その他(第6回カクヨムコン関連など)

プロットはどこまで練るのが正解なのか?



 先日、近況ノートにこんなことを書かれてる人がいました。そう。また近況ノートですね。僕の大好きなネタの宝庫w


 さて、どんなことを書かれていたかというと……。


 YouTubeでとある人のプロットの練りかたを見たら、自分がこれまでやってたのは、ぜんぜん、プロットではなかった。そのユーチューバー(なのか、作家が本業なのかは知らないですが)のプロットというのは、ただのあらすじではなく、どの場面でキャラクターがどんな感情をいだき、そのとき、どんなセリフを言うのか、まで詳しく、ラストまでしっかり組まれてるものだった——というのです。


 これを読んで、僕は「ふうん」としか思わなかったですけどね。

 たしかに、プロットを細かいとこまで組まないと書けないって作家さんもいますよね。なんか昔、あとがきかなんかで、夢枕獏さんはそういう詳細派で、しっかりガッチリギッチリ組まないと書きだせない、とかなんとか読んだ気がする。記憶が定かではないんですが。


 僕は前にも述べたように、パンツァーなので、そもそもプロットじたい組まないんですが、じゃあ、プロットってどこまで細かいとこまで決めるのが正解なのか……ですよね?


 結果論としては、人それぞれなんだと思います。


 これも以前、職業作家の人が、誰だったか覚えてないんですが、自分はそこまで綿密には練らないと書かれてたんですよね。栗本薫さんだったかな? とにかく机の前に座ればベラベラ書ける、と。


 僕もまだプロット作ってたときも、せいぜいストーリー展開の箇条書きていどでした。

 だってね。じっさいに書きだすと、キャラクターって勝手に動くんですよ。しかも、そういうのって、プロットとして考えてたときより、はるかにいい動きをしてくれるんです。


 前述の近況ノートを書かれてた人は、「そうか。そんな細かいとこまでプロは考えてから書くんだ。だから、あらすじしか考えてないおれの作品は、途中でキャラクターたちが暴走して、まとめられなくなり破綻してしまうんだ!」と書かれてたんですが、それはたぶん、いつも言うけどの問題です。つまり、構成力ですね。

 キャラクターが勝手に動いても、それにあわせて瞬時に軌道修正する力があれば、ストーリーは破綻しませんよ。


 キャラが勝手に動いてまとまらなくなるって話は、よく近況ノートに書かれてますね。多くの書き手さんが経験してることだと思う。


 書いてる瞬間って、作者自身の気分も高まってるから、ただ頭のなかでこねてるときより、閃きが多い。その閃きを全部すててでもプロットのままに書くのがいいと思いますか?


 僕は思いついてしまったときには、いったん筆をとめて考えますけどね。最初に思ってた展開と、新しい展開のどっちが、より面白いか。面白いほうをとります。ラストにむけて、多少の修正が必要ならします。ごくまれにそれまでの展開も修正しないと成り立たない閃きもあるわけですが、たいていは直してでも新しい閃きに従ったほうが面白いことが多いんですよね。まあ、そうでない場合もあるんですが。その場合は閃きのほうはすてます。しょうがないんで。また別の作品にでも使えるかも。


 で、このとき、たくさん話を書いていて、プロットを頭のなかで組み立てることに慣れてると、わりとかんたんに修正がききます。

 なので、もう最初から閃き任せで、なんとなくぼんやりしたシチュエーションだけで、てきとうに書きだすこともしばしば。


 ついでに言えば、僕は書いてるあいだは主役に憑依されてるので、じっさいに書きだして、そのときにならないとわからない感情とかもあるんですよね。なので、僕の書きかたには、ぼんやり展開があるくらいがちょうどいい。


 そもそも、100万字、200万字という長ーいシリーズ作品の最初から最後までをプロット書いてからじゃないと本文書けないと言いだしたら、たぶん、一生、その話は妄想のなかにしか存在しないと思う。思いきって書きだす勇気が必要。


 ちなみに、この場合は以前に言っていた、連作短編のような形で、小さな話をつなげていけば破綻は少ないです。本文もですが、プロットも区切り、区切りで練ることができるし。


 感情的に書くタイプなのか、理詰めで書くタイプなのかによって違うんじゃないですかねぇ?


 あくまで作品のすみずみまで制御しておきたい人は、最初にラストの決めゼリフまでしっかり決めて書けばいいし、わりとノリでつっきってる人は、その場で思いついたものを盛りこみながら書けばいい。


 大事なのは、自分がどっちの書き手なのかを知ることじゃないでしょうか?

 両方のやりかたを試してみて、向いてると思うほうでやればいいんですよ。


 たぶんですが、キャラよりストーリー重視で書く人は、カッチリ練ってから書くのが向いてるかも。

 キャラの呼吸を大事にしたい人は、プロットはほどほどにして、その場の動きで進めていく。


 とは言えですね。プロットばっかり書いてて、ぜんぜん本文にとりかかれないって近況に書かれてる人。これもまた比較的よく見る。


 プロットの細かいことまで書いてると、途中でもっといい思いつきがあって、けっきょくまた頭から練りなおし、最後まで書いてはまた練りなおし……このくりかえしで、ちっとも本文書けないループにハマってしまってるんだけど? って書かれてる人いましたね。


 いやいや、いいかげんのところで本文書いちゃいなよ。

 プロット書いてる途中でそうなるなら、本文書きだしたら、けっきょくプロットどおりになんて進まなくなるよ?

 だって、書きだしたら、どうせまた新しい閃きが来るんだから。


 プロットばっかり、ずっといじって、なかなか書きだせないときの心理って、なんとなく、プレッシャーによるスランプのときと似てますね。自分の実力以上のものを書こうと力みすぎていませんか?


 書く前に過剰な力をそそぐより、むしろ、書いたあとの推敲を入念にしたほうが、作品としての質はあがると思うけどなぁ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る