キャラクター造形、キャラは友達



 この前、更新してからずいぶん経ちましたね! 二週間ばかり、ほったらかし。

 すいません。八重咲探偵の怪奇譚、もうすぐシリーズ完結なので、無我夢中で書いてました。今日はちょっとヒマがあるので、こっちも書いとこうかなと。


 前回の更新はキャラクター造形について。

 キャラを造るとき、基本的に変わらない遺伝的な性格と、経験によって変化する部分をわけて考えるといいですねという内容でした。


 ところが、知りあいの書き手さんに、キャラクターはキャラクター同士のからみで表現しなきゃ意味ないので、プロフィールは不要では? というご指摘を受けました。


 なるほど。たぶん、これはフィルムアート社の公式連載と同じ理屈ですね。

 あの連載でも「皆さんはキャラクター造形と言えば、好きな食べ物とか身長体重、なんなら現住所や学歴などを書きつらねることだと思っていませんか? それは不必要なことです。じつは、キャラクター作りで大切なのは役割。ストーリーを盛りあげるために主役とどのようにかかわるか、それによって分類されるいくつかのキャラクターのタイプにそって作られているかどうかが重要です」と言ったことが書かれていました。うろ覚えのてきとうに書いた文章なので、細部は違いますが。


 なんか勇者とか魔法使いとか、ライバルとか、ライバルのふりした支援者とか、いろんなタイプがあった——と、以前もここで書きました。

 くわしく知りたいかたは、そちらでどうぞ。


 あれを読んで、なおかつ、やっぱり僕はあの方法ではキャラクターを造らないですねぇ。書きながらプロットを編んでいく僕の書きかたには、どうしても合致しないので。


 じゃあ、僕がリアルにやってるキャラクター造形ってどんなだろう?


 ってことで、今回はそれをご紹介します。ただし、参考にはならないと思います。かなり感覚的なので。僕と似た感覚派であり憑依型である書き手さんなら、参考になる……かも?(というより、すでにその書きかたに達してるでしょうね。似たタイプの人なら)


 前もって断っておくと、じつは僕自身はキャラクターのプロフィールって書いたことないんですよ。人には書けと言っといて、自分では書かない。あいかわらず自由人な僕w


 というのも、けっこう記憶力いいんですよ。なので、記憶をメモ帳がわりにしてるので、プロフィールじたいは書いてないわけです。


 それだけのこと?

 いや、違います。

 僕のキャラの作りかた。

 それは相手を一人の人間として接することですね。これ、前にも言いましたが。


 ところで、みなさんは作品を作るとき、世界観やストーリーから考えますか?

 それともキャラクターから?


 僕の場合はどっちだろう?

 よくよく考えてみるけど、世界観(ストーリー)から思いつくこともあれば、キャラクターから思いつくこともある。ただ、圧倒的にキャラクターから生まれることのほうが多いような?


 たとえば、八重咲探偵の場合は、ヒロイン(男!w)の青蘭が最初に誕生しました。ふつうは主役から思いつくので、これは珍しいパターン。悪魔と契約して、使役するたびに自分の体の一部を代償として渡している探偵、という設定。

 これをこねくりまわしているうちに、ずっと昔にあらすじだけ決めたけど書きださなかったBL設定をプラス。呼応する二つの石を持つそれぞれの相手のあいだで揺れる三角関係ですね。


 じゃあ、じっさいにストーリーはどうするかとなったときに、これもずっと前に書いたけど、ヘタクソすぎて原稿を捨ててしまったホラー読み切り長編をまんま再利用するか、と。この元話がクトゥルフ物だったせいで、クトゥルフ神話もプラスされた。


 いっこうにキャラクターの作りかたにならないけど、もうしばらくおつきあいください。


 さて、青蘭の設定だけで、ストーリーはほぼできた。僕はこんなぐあいに、キャラクターとストーリーを同時に練ることが多いかも。その人をほりさげていくと、ストーリーもできあがっていく。


 ところで、八重咲探偵の怪奇譚。略して、八重たん(探偵と譚の両方の意味。初めて略した)この話の主役は青蘭ではない……。

 青蘭から生まれた話なのに、主役は龍郎。


 ほら、ミステリーとか謎めいたキャラクターを登場させるとき、本人の視点ではなく、ワトソン的な別の人物の視点で語るほうが効果的だったりするじゃないですか。アレです。あのために必要なキャラクターだったんですね。


 じゃあ、この龍郎はどのように造られたのか?


 龍郎はストーリーの必要上で造られたキャラクター。探偵助手であり、青蘭にふりまわされる常識人、でもいざというときには頼れる強い男、みたいなイメージで湧いてきました。前述の三角関係のうちの一方でもあるので、当然イケメン!

 職業? 年齢? そうだなぁ。事件のたびにあちこち行かないといけないし、自由がきくほうがいいから、学生かな。仕事はすぐに青蘭の助手になればいいし。


 最初に決められたのは、このていど。あとは名前ね。名前もてきとうにつけてしまって後悔。

 この段階で、じっさいに小説を書きだしてました。


 そう。最初に決まってたのは、それだけ。好きな食べ物どころか、性格もふつうの好青年としかわかってません。容姿もイケメンってだけで具体的には何も……。


 いまだに龍郎の好きな食べ物を知りませんし、好きな音楽とか、テレビ番組は何を見るのかとか知りません。(好きな食べ物は実家から宅急便でゴーヤの天ぷらが送られてきたので、それかも)それでも、龍郎はひじょうに書きやすいキャラクター。とにかく好青年。まがったことができない。


 なら、没個性なのかというと、そうでもない。怒るときはちゃんと怒るし、ちょっと変わった性癖も判明。彼は不幸な人に恋する、だいぶヤバイ一面がw それも相手が不幸であればあるほど、より強く惹かれるという……。


 通常の人ならクトゥルフの邪神をひとめでも見るとSAN値がゴリゴリ削られていくのだが、彼はなぜか平気。本人は自分を強メンタルと言ってるけど、そんなわけないのに、細かいことはあまり気にしない。つまり、おおらか。やや天然なとこがある。まわりのアクの強い人たちにさんざんふりまわされても笑って許してあげている。子どもがかわいそうなめにあうと泣く。

 とても美しい心の持ちぬしであり、タフで、頑張り屋。


 これらは書いてるうちに、自然とこうなっていきました。


 現実の人間であっても、初対面のときには容姿と第一印象以外にはほとんど何もわからないじゃないですか。そのあと、つきあいが深くなるにしたがって、だんだん、いろんなことがわかってくる。

 おとなしい人だと思ってたのに、怒ると怖いとか。優しげに見えて、じつはサイコさんだった、とか(これは実話)


 キャラクターもそれと同じだと思うんですよね。書き手はその人のすべてを知る必要はない。仲よくなるにつれ、多くのことがわかるから。

 その人をほんとの人間と思い、大切につきあえば、キャラクターは自分から語ってくれます。


 これがほんとの僕のキャラクター造形法。

 役に立たないですよね?

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