読まれる小説11 タグにもこだわろう



 僕は書くばっかりでほとんど読まないので、あんまり作品の検索とかしたことないんですが、タイトルやキャッチとともに重要なのがタグですよね。


 人によってはタイトルページでタグを見て、面白そうなら読むって人もいるかと思う。

 何より、作品を検索するときにタグ使いますしね。


 よく自主企画で自分好みの作品が見つからないから募集する、というのがありますが、企画内容を読むと、タグの検索ではしぼりこめない旨を書かれてることがある。


 以前、誰か先人が近況ノートか、こういうエッセイのなかで書かれてました。検索機能にひっかかりやすいタグをつけることも、読者様に見つけてもらう上で重要だと。


 具体的には、カクヨムでは八つのタグをつけられますよね。まずは広い層の読者に拾われるために、人気のタグをつける。数は半分くらい。こうすることで、大勢が好む作品のなかに入りこめる。人気のタグについては、その他→人気のタグで調べられる。

 残り四つのうち二つは、さらにその条件を細分化したものを使う。タグ検索は複数でできるので、そこで読者がふるいわけたとき、よりピンポイントでヒットしやすくなる。ニッチな読者に対応できる。


 で、最後の二つなんですが、ほかの誰も使わないような自作オリジナルのタグをつけようというものだった。読者が検索するとき、まずそのキーワードを思いつくかどうかが怪しくなるので、検索機能としては役に立たないことが多いものの、タイトルページで見たときに興味をそそりやすい、と言った説明がされてた。なるほどねと。一理ある。


 たとえば、ファンタジー作品の場合、まず『ファンタジー』『異世界ファンタジー』など、ジャンルのわかるタグ。ちょっと細かく『ダークファンタジー』とか、『ほのぼの日常ファンタジー』とか、作品のカラーがわかるタグ。あとはカクヨムで人気の『美少女』『ハーレム』とかつけていいですよ。ほんとにその要素があるのなら。タグ詐欺になると怒る読者もいるので、要素ないタグはさけよう。


 僕はけっこう複数のジャンルの要素のある作品を書くので、タグのなかにはそれらを入れます。ファンタジーでも恋愛要素があれば『恋愛』とか。


『現地の人がんばる』とか、『最初弱いけど三章から無双』などのような内容のわかるものも多少つけるといいのかなと。


 最後の二つには、『主役が一つ目』『ヒロイン100人』など、インパクトのある遊びのタグを入れると人目をひきやすい、とも書かれてたなぁ。


 さて、ここまでは普通。

 今日ですね。面白い自主企画を立ててる人がいたんです。

 自作につけてるタグを三つ入れて検索し、それ一作しかヒットしない作品を求めるって。


 ああっ、なんて面白そうなことをしてるんだ!

 さっそく試しに検索してみた。


 まず、『蝶とアムールの葬列』最新作だから。

 これにつけてるタグは、SF、ミステリー、超能力、連続殺人事件、どんでん返し、エスパー、群像劇、みんな怪しいの八つ。


 ちなみに、みんな怪しいが遊びのやつです。これ一つで検索してみたら、案の定、アムールしか出てきませんでしたw だからって、マネして自作につけないでね。そこはオリジナリティ出さないと意味ないですよ。二、三作ならぶと、読者が読みくらべますから、そのとき『みんな怪しい』とほんとに思ってくれるかどうか。書き手としての腕を見られます。


 さて、みんな怪しいは珍しいタグだから、ここでは外して、超能力、連続殺人事件、どんでん返しで検索してみました。お見事。アムール一件しか出てこない。


 面白かったので、もう一作やってみた。

『八重咲探偵の怪奇譚〜第一部 契約者は悪魔〜』

 これのタグのなかから三つ、ホラー、クトゥルフ神話、BLで探してみました。どれもたぶん、タグ単発で検索すれば、かなりヒットする。

 では、三つならどうなのか?


 結果。ヒット数八件。

「なんだぁ。八件か。ほかにもあるんだ。残念……って、待てよ?」


 よく見ると、八重咲、八重咲とならんでる。全部、八重咲シリーズだった!

 八重咲シリーズは現在十部まで完結してるので、そのうちの八件がヒット。つまり、二作品は三つのなかのどれかのタグが入ってないんですね。こうなると逆に入れとこうかと思う。


 もしかして、カクヨムのどこかにはホラーとクトゥルフ神話とBLが好きで好きでたまらない読者がいるかもしれない。そんな人が検索してくれたら、必ず僕のところにたどりつく。タグはその指標。


 テンプレ作品が埋もれやすいのには、こういうとこにも落とし穴があるんじゃないですかね? テンプレであるがゆえに、誰もがつけるタグしかついてないのでは?


 僕の作品はジャンルの融合も多いし、変な話ばっかり書いてるので、タグにも個性が出るんでしょうね。つまり、作品の要素にオリジナリティがあれば、必然的にタグにも個性が出る。


 企画の内容には、さらに細かい条件として、タグ一つずつでは20作以上ヒットすることってのがあって、アムールはこれもクリアしてた。


 タグ単発なら多くヒットする。ということは、一般的な要素と一般的な要素を組みあわせると、個性的な作品になりうる、ということの証明でもあるかなと。


 タグのつけかたじたいは、ちょっと言葉を変えるとかで、ほかの人と差別化をはかれるんだけど、もしも選評で、個性に乏しい、オリジナリティを感じられない、もっと際立った何かが欲しいなど書かれた経験のある人は、こういうとこに着目すると、現状を打破できるかもですよ。


 ふつうに見える作品のなかに、まったく違うジャンルの要素をまぜてみるとか、一つだけぬきんでた個性をぶちこんでみるとか。

 やっぱり小説において、オリジナリティって大事なんですよ。


 ところで、タグ検索してるときに、こういう使いかたをしてるものがひっかかりました。同じくアムールで、SF、ミステリー、群像劇の三つで検索したときです。


 タグの一つの欄に『SF・ミステリー・群像劇』のようにですね。途中を中点で区切って、たくさんのワードを入れてしまうって方法です。これでもちゃんとヒットしてる。

 カクヨムのタグって一つ二十字まで書けるじゃないですか。この方法を使えば、もっとたくさんのワードを放りこむことができるので、そのぶん検索にかかりやすくなり、新規読者の目にふれやすくなる。タグ欄が足りないって人は試してみてはいかがでしょう。


 ほんとはですね。『転生転移なし』『ハーレムなし』などのタグ、いいのかなと思ってたんですが、上の検索結果から言うと、『転生転移なし』などのタグは逆に転生、転移などで検索するとひっかかっちゃうんですね。

 今のカクヨムの検索機能だと、任意のタグが入ってる作品をはじくことができるので、転生転移とかハーレムとかが嫌いな人は、はじく用語として、それを使う可能性が高い。その機能がないころは入れとくといいと言われてたけど、今はスッキリないほうが、お目当ての読者様にたどりつく率が上がるのかもしれません。

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