11章 

11章 贖罪



2033年7月



「皆さん、、ありがとう

お陰で漸く、明日が訪れそうです」



全身を僕のと同じ様な作りのスーツに身を包み両目を隠す様に機械のゴーグルらしき物を付けた男性が現れた


「誰だ貴様は!」

「おやおや、忘れられてしまうとは悲しいですね

無理も有りませんか

顔も声も変わってしまいましたからね

あなたの所為で」

「何?、、」

「お久し振りですね

奈咲さん

姶良、と名乗るのはもう無粋ですかね

改めましょうか

私の名は磐勢向後

あなたの嫌いな友人2号ですよ」

「磐勢!?、、って事は、、へ?」

「ジィさんどういう事だ!?」

「あぁ、奴は俺の息子だ」

全員がどよめく

赤羽だけはそれを知っているかの様子だった

「遅いぜ勇さん、、予定ならもうちょい早かったろう?」

「君達の進展が早かったからですよ

それにしても言由君、黙っていてくれてありがとう」

「喋りたくてウズウズしてたがな!」

「説明しろ!?何故姶良が!?、、

向後が生きている!?」

「簡単な話ですよ

あなた方が殺したのは正真正銘私の[肉体]です

ですがその直前に私の記憶、人格を別の肉体に移したんですよ

殺されるのは百も承知でしたからね」

「もうなんかそういう凄い事聞いてもあんまり驚かなくなって来た、、」

「観斗君、同感だ、

分からない事尽くめで頭がパンクしそう、、」

「どこまで小賢しいんだ貴様らは、、

言葉はもう不要だ

やれ」

「解

模倣演目変更

伽藍ノ儀 十一章七節 閻羅

模倣開始」

「皆さん、少し下がっていて下さい」

「向後さん!彼には打撃が通じない!

粒子も弾かれるし急所が無い!」

「なるほど、ありがとう

参考になります」

すると向後さんの右手に剣の様な武器が現れた

鞘も一緒に現れ剣を鞘に仕舞う

「四撃は必要そうですね、、

生かすのが難しくなってしまう

清十郎、禁呪再犯の赦しを」

「親父と呼べ阿呆、お前が勝手に創った流派だ、変な建前まで創りおって、好きにしろ」

「御意

磐勢獄刀流 浄獄」

鈍い音が鳴り響き、十六羅が膝を着く

だが僕らの目には彼が動いている様には見えなかった

剣を抜いた素振りすら

「硬いですね

楽しくなってしまいます」

十六羅が反撃をしに突っ込みに行く

「磐勢永刀流 天磊」

十六羅の動きが止まる

体中の武器が全て破壊されていた

「磐勢冥刀流 絶裁」

鎧に半分以上ひびが入った

未だ彼が動いている様には見えない

「終わりにしましょうか

楽しかったですよ?」

「模倣演目変更

伽藍ノ儀 終章 終節 俯瞰絶界

模倣開始」

体中からプラズマを限界まで放っている

離れていても衝撃波が凄い、、

「このクライマックス感堪りませんね

滾ります」

何言ってんだあの人?

「常磐が変わらざるは変生非らぬ一刀が如し

是成すは獄下天上の極地也

故に果て故に極み故に絶刀

穿つは悪世刻むは正史


磐勢終刀流  創世転輪」

轟音豪風そして眩ゆい光が辺りを包む

視界が晴れ1人の勝者が立ち敗者が倒れていた

「向後さん、、凄い、、、」

「褒めても何も出ませんよ?

さて奈咲さん

大事な懐刀がお釈迦な今

あなたが出来る選択は何だと思いますか?」

「知れたことを、、終わりだ全て

俺を殺せば茅場も味方するだろう

それで終いだ」

「それは違いますよ承さん?

私は最初からあなたの敵です」

見覚えのある男性が現れた

「遅いご登場ですね茅場さん?」

「この場には居たよ?でも君が大暴れしてるもんだから出るに出られなかっただけだ」

「俺は最初から1人か、、

なぁ教えてくれ

俺は普通じゃないのか?」

「愚問ですね

逆に問います

普通とは何ですか?」

奈咲は下を向く

「あなたと私を含めこの場に居る全員

そして阿崎創も

普通が何かなど説明出来る訳もありません

何故なら異常が無ければ普通は成立しないからです

無論あなたの作ったこの国もあなたという異常があったから普通を求める者が現れた

それだけの事です」

「俺は、、どうすれば良かった、、」

「これから考えては?

考える、というのは人間の特権ですから

それよりも復興が大変ですからね

あなたもしっかり働きましょう

価値の無い人間など何処にも居ません」


奈咲はどこか吹っ切れた笑顔を浮かべた

すると少し離れた場所から大きな音が聞こえた

直後にミサイルの様なものが打ち上げられていた

老人が1人こちらに歩いて来る

「敗れたのだな、承」

「親父は出て来るなと言った筈だ!?

、、、まさか核を打ったのか!?」

「当然だろう

壊れたのなら直すまで

直すのが面倒なら更地にすれば容易い

ここの地下はシェルターにもなっているし何の問題も無い」

「ふざけるな!俺は一言も核を使うとは言っていない!」

「そうだな、私が決めた」

「くそ、、」

「予想通り過ぎて笑えますね

では仕上げと行きましょう

そろそろ出て来ては如何ですか?3人とも?」

何も無い場所に3人の男女が突然現れた

「バレてたか、、まぁ良い、久しぶりだな!」

「元気にしてた?向後?あ、じゃなくて勇?」

「もう隠してはいないですよ」

「17年振りだな、向後」

「お待ちしていました」

「勇さん?いきなり出てきたこいつらは誰だ?」

「最後の味方です」

「んじゃ最後の見せ場もらっちまうぜー!?」

「せっかくだから3人で合わせてやりましょう!」

「何でも良いが早くしろ

成層圏を出ちまう



アルストロメリア・インゼクティブ」

3人が声を合わせ手をかざすとミサイルが目に見える距離まで下がってきた

不思議な光に包まれ次の瞬間ミサイルは跡形も無く消えた

「これで俺達の役目は終わりだ

放射能の心配も無い

さらばだ向後、そして賢者達」

「じゃあな!」

「バイバイミスター向後!またね!」

「えぇ、約束を果たしてくれてありがとう」

3人は光と共に消えた

「、、これってもしかして俺たちの勝ちじゃね?」

「焦るな諒、1人だけ納得していない奴がおる」

「この場に居る人間全員殺せば済む話だろう?」

奈咲の父が僕らに銃口を向ける

すると次の瞬間発砲音が鳴った

「私は益になる事なら何でもやりますが無駄な事をする人間はどうにも許容出来ません」

茅場の放った弾丸が奈咲の父の肩を撃ち抜いていた

「犯罪者になるのは御免ですので、、

峰打ちにしておきました」


僕らはそのまま工業地帯を後にした

「茅場さん、一つ良いですか?

どうして最初は奈咲に協力したんですか?」

「そう思われても仕方ない事でね

良いかい観斗君?世の中っていうのはどこにだって[裏]がある

それだけの事だよ」

「つまり私関連という事で間違い無いですね?」

「向後、フィクサーに宜しく」

そう言って茅場は立ち去った


それからは本当に大変だった、みんなとゆっくり話す時間も無く復興の二文字にみんな追われていた



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る