素早く、たくさん書くために

ベラベラ書く方法1 連作短編にしてみよう


 たくさん読まれるためには、とにかくたくさん、たくさん書くことが大事、と書きました。一日2000字ずつを書き続けることが重要と。


 だけど、実質、カクヨムで投稿してるユーザーのほとんどは、学生か社会人ですよね?

 勉強しながら、または働きながら書いている。


 毎日2000字なんて、とうていムリ……という人は少なくないと思う。


 僕もエブリスタを始めたばっかりのころは、働きながら新作を書くなんてムリ——と思っていました。とくに長編はプロットも複雑だし、気力が続かない。日にちがあくと伏線も忘れてしまうし、何より『その小説のなかの世界』に入るまでに時間がかかるから、と……。


 そのころに、エブリで知りあった、ある書き手さんに「書けないんじゃない。書く時間を見つけるしかないんだ!」と言われたことがあったんですね。それがけっこう衝撃でした。


 それまでの僕の書きかたは、とにかくまとまった時間があるときに、集中していっきに書くスタイルでした。それこそ学生とか夏休みなんか一ヶ月以上もまとまった時間がありますよね。社会人になると、なかなかそんなときはありません。職種によっては二連休、三連休とるのも苦しいという場合も……。


 で、まずは書きかたを変えました。それまではプロットを立て、キャンパスノートに下書きをし、それをパソコンで清書。このとき、一度めの推敲をします。誤字脱字の直しはもちろん、段落ごと移動させる、文章を読みやすく削る、回収し忘れた伏線を回収するなど。

 そのあと、パソコン上で全文を読み、さらに紙にプリントアウトして誤字チェック!

 なので、最低でも三回は推敲してました。


 ——が、こんなの今は不可能。サイトに投稿するとなると、そこからまた労力が必要になってくるわけですし。


 なので、ある時期から諦めがついて、試しにスマホでサイトに直書きしてみました。プロットも立てない。頭のなかで組みたてるだけ。


 最初は妄想コンテストなど、短編作品でやってました。エブリの短編イベントは僕が挑戦し始めた当初は文字数制限一万字。のちに八千字に変更。


 直書きでけっこうやれるとわかったころに、五万字だったかな? 中編で応募可能なイベントがあったので、そのくらいなら書けるかなと。

 このとき書いたのが『分身』シリーズ。今、思うと、だいぶ展開がゆるくて甘かったかなぁと。後半、頭のなかでプロットがキレイに収まると展開も筆も格段に早くなるんですが、そこに行きつくまでが、ゆるゆるなんですね。


 まあそれでも書けないことはないことがわかったので、その後『ブラッディレッドの海』『輪廻の力学』『八重咲探偵の怪奇譚』と書いていき、今ではけっこうなれて、わりと複雑な内容も書けるようになったかな。

 もちろん、下書きからしっかり書いたやつにくらべたら、まだまだですが。


 で、スマホでちょくせつサイトのエディタに書くときのコツ。


 1、連作短編にすれば、意外と10万字はらくに書ける。


 一作一話の完全な長編で10万字はやっぱり難しい。自分で書いた伏線を忘れてしまうなど前述したような問題もあるし。けっきょくプロット立てないといけなくなると、それに時間をとられますよね。


 なので、一話完結の短い話をならべていくと、意外と書ける。だいたい異世界ファンタジーなどでも、〇〇編、〇〇編などと銘打って、言いかた悪いけど、その場しのぎの展開をつけたしていく書きかたされてる人、けっこういるじゃないですか。

 要するにあの方法です。本人そのつもりないかもですが、あれって連作短編なんですよね。


 短編のほうが長編より書きやすいので、同じ世界観、同じキャラクターで小話を重ねていくのは簡単。


 2、本編で書く前にあらすじのようなショートショートにしておけば、ネタ帳がわりになるし、本編で書くとき筆が早い。


 これはどういうことかと言うと、連作短編にするにしても、一話が2000字とかでは、キャラも活躍させられないし、内容がほぼないですよね。


 いや、毎回2000字の話を一話にしてもかまわないんですが、その長さってショートショートであって、一般に短編と言うと、ほんとは原稿用紙最低でも30〜80枚ていどのものを言う。ネット小説だとショートショートを短編、本来の短編を中編と言われることもあるけど、紙媒体では違うので。


 SSにはSSの良さがあるけど、あれってどっちかっていうとネタ一つの切り口で責めるものなので、キャラを魅せるとかはかえってジャマになる。なので、キャラクターが主体のシリーズ作品にするなら、もうちょい長いほうが描写量も増やせる。


 でも、思いついたネタって急いで書きとめないと忘れることないですか?

 そういうときのために、僕は1000〜2000字ていどのショートストーリーを集めた短編集を書いてます。とりあえず思いついたネタを書きとめておき、それを煮詰めて後日、シリーズ作品のなかの一話として書きなおすわけです。

 これ、意外と便利ですよ。さらに、そのネタ帳としての短編集も公開してるので、そっちで読まれれば、それはそれでPV稼ぎになるw


 八重咲探偵の怪奇譚は、シリーズ全体を通しての大きなメインストーリーがありつつ、なかは連作短編集の形になってます。なので、10万字に少し足りないなとか、展開に困ったときなどに、以前したためておいたショートストーリーを再利用すると、とりあえず文字数を増やすことはできるので重宝してます。


 ショートショートで書きためる利点は、ストーリーが甘くてもいいこと。

 シリーズ作品のなかの話にするには、あるていど読みごたえや完成度が必要になってくるけど、ショートショートならてきとうに思いついたままを書いても誰も文句は言わない。ネタって思いついたときに、うまくふくらんで、そのままストーリーになるときもあれば、いいぐあいにまとまらないときってありますよね?


 なので、その時点ではネタの一つとしてネタ帳にとどめておくわけです。後日、急に話がふくらんだり、別のネタとあわせることで、思いがけない話に発展していくこともあるので。

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