キャラ造形、脇役はけっこう人気がある



 はいはい。またまた近況ノートを読んできました。

 何やら公募の講評で脇役にもっと個性をつけて、と言われたことに納得いかないようす。


 別にその人の作品読んだわけじゃないので、それじたいについて何かを語ろうというわけじゃありません。

 この前、魅力的な悪役のことを書いたので、今回は脇役についてですね。


 脇役といっても幅は広く、主役の友達もいれば、ライバルもいる。お父さん、お母さん、恋人または好きな子、学校の先生、社会人であれば上司や同僚、なじみの外食屋の店員、通りすがりの通行人でさえ、脇役は脇役。


 個性が大事と言われるのは、そのなかでも重要なキャラたちですね。とりあえず主役の仲間や家族のように、身のまわりにいて、定期的に出てくるキャラクター。


 さて、読者というのは、ほとんどの場合、主役に共感しながら読み進めていくわけですが、じゃあ、すべての人が主役を推しているのかと言えば、必ずしもそうじゃありません。


 読者のなかには一定の割合で、脇役が好き、という人が存在します。僕の仲よくしてるフォロワーさんですが、姉妹でお姉さんは主役を、妹さんは必ず脇役を好きになるというかたがいます。


 個人的には僕も昔から主役ではなく脇役の、しかもちょっとマニアックなキャラを好きになりました。


 長いシリーズの場合、主役だけでストーリーを盛りあげるにはムリがあります。

 そもそも好きなタイプのキャラクターって人それぞれなので、たくさん出しとけば、どれかは気に入ってもらえるだろうという、そういう算段ですね。いや、もちろんストーリー上の進行に重要なキャラクターもいるんですが。


 じゃあ、脇役にとにかく、かぶらないようにして、いろんなタイプを書いとけば、それでいいかというと、必ずしもそうではない。


 なんというか、作者が好きなキャラクターって、読者にも好かれますよね。それってやっぱり、作者が意識的にしろ無意識的にしろ、好きなキャラクターの見せ場を作ってるからなんでしょう。まあ、好きなら、よく思われるように書いていきますから。


 たまに作者が思ってもみなかった人物が、すごく読者ウケすることもあります。一人二人ではなく複数人から「〇〇が好きです」って言われて戸惑うこともある。


 さて、どんな脇役って読者に好まれるんでしょうか?


 嫌われやすいのは、女の子主役のときにライバルヒロインとか、ヒロインにイジワルする人とか、言ってみれば敵役ですよね。


 やっぱり読者はあるていど主役に感情移入して読むので、主役にツラくあたる人は好きになれないようです。先日話題にした失恋離脱も、このへんと似たような読者心理が働くんでしょう。主役がツライと読者もツライ……。


 なら、好まれる脇役って?


 八重咲探偵のなかで、最近すごく好感度をあげてるのが、マルコシアスです。

 最初、敵として出てきたんですが、誤解がとけて仲間になり、その後、何かあるといっしょに戦ってくれたり、主人公を支えてくれる。一途に同じ人をずっと好きだし、しかも恋愛面で言えば主人公のライバルにあたるのに、自分は一歩ひいて二人を応援してくれるというね。寡黙だけど、行動で支援してくれる派。

 見ためは最初、狼だったんですが、このごろやっと人型になりました。狼のころから好きだと言われる人がいたので、見ための問題ではないもよう。


 これなんか、すごくわかりやすい人気の出る脇役ですよね。さりげなくカッコよく、主役にとって頼れる味方。見ためもイケメン。


 マルコシアス以外で、思ってもみなかったのに人気が出たのは、『東堂兄弟の探偵録』の三村くん。三村くん、外見はコワモテで長身、アロハシャツを来たチンピラ風……とハッキリ書いてるにもかかわらず、意外と人気あるんですよ。エブリのころに、わりと「三村くん。いい人」とか言われました。


 三村くんも兄弟を助けてくれる、さりげない役どころですね。ものすごく目立つ活躍をするわけじゃないけど、そこそこ頑張ってくれる。そして見ために反して正義感が強くて人情に厚い。涙もろい一面もある。

 そういうギャップこみで好まれてるのかも。


 二人に共通なのは、主役を助けるってところですね。主役の味方って、読者にとっても頼りがいのある、いいイメージに映るんでしょうね。


 逆に味方だと思ってたのに裏切る人って、読者もショックじゃないですか。そういう人が、じつは裏切ったのは主役をかばうためとか、誰かに脅迫されてたとか、なんらかの同情できる理由があれば、さらに株が上がったり。


 けっきょく、魅力的かどうかは個人の好みもあるんですが、主役に優しいかどうかっていうのは、好かれるか好かれないかに強く影響するんじゃないでしょうか。


 もちろん、読者のなかには完璧な悪役で極悪非道なキャラクターのほうが好き!——という人もいると思います。が、数としては少ない。


 あれこれ、いろんなタイプの脇役を作るのがめんどうは人は、少なくとも主役を陰ながら支える兄貴、または姉御肌なキャラを一人は出しておくといいかもですね。

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