大事だって言いますよね。ことにweb小説では。

 読まれるかどうかは、つかみにかかってると言っても過言ではありません。


 のっけからショッキングな場面や、さきの気になる展開にすることも大事なんですが、物語の進行上、そうもいかないんじゃい、という人も多いはず。


 ただ、誰にでも簡単にできる対処法が一つだけあります。


 単純なことなんですよ。

 これまでにも、つかみに限定してではなく、再三このエッセイでも言ってきたんですが。


 それは……文字数です。一話における文字数ですね。

 これをつい最近、自作で実感しました。


『宇宙は青蘭の夢をみる』

 ヒロインを女の子に変えてカクヨムコンにぶっこむという荒技をやってのけたんですがw


 PV数があるていどたまってきたところで、全体の詳細なPVを確認してみたんです。カクヨムって一話ずつのPVがたしかめられるじゃないですか。


 最初に見たとき、全体が1000PVくらいだったかな?

 序章が80ていど、続く一話めが75、二話めが35でした。(だいたいそのくらいだった。完全に記憶してるわけではない)


 序章は1200字くらいの文字数しかなく、短めなんですよ。いきなり火事のシーンで子ども死にかけてますしね。

 そこから次話のあいだでの離脱率はほとんどないんだけど、一話から二話で半数以下に減る。これは痛い。


 だいたい、どんな話でも、一話離脱は顕著です。とくに、固定のフォロワーさん以外の一見さん。パッと見てすぐ去る人は一定数いる。

 それは僕もほかの書き手さんの読むときにするので、しかたない。自分の好みじゃないとわかったら、読まないですからね。一話めはそういう人のための試し読み期間なわけです。文体があわないとかなら、もうどうしようもないし。


 それにしても、半数はな。なんとかならんのか?


 そこで、僕が着目したのは文字数です。ふだん、僕は2000弱を目安に一話を書いてるんですが、宙夢の最初のころは、まだエブリで書いてたので、あんまり一ページという概念がなく、だらだら続けてたんですよね。それをあとでムリヤリ分割したので、一話めが3200字、二話が1900字弱というアンバランスになってしまいました。


 3000は多いな。とくに、うしろのほうで展開早くなってからなら、まだいいけど、冒頭一話めが3200は長い。

 というわけで、ちょっと切れめとしてはよくなかったけど、800字あまりを一話から二話へ移動。

 この状態で数日ようすを見ました。


 次に見たとき、一話めが84人、二話めが42人……変わっとらんがな。半分になってるから、気持ち持続率あがったか? というていど。


 そこで、一話だけ読みなおして、ここはいらないと思う描写を150字ていど消去!

 たかが150字。されど150字。

 読むのがかったるくなる風景描写や設定の説明描写を重点的にけずったので、だるさはかなり解消。


 するとですね。そのあとの一話離脱率が明らかに減ってる。離脱率が減ってるってことは、次話への誘導がうまくいってるってことですね。


 現在(これ書いてる時点で)、全体で約2300PVのなか、一話めのPV98、二話めが55です。


 これを単純計算すると、一話めのあと、残ってくれた人は56%……なんだけど、最初に見たときの75、35をひいて計算すると、じつに86%が二話にまで手を伸ばすように!

 最初のときの持続率は46%なので、40%も向上した。

 たった150字で、これだけの違いが出てくるとは。


 じつはちょっと前に、とあるかたの自主企画に参加したので、参考に参加者の作品を全作品チラ見したんですよ。ホラー企画なので、ホラーばっかりなんですが。


 そのとき、ほとんどの人はキャラクターの設定や外見の説明描写、そのあと事件や謎などの説明、さらにそこに行きつくまでに長々と場所(風景ふくむ)や、場所に行きつくまでの道筋の描写が続く人も多かった。


 自分のことはさておき、読み手としての僕はけっこうイラチなので、描写が長くてストーリーに動きがないと、すぐ逃げちゃうんですよね。ホラーやミステリーは冒頭で説明が多すぎる。


 なので僕は自作のなかでは、極力、説明はあとにまわして、必要最低限にとどめ、まずはストーリーを動かすことにしてます。


 そんなふうに気をつけてる僕の話でも、たった150字多いか少ないかで離脱率が変化してくる。


 もともと3200字のとき、なんでそこで区切ってたかっていうと、最初に人が襲われて消えてしまったところだったからです。つまり、次回へのひきのために。

 気になるところで終わらせたつもりだったんですが、それより文字数少ないほうが有効だった。

 ちなみに今の区切りは、ヒロインと出会った場面。美女がいる。それで……? ってとこです。


 今の文字数にしてから、とりあえず、一〜三話までのひと続きの話は読まれるようになりました。連作短編なので、最初の短編はってことですね。


 そこまで読んで、これは好みじゃないなと思われるなら、それはもうストーリーの問題なので、しょうがない。あきらめがつくってもんです。


 単に文字数だけで去ってしまわれるのはもったいないので、長すぎるかなと思ったかたは、2000字前後を目安に減らしてみてください。

 何かが変わるかもしれません。

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