救出

「––––クソッ!!俺がもっと周りを見ておけば...」


バサッ!!!

広場の植え込みから突然人影が現れた。


「誰だ!?」

「僕だよ、僕。」


「何だよ...お前かよ...」

そこにいたのはカイだった。


「すまん。お前らの後つけてたんだよ。」

「ストーカーだろ...」


「...振られちまったな。」

ポン!

カイがルークの肩を叩く。


「今はそれどころじゃねぇよ。」

「わかってる。でも、100万マルクなんていくらお前の父親だからってすぐに出せるもんじゃないよ?」


「わかってる。だから俺達が伊達に王家の人間やってるわけじゃないって示してやろうぜ。」

「いいね。その話、乗るよ。」



■■■■■■■■■■■■




「一応持ってきておいたけど。」

そう言ってカイはルークに剣を渡した。


「よくこんなところまで持ってくるな。」

「側近を舐めないでもらえます?」


「...そうだな。」

「じゃあ早いうちに西の市場に乗り込もう。」


「あぁ。......あいつら...ボコボコにしてやる。」




■■■■■■■■■■■■



ルークとカイが市場の奥に行くと薄暗い、今は使われてなさそうな聖堂に辿り着いた。

そこの奥の椅子にアリアが腕を縛られていた。


「何だ...お前ら...金も持たずにここまで来やがったのか?」

男が言った。


「アリアを離せ!」


「へっ!やだね。こいつの親父の財団のせいで俺達は働き場所を取られたんだよ。それに、身代金のためのいい人質になるからな!」

「てめぇ...」


男がふとルークの持つ剣を見る。

「...その剣の鍔...お前、王家の人間か?」

「ああ、そうだよ。」


「なるほど...じゃあいいぜ、こいつを離してやる。」

「ただし!俺との決闘で勝ったらな!」


「命を賭けろっていうのか...」

「ああそうだ。」


「いいぜ、やってやるよ。」

「おい!馬鹿か、ルーク!そんなことでお前が死んだらどうする!」


「死なねぇよ。俺の取り柄は剣術だけだからな。」

「へっ!いい自信だな!」

男が言った。


「うらぁあ!」


ガキン!!

「––––っ!」


男の剣とルークの剣がぶつかり合う。


キーン!キーン!キーン!


「これじゃあアリアを助けようとしても通れない...」

ルークはアリアを助けようにも、二人の戦いに巻き込まれそうで助けられなかった。


「死ねぇ!」


ドカーン!!


男はルークに向けて思い切り踏み込んで一撃を叩き込んだ。


「おらぁ!」


ルークは剣が地面に刺さったままの男に向け剣を構えて飛びかかった


が、


男はルークの方向に振り向いた。


––––こいつ!気付たのかっ!


ガッ!


男は飛びかかってきルークの首を掴む。


ルークは右手に構えてた剣を落とした。















「...うっ!...てめぇ...」












男は口から血を吐き、ルークを掴んでいた右手を下ろした。












ルークは落ちてきた剣を左手で掴み、男の腹に刺していたのだった。



「はぁ...はぁ...」

「ルーク!大丈夫か!?」

カイが駆け寄る。

「ああ。それより...アリアは...」




アリアは手を縛られて部屋の奥にいた。


「––––大丈夫か!?」

ルークはアリアに駆け寄って、手を縛ってある縄を解いていく。


「...うん...ありがとう...」

「礼はいいよ。」

ルークは縄を解き終える。



「ごめんなさいっ!本当に私のせいで...迷惑かけて!」


ドスン!


「おいっ––––––––」

アリアはルークに勢いよく抱きついた。


「––––––––まぁ、本当に無事でよかったよ。」

「ごめんなさい、私、謝らなきゃいけないことがあるの。」


「え?」

「ルークの事をちょっと疑ってたの。また私の家が目当てなんじゃないかって。」


「実は......最初は俺もそうだったんだ。だけどもう今は家とかどうでもいいんだ。

ただ...君のことが好きなんだ。



      付き合ってくれないか?」



「ええ。もちろん!」

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