ベラベラ書く方法7 夢見る力



 みなさんは小説を書くとき、文章で思いつきますか?

 それとも、まず映像が頭に浮かぶ?


 僕は映像ですね。

 どんな話でもヴィジョンがまずあり、その絵を文章に起こす作業をしてる感じ。実写だったりアニメだったり、その両方だったりする。風景だけ実写で、人物は自分の絵の動画バージョンとかね。ほぼ動画です。

 頭のなかで見えてるものを書けばいいので、文章で考える人より筆が速いのかもしれない。よく人物が勝手に動くと言われるけど、僕の場合はまあ、つねに勝手に動いてるようなものかな? さきの展開を考えるとき、文章をならべるのではなく、頭のなかで映像の人物を動かしてる、と言うか。


 小説書いてるときに、映像または絵が思い浮かんでる——という人は、けっこういるみたいです。書く人がみんなそうではないだろうけど、僕が個人的に知りあって話した人にも、動画ではないものの絵で浮かぶって人は何人かいた。思うに、その人たちは自分でも絵を描く人が多いんじゃないかと思う。


 別に文章を書く人は文章が書ければいいので、絵を描けるかどうかは必須じゃない。

 絵なんか書けなくても、そのぶん匂い立つように美しい文章を書ける人はいる。


 じゃ、なんでこんな話をしてるかというと、今回は発想法。想像の源泉って、どこから来てるのかなぁというところに焦点をあててみたいなと。


 長くたくさん書き続ける上で、想像力って重要ですよね。これも新着近況ノートで、「ネタが尽きたので書くのやめます」あるいは「休載します。なんか思いついたら、また書くかも」と書かれてる人も、これまた多い。それにしても、どんだけ近況ノート読むの好きなんだw


 そう。文章力が優れていても、構成力が抜群であっても、書きたいと思えるストーリーが湧いてこなくなったら、書き手としてはおしまいですよね。いわゆる、枯渇という……。


 僕は幸いにして、これになったことは今まで一度もないんです。つねに書きたいものであふれてる。


 まあ、性格もあるんでしょうね。小さいころから妄想が趣味で、一番好きな遊びは『その日見た夢の続きを考えること』だった。毎日、夢想してたわけです。天然ドリーマーw


 自分の見る幻想を形に残したくて書いてる感じですかねぇ? 絵のハッキリしてるものは、書いたときの文章を読めば、何年経っても、そのときの映像が鮮明に頭に浮かんできます。自動再生の映画みたいなもんですね。


 じっさいにネタを思いつくときって、何も映像で浮かんでくるわけではないんですが。たとえば、ほかの人の小説を読んでて、そのなかの一文が急にふくらんでくるときもあるし(ただし、その小説のストーリーの骨子にはまったく無関係の一文。骨子だったらパクリです)、ニュースを見ていて「これだ!」と思うこともある。


 そういう他者(外部)からの刺激で思いつくネタは、けっこうショートストーリー向きのものが多い。または読みきり長編くらい。ふくらませてると、そのうち映像になります。


 外部刺激ではなく、完全に内側から来るものもある。

 根本的に好きな傾向って、どの人にもあると思うんですよ。僕なんかはSF、ホラーなどが好きで、そこにたいていミステリーの要素が入る。恋愛要素も少し。で、人間を超えた存在が好きなので、男か女かようわからん中性的な美形がよく出てくる。コリン・ウィルソンの言うところの『神々のような人々』ですね。これが好き。

 あとはドSなんで、葛藤とか倒錯とか狂気とかがてんこ盛り。でもそこに純愛とか善への憧れがないまぜになって、最後は昇華されていく——そういうのが好き。もちろん、エンタメ性も重要なんですが。


 キャラクターと世界観を思いついたら、もうそういう自分の好きなシチュに持っていくだけで、新しいシリーズが書けたりする。八重咲探偵なんかも、これですよね。


 なので、好きなシチュのハッキリしてる人は、たぶん、一生、書きたいものに困らないと思う。自分の好きなキャラクターに、あんなことや、こんなことをさせてるだけで嬉し楽し。

 この手の書き手は、基本ドSな気がする。


 じゃあ、そういう書きかたは得意じゃない……という人はどうしたらいいのか?

 発想法は人それぞれです。すでに自分なりのメソッドがある人は、それを実行すればいい。音楽を聴くとか、散歩するとか、気晴らしのゲームをするとか、なんでもいい。わりと体を動かすと、思いがけない閃きが降りてくることありますよね。僕の場合、具体的に言うと、掃除してるときに湧きやすい。


 でも、今回は映像に関して話を進めていきます。


 言語能力って左脳を使うって言いますよね。絵とか芸術的な分野は右脳が活発になると。答えは、それなんじゃないかなぁと。


 つまり、文章を書きながら頭のなかで絵が動いてるような人は、言語能力の左脳と同時に、右脳も働いてるんじゃないですかね? たぶん、右脳と左脳がいい感じに融合しあって活性化してる。


 両手を同時に動かすと、左右の両方の脳が刺激されて天才脳になるって言いません?

 ピアノを弾いたり、折り紙なんかもいいらしい。パソコンでキーボードを打つのも両手ですよね。たしかにキーボード打ってると、なんか妙に気持ちよくなってハイテンションになる。あれはきっと両手の指先を動かすことで脳が刺激されてるから。


 で、右脳って創造する脳じゃないですか。想像力の源泉って、ここなんでしょうね。

 ということは、ふだんから右脳を刺激してると、想像力が働きやすくなるのでは?


 小説を書くっていうことからは、かけ離れてる対処法のようにも見えますが、最近、生活のなかで楽しいことがない……という人は、気晴らしに右脳を働かせてみてはいかがでしょう。


 さっきも言ったように、両手を同時に動かすような作業とか、絵を描くのもいいし、絵なんて描けないって人は市販の大人のぬり絵でも。音楽を聴くのも両方の脳が刺激されるから、多くの人は心地よく感じるんだと思う。気晴らしになるだけで感情は動きますから、結果的に小説を書く心のゆとりができることにもなる。


 ただ、それをより小説につなげやすい形で実践する、となったとき、僕がおすすめするのはですね。

 夢日記——です。

 近況ノートを見ると、これもたまに書かれてることがある。「今日見た夢です」とか、作品じたいとして書かれてる人も。


 なんで、これ、おすすめするかというと、僕も高校生のころ一時期、やってたからですね。今は時間がないのでやってませんが、夢って特訓すると、自分で自由にあやつることができるんですよ。空を飛ぼうと思えば飛べるし、怖い夢になりそうヤバイと思えば、ムリに夢の方向をねじまげて、まったく違うストーリーにすることもできる。このとき見る夢は明晰夢です。


 明晰夢。ご存じですか?

 夢を見ながら「これは夢だな」とわかってる夢のことです。

 夢日記を書いてると、明晰夢を見るようになります。さっきも言ったように夢を自分の思うがままにあやつることもできます。見たい夢を見られるので、すごい爽快感を得られます。


 狙って見るには、起床時間より一時間か一時間半ほど早く、いったん目覚ましなどで起き、そののちもう一度寝ると、すごくクリアでストーリー性の高い楽しい夢を見ることができました。しかも、目が覚めたとき、ハッキリ内容をおぼえてる。


 これ、たぶんですが、想像力の訓練にいいんだろうなと。


 社会人になってしまうと難しいので、感覚的にも柔軟なティーンエイジャーにおすすめします。僕は三ヶ月くらいしか続けてなかったけど、楽しい夢をたくさん見ました。夢をそのまま小説にした話もあります。


 ただし、寝つきの悪い人はやめましょう。目覚まし止めてすぐに二度寝できる人じゃないと、この方法は実行できませんので。あっ、もちろん、二度寝したあと、ちゃんと、ほんとの起床時間に起きれるように、目覚ましかけなおすのはお忘れなく。

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