誘い

––––ルークが振られたと勘違いする一方アリアは......



「ねぇ、エマ。月が綺麗ってどういう意味?」

「え?月が綺麗って意味じゃないの?」


「そうだよねぇ。」

「いきなりそんなこと聞いてどうしたの?」


「うーん...ルークが...」

「あぁ。ルークがそんなこと言ったの?」


「うん。」

「...アリア、最近あいつと仲良いよね。」


「そうかなぁ?」

「そうだよ。周りもアリアとルークは付き合ってんじゃないかって噂してるよ。」


「えぇ!?そ、そんな、付き合ってなんか...」

「まぁ私はどっちでもいいけど。」


「でも時々ルークは私自身に興味がないように見えるの...」

「...アリア。男には気を付けなさいよ?家目当てで付き合おうとする男なんていっぱいいるんだから。」




■■■■■■■■■■■■



–––––––––学校の教室にて



「ルーク。次のチャンスは修学旅行での自由行動だ。」

「自由行動?」


「あぁ。二人一組で1日だけアルバラの旧市街の観光がある。それにアリアを誘うんだ。」

「わかった。」


「そこでしっかり告白するんだぞ。」

「おおおおおおう」


「動揺しすぎ。」

「ど、動揺なんてしてねぇぜ?ちょっと声帯が震えてるだけさ。」


「それを動揺って言うんだよ。––––––って、丁度いいとこにいるじゃん。」

「ん?」


ドンッ!


カイはルークをアリアのいる方へ押し出した。

「うわっ!やべっ!」

「きゃっ!」


ドスン!


ルークは転んでアリアとぶつかった。


–––なんだ...いい匂いがする...


「––––––ルーク!ちょっと!」

「ん?」


ルークの頭がアリアの胸に乗っていた。


「って!ごめん!!!!!」

ルークは急いで体をどかした。


「そんな驚かなくていいのに。ふふっ。」

アリアは焦っているルークを見て笑った。


–––カイの野郎...!!

ルークはカイのいた方を見たがもうそこにカイはいなかった。


「ルーク、大丈夫?どこも怪我してない?」

「ああ。大丈夫だよ。」


「良かった!いきなり私の方に転んできたからびっくりしたよ。」

「ああ。ごめん。」


「いいよ。その変わりルークの焦った顔、面白かったし。」

「–––あ。あのさ、そういえばちょっと聞きたいことあるんだけど...」


「なあに?」

「こここ今度の修学旅行の自由行動って、もう誰と行くかとか決まってる?」


「決まってないよ。」

「じゃあさ、お、俺と一緒にどうかな?」


「いいよ。」

「本当!?」


「うん、楽しみにしてるね。」

「おう!」


「じゃあまたね。」

そう言ってアリアは教室の外に歩いていった。




–––やったー!!!!!!!

ルークは心の中で叫んだ。

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