第2話 教師だって人間なんだからキャバクラ行ったっていいんじゃないか!?
そのあと、闇は氷柱に実験室や、技術室、保健室などの案内をされていた。ただ保健室の時に、「もし、保健室に行く時があればわたくしも一緒に行きます……苦しみを分かち合うのが友達ですもの」と言う発言をしたり「こんど、わたくし特製の服を一緒に着ませんか? お揃いの服を着る、私の夢なのです」
「そうだ、お揃いの服を着てきた日はお揃い記念日にしましょう」と愛が重く友達を強調した発言をしてくることが闇の背筋を凍らせる。
「おや、あれは」ふいに氷柱は窓の外を見た。その方向を見ると、サッカー部が昼の練習をしている。
近年、野球なら180キロの球を投げたり、サッカーなら、キーパーがダイレクトシュートを決めたりノールックパスをまるでフィールドをすべて見ているようなプレーを普通にするなど身体能力が向上している。一歩間違えれば漫画の世界だ。もしかしたら超能力を使うやつも現れるのではないかと言う人もいる
それに応じるように近年では、本当に稀に誰も入っていないのに突然銀行の金が全部盗まれるなど、そう言った不可解な事件が起こっている。一時期は何か超能力のような力が起こっているのではないかと言う話が飛び交ったがそんな時『特殊警察課』という組織が超能力の存在を否定している。
闇がそんなことを思い出していると「あ、もう12時30分になったんですね、名残惜しい所ですが、わたくしはここでお暇させて頂きます」と突然、氷柱が口を開いた。そうか、やっと解放されるのか、正直、ちょっとでも可愛いと思ってしまったことが悔しいと闇が思った直後、先ほど渡したブレスレットを指さし「そのブレスレット、私だと思って大切にしてくださいね、私もこのブレスレットを闇さんだと思い大切にします。あ!! 友達ですからもう呼び捨てにした方が良いですよね」……愛が重い!!
「さて」闇と別れた後、氷柱はさきほどまでデレデレしていた表情を一変、何者にも心を許さない、そんな冷たい表情にする。
「交差、どうですか?」氷柱は密かに囁く。すると、「はいはい、いつもの慈善活動ね」と氷柱の耳に退屈そうな声が入って来た。
「そう言わないください、これも私たち『特殊警察課』の管轄に入るべきものなのですから」
「……いや、何らかの能力に関わらない事件は『普通警察課』の担当でしょ」
「確かに、そうですが発見した以上は私たちも見過ごすわけにはいけません」
「はぁ、また『普通警察課』から始末書かかされるぞ、管轄外のお前らが動くなって」交差がやれやれ、と言うように氷柱に文句を言うと、「あら、それは『特殊警察課』冥利につきますね」
と言った。その言葉に、交差は頭を抱える。(全く、今の所はいいけれど、その内『普通警察課』から能力者の存在をばらす圧力をかけられると思うけど、まあそこら辺はコントロールするしかないか)
「それに、あの方々は『光条グループ』の元で動いている組織です、容疑者をわざと逃がすこともありえます」氷柱がそう言うと、交差は少し黙っていたがやがて「そうだね」と同意した。
「氷柱、九時の方向で三キロ、ひったくりがあった」
「問題、ありません、『現状凍結』(コレクターコール)」氷柱は周りに誰もいないことを確認すると、校舎の出口からひとっとびする。氷柱の飛び去った後の地面は僅かに凍っていた。
さて、そろそろ教室に戻ろうかと思っていると後ろの職員室から、「だから、教師が風俗店に行って何が悪いんだって言ってんだよ!!」と大声で怒鳴る女の声が聞こえた。
「椿先生!!あなたはなんてことを大声であなたには、人としてのモラルがないのですか!?」
「モラル!? そんなもん公務員の餌にでもしてろ!!」
「あなたも教師という公務員でしょうに!!」
「あーもううっせえなぁ」
「ちょっと、どこに行くんですか!! 話はまだ終わってませんよ!!」
「授業しに行くんだよ!! 次は保健体育の時間だろうが!!」
「貴方の担当は歴史でしょう!!」どうやら椿と言う女教師が風俗店に行ったことに対して言及されている所であった。それに対し椿はすがすがしいほど開き直っている。うわぁ、なんか大変そうだな。ま、私も教室に戻るか、と思った矢先ガラッ!! とドアが開き一人の高身長の女教師が出てきた。乱暴にドアを開けて出ていった所から椿と言うのはこの教師だと想像できた。髪形はロングで少し碧い髪をしている。「30分前行動だ、今から2年A組に行く!!」
「ちょっと待ちなさい話はまだ……」話の途中で椿は、ドアを反抗期の子どものように乱雑に閉め、正に猪突猛進とも言えるくらい真っ直ぐに走り出した。
うわぁ、2年A組って私の教室じゃねぇか。と闇が思っているとちょうどその教師と目が遭ってしまう。「お、お前が転校生の黒城闇か」正直に言うとこの時、闇は驚いていた。まさか、この軽薄そうな、いや、軽薄そのものの教師が自分のことを知っていることに「え?、どうして私のことを」思わず声が出てきてしまうほどである。
「ん? 全校生徒の名前を覚えるのは別に変なことじゃないだろ?」その女教師はさっきまで風俗店がどうこうとか言っている風には見えないことを言っている。すると「ん? まてよ、転校生? てことは」しばらく考えているようなそぶりを見せたかと思うと、突然「なぁ、入りたい部活ってあるか?」と聞いてきた。「いえ、特に無いですけど」すると突然、興奮した闘牛のように猛スピードで自分の耳元に近づき「じゃあ、放課後職員室の前に来い、お前にふさわしい仕事を与えてやろう」と囁く。
は?一瞬何を言ったか理解が出来なかった。「大丈夫だ、お前以外にも一人いるから安心しろ」
「え……いや、その」
「ん? ああ、そういえば名前はまだ紹介していなかったな、私の名前は椿 風江だ」
そして、放課後がやってきた。闇は重い足取りで職員室に向かっていった。何故なら自分は何事もなく学校生活を過ごすつもりだったのに以上に愛が重い生徒、荒々しい教師に目をつけられる。これだけでも自分の理想の学校生活が崩れ去ったのだから。
重い足取りで1階の職員室の扉を開けると、「お、よく来たな、黒城 闇」と風江先生が左足を右足の内側にいれて半分胡坐をかきながら座っていた。すぐそばには何故か実験室でもないのにコーヒーを入れてあるビーカーが置いてある。もちろん、ビーカーは三脚台の上にありアルコールランプでコーヒーを沸かしている。アルコールランプ特有の実験室のような香りが辺りを埋めていた。
横をみると、闇薙幽一とネームプレートをつけた、なぜか左目が青く、右目が赤いオッドアイになっている少年が立っていた。制服もブレザーを肩にかけており格好つけていた。
闇はそれをみて、あ、こいつ絶対中二病だなっと確信する。闇がそう確信していると「おーっし、お前にはある仕事をしてもらう、コイツと一緒にな」と風江先生が口火を切り、幽一と言う生徒の肩に腕を組んだ。幽一は得意げな表情をした。なんか、ムカつくと闇が思っていると椿が話を続けた。「ある仕事?」
「そう、お前たちには重大な仕事をしてもらう」そう言うと、風江先生は胡坐をくずし立ち上がった。そして、片足を机の上に置き左目に指でカメラを撮るようなポーズを取りながら言った。「お前には、学校の監視をしてもらう」
「学校の監視!?」
「そう、学校の監視をする監視委員会に入ってもらう」なんとなく嫌な予感はしていたがまさか学校の監視を命じられるとは思っても見なかった。
「いや、大体そういうのって先生がやるべきことじゃないんですか? 生徒がやる仕事じゃあないと思うんですが」
「たしかにそうだが、私も半年前からちょっと暇が無くなってな」
「暇がなくなったって何をしているんですか?」
「それは、教えられん」
「昼間に言ってた風俗とか関係あります?」
「ん? 何の話だ?」こいつ、とぼけてやがる。仕事を生徒に押し付けて風俗店行ってたらブチ切れるぞ。
「まぁ、そう大変な仕事でもないさ、大体は、放課後やっている部活の様子をみて、少し異変がある生徒を見つけて報告書にかく、それか体罰の疑いがある先生の報告を報告書にかく」そこで、一旦、話を切り、ビーカーに入れてあるコーヒーをマグカップに移し替える。ビーカーの時はしなかったコーヒー特有の豊潤な香り、実験室から一変し、日なたで過ごすカフェのような雰囲気も感じた。サンドイッチがあったら最高だなぁ、と闇が考えていると椿は再び話を続ける。
「まぁ、部活以外でもそれぞれの教室にいっていじめなどの可能性がある生徒がいるなどの報告を報告書にかく。そして、次の日の放課後に報告書の結果のミーティングみたいなのをする。異常がなければそのまま終了。まぁ、そんな感じだ。」
ようするに学校中をことこまかに見回ると言う意味ね、面倒クサ!!
「まぁ、言われてみると大変そうに見えるが実際やってみると大体は一時間あたりで終わる、まぁ、何もトラブルが無ければ、そう、何もトラブルが無ければな。と言うことで、あとは、幽一に聞いてくれ半年間だがもうすっかりベテランだ」そこで、闇薙幽一の方を見ると、目以外の顔の部分を右手で押さえながらこちらを見ていた。
それを見た闇は、どうかんがえてもまともな奴ではないのは確かだな。と思った。「と言うわけで頼んだぞ、幽一」と風江先生がそう言うと幽一はフッと笑い「我、これより全てを見定める者なり、白城全ての目なり、同胞たち行く末を見守らん」と言った。確定、絶対関わったら厄介な奴だ。と闇は思った。
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