第3話 中二病は思春期には必ず出てくるものと俺は思っている

「聞こえるか、我が同胞たちの歓喜、そして慟哭の声が、争いとは残酷なことだ。必ず勝者がいて、敗者が生まれる。だが、敗者となっても道は閉ざされることの無く続いていく、敗者は敗者としての道が、あの、そろそろ何か反応をしてもらえませんか」


闇が無視して歩いていると「ちょっと待って下さい!! 闇氏!」と幽一が叫んだ。

「誰が闇氏だ!!」



どうしてこの学校は変な奴が多いのだろう。と闇は、小さく嘆息する。


「しかし、各部活や教室の様子を監視する。こりゃ厄介な仕事を引き受けてしまった」闇が溜息をもらすと「いや、そうそう時間がかかるものではないぞ、闇氏」と幽一が闇に手を伸ばしながらそう言った。


「だから、誰が闇氏だ。どう考えたって時間がかかるに決まっているだろ。各教室、そして全部活の監視、監視って言ったってその場その場で何が起こっているか分からないからな。て言うかそもそもこの活動自体が無意味なんじゃないか?」闇がそう言うと、幽一は「闇氏、以外と真面目なんですね」と目を丸くして言った。そして、両目以外を手で押さえながら得意げに「だからこそこの私がいるのではないか」と言った。


「お前いきなり口調がかわるのな。一人称は統一しとけ.、読者読みにくくなるから」


 二人はまずグラウンド向かった「で、ホントなんだろうな、時間がかからないのは」と闇は幽一に再度、確認をする。どうにも信じられなかったのだ。何と言うかさっきからこの男は一言で言えばポンコツ、と言う雰囲気が流れていて仕方なかったのだ。格好ももろに中二病だし そして、さっきから、両目を手で隠して、目を見開かせたり、かと思ったら、突然ピースし出したり挙動不審なのである。闇は何度も思っている。こいつは本当に大丈夫なのかと。


「愚問だな、我が目に写せないものなど……あっちょとまって」そう言うと幽一はなぜかどこから持ってきたのか眼帯を出し右目につけ、そして「愚問だな、我がスコープの前に写せないものなどない」と言って眼帯を外

した。


「は?、スコープ?」やっぱり不安だと思うものの聞きなれない言葉に闇の意識が向いた。



「まぁ、そこで見ているが良い、実際見せた方が早い」若干、命令口調なのが腹が立ったが、その直後,闇は、幽一の目の動向が大きく開いていることに気付いた。そして、何の音もたてずに手から写真が出てきた。


「うわ、お前、無音で写真を撮る能力を持っているのか」闇が驚いていると幽一は、ますます得意げになり、「それだけでないぞ、よく写真を見てみると良い」そう言われて見ると、なんと今撮った写真が動いているのだ。それは、いま自分が見ている景色と同じように。「お前。撮った写真をリアルタイムで動画にすることができるのか」


「そう、その通りだ、我が同胞の一部よ、更に言えば、巻き戻しも早送りも出来るぞ、写すことができるのは24時間、このくらいの時間があれば十分であろう」まるで、写真がビデオカメラのように映像化する能力か、しかも、撮ってから写真にするまでもスピードが速い。すげぇ、すげぇけど「誰が同胞の一部だよ」


「違うのか」違えよ。


「まあ、気にするな」いや、気にするだろ。


「わがスコープの力を使いその写真を椿先生の机の上に置く、これを報告書とする。もちろん椿先生だけでは見逃す可能性がある。だから我らの分の写真も撮っておく」


そう言って闇に一枚写真を渡した。


なるほど、これなら時間もかからないし、ちゃんと監視していることになるな。「所で、眼帯をつけてから外すのに意味があったか?」


「愚問だな。我がの封印を解くために」


「あぁ、はいはい分かった」


「ちょっと話を振っておいてそれはないのでは!!?」と話を振っておいて無視をする闇に幽一は悲痛の声を上げた。


それから、体育館、各教室、実験室、技術室、体育倉庫と進んでいった。「なあ体育倉庫まで調べる必要あったか?」すると、幽一は声を詰まらせて若干、汗をかきながら「あ、あま、甘いぞ闇氏、特に体育倉庫では何が起こっているのかわからないからな」と言った。


「何かって?」と闇が聞くと幽一は「それは、ねえ、まあ、あれですよ、ねえ」と言葉を濁した。その反応を闇は不思議に思ったがろくなことじゃなさそうと思いスルーした。


「ここが、風紀委員会か」闇たちは2階に行き風紀委員会室とプレートが貼られてあっても他の教室と外見はなんら変わらなかった。よくある普通の教室のように見える。特別耳をそばだてているわけではないが中から女性の声がした。


 が、直後、闇は寒気に襲われた。なんか、嫌なのだ、その教室には何か嫌悪感を覚えてしまう。害のある者がいるのではないかと闇は肌で感じていた。


「闇さん、気を付けてください、この風紀委員には危険人物がいるとのことで有名であります。主に女性を狙ってきてやたらとお揃いの服や装飾物を求めたり、お弁当をわざわざ作ってきたりなどと執拗に愛が重い行動をとる者がいると言う噂がってあれ、闇氏どこにいくでありますか?」


「あーうん、急用思い出したから風紀委員はまかせるわ」闇はそこから離れようとした。


「ちょっと、もう目の前に来てそれはないでしょ!!闇氏」


「うっせえなぁ、風紀委員室の中に入るのは嫌なんだよ。私の本能が入るなと言っている。」


「いや、そこをなんとか」


「とにかく入らないぞ私は入らないぞ!!!」と言い争っている内に「廊下では騒がないようにしてくださ……」と、見覚えのあるサイドテールの女が目に入ってきた。


うっ、やばい奴と遭ってしまった。


なんとなく話の流れから証 氷柱 彼女がいることは予測できた。しかし、こうもピンポイントでエンカウントしてしまうとは。


彼女は闇を見るなり、パッと5歳児の子どものように無邪気な笑顔になり思いっきり走りながら「まぁ、貴方は黒城 闇さんではありませんか、どうしたんですか? 私に会いにきてくださったんっですか?良かった、ちょうど明日のあなたにつくるお弁当を試食させていたところなんですよ。よかったら食べてみませんか? さぁ、遠慮なさらずに、さぁさぁさぁ」この人さっき自分が注意したこと覚えているのかな? と思ってた矢先に氷柱は幽一の存在に気付き「これは、失礼いたしました。おや、あなたがいると言うことは彼女は監視委員に入ったということですね。よろしいです。では、中に入って写真を」と幽一の姿を見るなり、彼女は闇の前でみせた。騒がしい態度を止め、まさに凛ッとした態度で接した。


そこには、先ほどの気持ち悪い友達と言う執着心にとりつかれた彼女は煙のように消え、例えば、今月の予算の取り決めをする、そんな感じのビジネスマンの表情をした女がいた。


そして、その毅然とした態度のまま風紀委員室に入れてくれた。


中に入ると部屋はまっくらで大きなスクリーンがそこに飾ってあった。「ごめんなさい 今は私一人だけですが本当は二人いますの。ただ、いま一人は見回り中でして」


「見回り?」


「はい、最近、この学校の教師の方が風俗店に入っているなどと言う言葉を耳に聞いたもので」     


はい、それ絶対、椿先生のことだ。ん? でもそれにしても「それは、学校の管轄外のことじゃないか、態々風紀委員がすることじゃあないんじゃ」と闇は質問する。それはそうである。風紀委員会に関わらず、どの委員会だって学校の枠内で治められるべきものである。それを枠外どころか、世間、世にいう一般社会にまで関わるなんて、まるで警察官の仕事ではないか?と闇は疑問に思った。


「いいえ、風紀と言うものは学校内で良ければ良いというわけではありません。学校外における風紀もきちんと見ておかなければなりませんおかしな変質者はどこにでもいるのです」


「はぁ」そういうもんなのか。でも、こいつが言うとなんとなく納得できないな。それは、そこまでする必要があるのか? と言う疑問ではなく、こいつ、氷柱の今までにとってきた自分の態度が今の主張を受け入れるには無理があると言うことで闇は納得できなかった。


「執拗に愛が重い友達発言も風紀違反なんじゃないか?」


「いえ、あれは、友達として必要な行為なもので」彼女は毅然とした態度で言う。


「必要じゃねえだろ」


「いいじゃないですか、別に私がストーカーをしているわけではないのですから」


「あぁ、はいはいわかったわかった、おーし、幽一、次行くぞ、次」と闇が半ば適当に済ませて幽一を連れて行こうとすると幽一は、こそこそと氷柱の元へ近づき「いつものものでございます」と言って、何やら写真みたいなものを渡した。


それを見た闇は直感でその正体を感じ取った。「おい、氷柱!! お前コイツの能力を使って盗撮行為をさせているのか!?」


すると、氷柱は、え? と言うような顔をしたかと思うとやれやれと言うように手を広げ首を横に振り「人聞きの悪いことを言わないでください、私が今受け取ったのは、風紀を乱している生徒の写真です」と言った。


「いや、お前でもそれって盗撮なんじゃ……」


「綺麗ごとだけでは風紀委員はできません」と言ってにやりと氷柱は笑った。


その態度に、闇は氷柱の本質的なものを見た。風紀を正す、そのためにはどんな手段でも取るのではないか? と闇は感じた。


 だが、逆にそれが闇の心の琴線に触れた。


(世の中、まだまだ捨てたもんじゃねえな)


そんなことを思っていると、氷柱は、闇が引いたのではないかと思ったのか、不適な笑いを止め、何か恥ずかしがるように桃のように頬を染めた。そして、そのまま自分の指と指を絡ませながらおしとやかな態度で闇に近づいてきた。


「あ、あの、闇さん、その、口止め料と言うわけではないのですが、これを」そのまま頬を仄かに紅潮させ、1枚の写真を闇に手渡した。


「ん?なんだ?」すると、そこには、湯気で視界が悪くなっても分かる辺り一面、壁、風呂が薔薇に囲まれたシャワールームで体を洗っている人間がいた。姿は湯気で見えなかったが、シルエットから女であることが分かった。


闇は、虫の知らせか、体に悪寒が走る。


「あ、しょうがないです」タオルも羽織らずいやらしいと言うように抱きしめるように腕で胸を隠していた姿を見て、闇はその場で、ビリビリビリビリ!! 闇は写真を破いた。


「な、何するんですか!? 闇さん!! これは、せっかくの私のレア写真なのに!!」


「何がレア写真だよ!! こんなもんいらねぇんだわ!!」氷柱を見直しかけた闇であったが評価が地の底まで下がった。


その直後、幽一が「氷柱様、例の物を」と言い仰々しく深くお辞儀をした。


「ああ、そうですね」と言って。幽一に何か渡した。


「何を受け取ったんだ?」


「デュフ、それは言えないですね」


このまるでステレオタイプのオタクの笑い方、どうせろくでもないことに決まっている。それにしても、風紀の乱しを発見するために盗撮を依頼し、成功した者に報酬を与える。闇は氷柱がただの頭でっかちな変態ではないことを感じた。


「フフフ、どうですか? 闇さん、私を見なおしてくれましたか?」


「ま、まあ、ただの変態ではないことは感じたよ」少なくとも、闇は氷柱のことは見直していた。まあ、さっきの写真は置いといて。それでも、こいつがただの変態だったり、規則をやぶらないだけのいい子ちゃんではないことを闇は感じていた。


すると、氷柱は写真をみながら「フフフ、そうですか、闇さんの誤解もとけてよかっ・・・・・・アバンギャルド!!!!」氷柱は余裕綽綽な態度を取っていたかと思いきや、藪から棒に叫び出した。


「なんと!! 校内でこのような風紀を乱す行為をしているとは!! これはいけません、18禁です!!」氷柱は何やら一人で興奮している。すると、興奮しすぎたためか、ピラッと写真が闇の前に落ちてきた。


「なんだ?」闇が見ると、おそらく放課後であろう、女子生徒2人がコンビニで買ってきたのかクレープを校内の庭園で食べている写真だった。


「? なんだ? 別に普通のことじゃないか」闇がこれのどこが風紀の乱し?と感じていると


「何をおっしゃいますか!? 校内で堂々と不純同性交友が行われているとは!! これは事件です!!」と氷柱は興奮して言ってきた。


「こんなの、別に普通じゃねぇか」(ていうか不純同性交友ってなんだよ)


「いーえ、これは立派な性犯罪です!! 見ていてください!!!」


闇と氷柱がそのまま見ていると、女子生徒の片方が、「私の食べてみる?」と言った。


これを見て、さっきからはぁ、はぁっと興奮している氷柱がまたも声を上げだした。


「見ましたか!?この女子生徒、自分が食べたクレープを相手に差し出しましたよ!!」


「いや、これくらい普通だろ?」


「なーに言ってんですか!! このど変態!!」


「あ?」(ど変態はお前だろうが)


「この女子生徒は自ら襲ってくださいとばかりに誘っているんですよ、自分が食べたものを相手に差し出すなんて、間接キスじゃないですか!? 唾液と唾液が交わりだす、言わばマウスtoマウス!! 舌と舌が交わりあう、言わばディープキス!! 大体、食べる? て言う言葉も自分をたべてほしいと誘っています!! その後、きっとおっぱじめ・・・・・・」


スパアン!!!闇が氷柱にビンタした。


「な、なにをするんですか!?」


「全部お前の妄想だろうが!! なんでただの食べ比べからそこまで妄想するんだ!?」


「え?食べ比べ?闇さん・・・いやらしい」


「どこで恥ずかしがってんの!?」


すると、氷柱は急にもじもじし始めた。そして、「闇さん、私を誘っていますね」


 まーた、変な妄想が始まった。と思い半ば諦めながら「なんでそうなる?」と聞いた。


「だってビンタするってことはそう言うことでしょ!?つまり」






※これは氷柱の妄想です


「おいおい、私以外の女に発情したのか?お仕置きだ」


スパアン!!


「闇さん、何を!!(もっとやって)」


スパアン!!


「く・苦しい(気持ちいい!!)」


スパアン!!


「も、もっとやってください!!(もうやめてください!!!!)






「あ、だめです、闇、さ、あ!! てあれ?」


 豊かな妄想にとりつかれている内に闇たちはどこかに行ってしまったが、もちろん自分の世界に入り浸っていた彼女が気付くはずも無かった。


「ちょ、闇さん!? その扱いは無いんじゃなくて!?」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る