古巣の二次創作さわぎ2
さて、昨日ですが、以前、書いたエブリでの二次創作さわぎ、僕にも降りかかってきました。
現在、向こうで公開してるのは、契約によって他サイトでは公開できないものだけなんですが、保管庫としては利用してるんですね。万一のときのために、複数のサイトに作品を置いてあれば、急な垢BANだの、パスワード忘れてログインできないだのという事故に備えられますから。
なので、こっちで書いた新作をコピペして保存してたんですが、さあ、編集しようとすると、見慣れない画面が……。
来ました。ガイドラインの訂正にともなうなんとかかんとか。二次創作にあたる作品の規定が変わったことなどが書かれていて、ガイドラインへのリンク、その下に『同意する』っていうのがあって、同意しないことには編集できないんですね。
その画面の出てきたのが、自分のなかでは、もっとも二次創作の懸念がかかる八重咲探偵で、しかも第一部から現在の第十二部まで一作にまとめてあるやつ。120万字です。
ここまで、チョコチョコ、コピペしてきた労力を思うと、消されるのは惜しい。
というより、ほんとにクトゥルフ神話だから二次創作っていうのなら、他にも大勢がやってるし、エブリでは何も創作できなくなるぞ、くらいの大問題。
何が問題かというと、クトゥルフ神話は、おもにラブクラフトと、その周辺の友人作家たちがラブクラフトの考えだした世界観をみんなで使いまわして書いた一連のホラー作品のことです。ラブクラフトは1937年に亡くなっています。
そして、アメリカの小説の著作権は通常70年。職務著作であったり、ソニー・ボノ著作権延長法の適用内であれば、さらに延びて、法人著作権は95年とか。その作品を制作後120年。ミッキーマウス延命法とも呼ばれる法律ですね。
ただ、これ、個人所有の著作権には影響しない。
なので、クトゥルフ神話はラブクラフトの死後70年経過してるので、すでに著作権切れ。
なんですが、警告が来た?
うーん。先日のさわぎのときにはチェーホフでしたよね。あのとき、たぶん、翻訳の引用をしたことで、翻訳文じたいの著作権が残ってるんじゃないかってことを、知りあいの書き手さんと話しました。
となると、じつは身に覚えがある。クトゥルフの主神であるアザトース。本名がめちゃめちゃ長いんですよね。とてもじゃないけど、暗記できるものじゃない。
なので、pixiv百科事典から、まるっと引用させてもらいました。pixiv百科事典、悪魔とか天使とかクトゥルフとか調べようとすると、必ず行きつく便利な資料。とくにクトゥルフはここ以外、検索にひっかからないと言っても過言ではない。
まるっと使ったってことは、それじたいがたぶん、クトゥルフ神話のどこかの文章を引用してるんですよね。ということは、pixivは著作権を持つ人に許諾を得て載せているのかもしれないけど、それを又借りする僕は許諾を得てない……。
そういうことだねと思って、あわてて修正しました。pixivの原文とは、ほとんどの言葉(95%ていど)を別の単語や言いまわしに置きかえて、まあ、だいたいのふんいきが伝わればいいやってことで、なおしたのが、コレ。
「はるかなる宇宙の最奥、沸騰するカオスなる原始、あらゆる次元から隔絶され、時をこえた真暗の床に伏す。波長の狂った金管楽器、古き太鼓の乱打により舞い続ける
もうまったく原文にはない言いまわしを足したりしてるので、これなら問題なかろう!
あっ、そう言えば、召喚呪文も2ヶ所で使った。
あの有名な『いあいあ』ですよ。なので、そこは原文が全文平仮名表記だったため、カタカナとローマ字をごちゃまぜに。
これで問題なかろう!
さて、修正したので、エブリの運営に問い合わせました。クトゥルフ神話は著作権切れですよとも言った。
本日、その解答が来ました。どうしたことか、とても丁寧な文章で、以前の横柄な感じは影をひそめている。
まずは不安にさせてしまってごめんなさいから始まり、ガイドラインの変更にともない、編集しようとすると全ユーザーに例の『警告文っぽいもの』が表示されるとのこと。特定のユーザーや特定の作品にだけ出るものではないので、僕の作品が二次創作に該当するわけではありません。また、著作権切れの作品は二次創作とはみなしません。自由に載っけていいよ、かーくん——と言われました。
ええーッ! じゃあ、何?
ただのからさわぎ?
警告じゃないものを勝手に警告だと勘違いして大騒ぎしただけ?
がっくし……orz
あの丁寧な文章、かなり長文だったし、たぶん、テンプレじゃないかと思う。たくさん問い合わせが来たので、それに関して一律同じ返事をしてるんじゃないですかね?
なんか、こうなると、もともと騒いでいたあのユーザーさんは、エブリの作品のほとんどを削除したらしい。もったいないことをしましたね。消す前に問い合わせしとくべきだった。
とは言え、やっぱり引用はダメだなと思ったので、その部分はこのまま修正後のやつにしときます。
翻訳の著作権は、著作者当人の著作権そのものより、さらにややこしく、原作が1970年以前に発表された作品は10年以内に日本で翻訳出版されてなければ、翻訳権は消滅する。誰でも自由に使っていい。
クトゥルフ神話は1972年に創元社から発売されたのが日本初。ラブクラフトの没年が1937年。つまり、クトゥルフ神話は翻訳権じたいが、とっくに消えてる……。
もともと、問題なかったか。
もし10年以内に刊行されていても、没後50年なんだそうだ。ただ、翻訳文に関しては、著作者と翻訳者に著作権があるので、翻訳者の死後50年ってことになるんだろう。
それに著作者が死んでいても遺族が著作権を延長したり、出版社が権利を持ったりなどもすることがあるらしい。
著作権問題。複雑ですね。
みなさんも外国の作品からの引用を使ってる場合は気をつけましょう。心配なら調べたほうがいいかも。カクヨムでも、いつ、ガイドラインが厳しくなるかわかりません。
じっさいには翻訳文を修正することも、翻訳権の侵害にあたるようなので、原文から自力で訳すしかないですね。
まあ、原文は一つなので、誰が訳しても似たようなものになると思いますが。
なんにせよ、エブリの運営さんにとって、僕はいまだに東堂薫なんだってことが、一番のおどろき。カクヨムにあわせてアカ名変えてから、だいぶ経つんだけどなぁ。
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