2章

2章 盲目



2033年7月



僕は何を見ている


先日仲の良かったクラスメイトが数人、学年単位を落としラビッシュになった

僕はそれを見ている事しか出来なかった

今の日本ではラビッシュになる事は死を意味する

だから皆んな必死に勉強して社会に出る事を目指している

だがその努力が報われるのは半分程しか居ない

何故ならこの国の試験は学力ではなく[思考力]を試されるからだ

学力は身につけられても考える事に関してはその人自身の個性が顕著に出る

そもそもこの国のシステムは破綻している

賢い者が世に出るのではなくこの国の都合の良い性格の人間だけが残る様に作られている


狂っている


だがその本質に気付いているのは残念ながら僕の周りには居ない


まぁ居たからどうという話ではない

今の僕には母さんに健康に生きてもらい

僕は早いとこラビッシュになってこのクソみたいな国に別れを告げる事以外何もない

父さんは僕が5歳になる頃亡くなったらしい

特に思い出もなく感傷を抱いてもいない

強いて言うなら母さんのそばにずっと居て欲しかった

僕には母さんを見守る事は出来ない

そんな自分勝手な謝罪しか出てこない

太陽が輝いて観えた日は一度も無かった


「観斗ー!」

下から母さんの声が聞こえる

どうやら監督係の人が来ているらしい

そういえば母さんが言ってたな

どうせ夏休みに入る頃には僕はラビッシュになっているのだから今更誰が来ようが関係ない

プリントやらを持ってきてくれていた子達も居ない今、僕には一切の未練が無かった


玄関には丸刈りで明るそうな男性ともう1人

新人さんかな?

丸刈りの人よりも若くて不思議な雰囲気の男性が立っていた

挨拶をするとその新人の様な人が僕を凝視する

物珍しい感じで見つめていた訳ではない様だ

ともかく気にせず部屋に戻る


また自分の世界に入る

時計の針が僕がラビッシュになるまでのカウントダウンの様に聞こえてきた

もうすぐだ

もうすぐで何も考えなくて済む

自殺が駄目なんてどこまでイカれた法律なんだ

これじゃまるで飼い殺しだ

「はぁ、寝よう」

5時間程寝ては起きてを繰り返す生活

頭の中を日々巡らせては都合の良い解釈と

この社会への文句しか出てこない

「人って欲がなくなると死を欲するんだな」

諦観にも等しい一つのくだらない答えを出し眠る


3日後僕の家に先日訪れた新人の様な人、、ではなく本当に新人の木戸さんがやってきた

どうやら木戸さんが新しい担当らしい

玄関を開けた時木戸さんは酷く思い詰めた表情をしていた

「こんにちわ観斗くん、改めて僕は木戸聡

よろしくね」

はい、お願いしますと一言言うと僕の部屋に案内した

「お邪魔します、綺麗な部屋だね!いつも自分で掃除しているの?」

「えぇ、まぁ、母が目が不自由なので基本家の事は僕がやっているので自分の部屋もついでに片付けてます」

感心した様に頷いている

こんな事で?と余計な達観が邪魔をする

「どうぞ掛けて下さい」

「ありがとう、早速本題なんだけどどうして観斗君は学校に行かないの?提出物もあまり出していない様だしテストも殆ど受けていないし、はっきり言ってこのままだと凄く危険なんだ

このままだと本当にラビッシュになってしまう

命に関わるんだ!何か理由があるなら全て教えてほしい

僕に出来る事で全力でサポートするから、、」

やけに感情的に訴えてくる

何故だろう

他の人と比べて違和感を感じる

今の世の中を生きている人の感性では無い様な

無駄は承知で話してみようと思った

根拠は無いけど何処か信用出来る様な、話を聞いてくれる様な、そんな気がした

「木戸さんは社会に出て何を感じました?

生きていて楽しいですか?」

「え、、、それは、、」

鉄砲玉を食らった様な表情をしている

やはり話を理解して貰えるかもしれない

「今の世の中は人の命の重さが頭の良さでしか計れなくなっている

なのに必死に勉強して社会に出ても待っているのは何も変わらない、何も生まれない1日を繰り返すだけ、でもその価値の無い1日の為に何百人何千人の価値ある命がネジ代わりになっている

僕はそんな茶番に付き合いたくない

自殺もダメ、渡航もダメ、

なら後はラビッシュになるしか逃げ道は無い

違いますか?」

木戸さんは終始驚いた表情をしていた

だが真面目な表情に戻り口を開いた

「それでもだ、自ら命を捨てるなんて間違ってる

何があっても生きるべきだ

例え何も生まれなくても!」

綺麗事にしか聞こえなかった

「僕はついこの間この国の異常なシステムを知った

驚いたし怒りが込み上げたし悲しかったし、

それでも生きていなきゃいけないと思うんだ

本当はすぐにでもこの仕事を辞めたいけど

君の事が頭をよぎったんだ

君はきっと凄く頭が良くて、でも良すぎて間違った答えに辿り着いてしまってるんじゃないかって思って、、

だから君だけは助ける

何としても」

初めて人の熱意の様な物を感じた

人を信じるなんて事今まで無かったが

存外、あったかくて気持ちが良い様に感じた


その時僕の頭の中で妄想に留まっていたとんでもない考えが明確に形となって頭に浮かんだ


きっと木戸さんとなら、もしかしたら


「木戸さん、、落ち着いて聞いて欲しいんだけど、、」

呼吸を整える

僕は今から意味の分からないことを言う

でもまぁこの世界も意味分からないし今更どうでもいいかと自分の中で勝手に納得していた

「この国をぶち壊さない?」

木戸さんの魂が口から抜け出ていく

完全に思考が止まっている

面白い顔するなこの人(笑)

「ちょ、、え、は???、、、、、、

、、、、、んん??

ん?」

「一応もう一回言うけどこの国ぶち壊さない?」

「大丈夫だよ観斗君、何回言われても多分一生分からない、、」

感受性が豊富そうだなこの人、、

「僕に考えがある

勿論成功する確率なんて知りたくも無いし

あり得ない事だらけだけど

もしかしたら木戸さんと僕なら

本当にもしかしたらひっくり返せるかもしれない

この国を、、、」

木戸さんが息を呑む

「僕、真面目に生きてきたつもりだけど、

まさか高校生とテロを企てる流れかなこれ?

うん、もうなんかどうでもいいや

丁度意味分からない事だらけで頭疲れてたんだ、いっそはっちゃけるのもアリかもね」

「いや、頭めちゃくちゃ使うよ?

しかもはっちゃけるって銃乱射する訳じゃないし、もしかしたらそんな感じになるかもだけど、、」

「と、とりあえず今日は帰るよ

明日のお昼過ぎに会えるかな?詳しく話を聞かせてほしい」

「分かった、じゃあまた明日、木戸」

「あれ、しれっと呼び捨てだし敬語が何処かに置き忘れてあるけど大丈夫?」

「人と人の距離は近いに越した事はない

それじゃあ!」

そういってベッドに飛びこむ

我ながらヤバいやつだ

木戸さんが帰った後も暫く寝れなかった

「生まれて初めて楽しい1日だったかもな」

新しい気持ちを手に入れ少し満足したかの様に眠った


翌日、木戸が家にやってきた

家には母さんが居るから話を聞かれてはまずいと近くの公園に向かった

ベンチに座り僕の考えを打ち明けた

「木戸は今の国のシステムを変えるにはどうすれば良いと思う?」

あ、タメ口継続なのね、、みたいな顔をしながら答える

「うーん、やっぱ戦争とかかな?

もう国の事をめちゃくちゃにすればいけるのかなー、、

でも僕らにそんな手段は無いし、、」

「実は半分正解なんだ

最終的には武力に頼るしかない

ただ全面的に国を壊してしまえば復興やその後の権力のあり方に響くからね

僕らが戦える状況に持ち込んで今の首相

茅場武靖を捕まえる」

すっかり腰が抜けてる木戸をよそに続ける

「その前にまずは味方が必要なんだ

それも何人も

強い人と頭のキレる人

それにこの世界を壊したいと思ってる人を」

「ちょ、ちょっと待って!まず首相を捕まえるって捕まえてからどうするの?」

「法改正さえ出来れば後はどうにでもなる

でも法改正をするには今の法律では首相が必要不可欠なんだ

だから首相を捕まえるのが最終目標になる」

「う、うん、、とりあえずそれは分かったけど、、

じゃあ味方はどうやって集めるの?

この国壊したい人居ますかー?って歩いて回る?」

「木戸って実はバカ?、、」

グッ!?、、と腹パンを食らったかの様に顔が萎んでいる

「木戸はラビッシュ関連の仕事をしてるんでしょ?ならこの辺りの人間で意図的にHCP指数を下げてる僕みたいな人間を探すんだよ

出来れば公務員の人とか居れば完璧かな

中の情報を知れるのは有り難いからね」

「君は、凄いな、、

到底思いつかなかった、、」

「こんなのは学力じゃなくて発想力だからね

得て不得手があるのは仕方ないんだよ」

少し納得したかの様だったがやっぱり落ち込んでいる様子だ

本当になにも知らないんだな、、と少し同情の様な感情を持った

「とりあえず木戸は明日からさっき言った事、お願いね

僕は別で考え事があるから」

「は、はい、、」

完全に立場が逆転していた

それから4日後

木戸から連絡があった

明らかに不自然なHCP指数の下がり方をしている人間が居ると

しかも現役の警察官らしい

僕はすぐに木戸と合流しその人が働くという交番に向かった


両国にある交番にやって来た

ここで例の警察官が働いてるらしい

「木戸、その人の名前は?」

「仲吉進さん、45歳だ」

「なかなかおじさんなんだね、どんな人なんだろう」

交番の中に入り声を出す

「ごめんくださーい!」

中から眼鏡を掛けた少し背の小さいおじさんが出てきた

「どうされました?」

物腰が低く柔らかい雰囲気の人だ

「こちらの交番に仲吉進さんという方はいらっしゃいますか?」

「えぇ、私が仲吉ですが?」

すんなり見つけられた

「勤務中申し訳ないです

実は貴方にお話しがありまして、、

良ければ退勤後にお会いできませんか?」

木戸も意外と腰が低いんだな

「えぇ、構いませんが?

そしたら今日は16時で終わりなのでもう一度その頃にいらして頂けますか?」

「分かりました、ありがとうございます

では後ほど」

会釈をして交番を後にした

「なんかやけに腰が低い人だったね」

「まぁ今の時代で働いてる人なんて変わり者が多いからね」

「観斗くんっていじめっ子でしょ?」

「そう言う木戸はいじめられっ子?」

どうやら僕達はよく分からない距離の縮め方をしたらしい

「とりあえず何処かでお茶でもしようか

あと3時間くらい空いてるからね」

木戸に賛成し近くの喫茶店に入った

「何飲む?」

「僕はカフェラテにしようかな」

「じゃあ僕はホットのブラック、トールサイズで!(キラッ」

「いやコーヒーでマウントを取るのはなかなか恐ろしい人だよ木戸?!?!」

僕らは暫く今後の事を話しながら時間を潰していた

「そろそろ行こうか観斗君」

「そうだね」

そうして店を出ようとした時1人の男性がAIに向かってなにやら怒鳴っている様に見えた

「だーかーらー!金払うって言ってんだろ!

何だよHCPパスって!?んなもん持ってねぇよ!店員はいねぇーのかここは!?」

「木戸、、彼もしかして」

「お金って言ってたよね?しかも店員が店にいると思ってる」

「もしかしたらこれ、めちゃくちゃラッキーかもしれない」

そう言って僕はその男性の元へ近寄りAIに対して僕のHCPパスをかざした

精算を終えて男性を外に連れ出す

「な、、もしかして今俺の代わりに払ってくれた?いやぁすまねぇな!とりあえず今の代金払うわ!」

木戸と目を合わせる

「お兄さん、名前は?」

「あ、俺?俺は業平諒

実は今日の朝くらいまで病院で寝たきりでな

飛び起きたら医者はいねぇし機械がビービー鳴っててよく分からんかったから病院抜け出したんよ

そしたら街並みがえらく変わってるし現金使えねーし昼から呑んだくればっかでどうなってんだ日本は?前よりイカれてるぜ!?」

「業平さん!僕達これから用があるからそれまでこの喫茶店に居て!1時間後に戻って来るから!それまで絶対にこの店から出ないで!

戻ってきたら今の状況を全部伝えるから」

「お、おう、、分かった、じゃあ店に居るわ、、」

何とか業平さんを店に留めて交番に向かった

「ねぇ木戸、さっきの人どう思う?」

「話しぶりから現代の事を一切知らないらしいな、となるとHCPが施行されてから一度も目覚めて無いって事か?」

「その可能性が高そう、とりあえず仲吉さんと話を済ませてすぐに戻らなくちゃ、

1人にするのは危険過ぎる」

なんとか仲吉さんの交番に戻ってきた

「あぁ、お待ちしてました」

「すみません遅れました、、

ひとまず場所を変えますか?」

「すぐそこに公園があります」

「分かりました」

公園に移動しまず木戸から話を始めた

「自己紹介が遅れました、僕は木戸聡、錦糸町で地域基準監督係に勤めている者です

そしてこちらは阿崎観斗君、縁あって今行動を共にしています」

「そうですか、、改めまして私は仲吉進

先程の交番に勤めています

ところでお話しというのは?」

「えぇ、実は僕らは今テロを企てています」

いきなりぶつけてきた

普通ならここで話は聞かない筈だが

「なるほど、では君達はテロを企てる際

仲間が必要になる、それで木戸君の職を利用し仲間に出来そうな人を個人情報から探し当て実際に話をしに来たと、、」

読まれた

この人、相当頭がキレるらしい

「ツッコミ所が多々ありますが私は君達に協力しましょう、、

こう見えて私、年齢別試験ランキング1位なんですよ、、」

にやりと微笑む

「ですが、良いんですか?そんなにあっさりと」

「私も考えてはいたんですよ

この国の変え方を、、もしかしたら私は君達の様な人が出て来る事を待っていたのかもしれない」

少し表情が暗めいた 

「私なら1人だけ仲間に誘えそうな若者が1人知り合いに居まして

こうとなればすぐにでも連絡をしておきます

それと阿崎君、と言いましたか?」

こくりと頷く

「君はご家族も含めてすぐに身を隠した方が良い」

「何故です?」

「この国の管理体制を侮ってはいけない

少ない人口に対して管理する側は機械で1人1人を監視している

木戸君と阿崎君が知り合ったのは阿崎君がラビッシュになる危険性があったからでしょう?

私と同じように」

はっ、と事態の深刻さに気づく

「恐らくもう気付かれていましょう

阿崎君の賢さに気付いた上で木戸君の行動を監視していれば反乱分子である事は容易に見て取れると思われます」

仲吉さんがそう話した瞬間、公園の反対側の入り口から国の警備官の制服を来た男性が5人程、僕らを見つめながら進んできた

「早過ぎるな、、2人は急いでここから離れて下さい」

「仲吉さん1人がここで捕まれば話は白紙になります、、なんとか切り抜けないと」

すると僕らの後ろからも3人警備官がやってきた

「いよいよ不味いな、、観斗君格闘技やった事ある?」

「勿論ないよ」

「奇遇だね、僕もだ」

「大変奇遇ですな、私もありません」

「仲吉さん警官でしょ?空手とかは?」

「今の警察官など町の風景と睨めっこするだけのメンタルスポーツに過ぎませんから」

あっはっはと笑う

このおっさんどうしてくれよう

「目標のラビッシュ候補、及び公務員2人を確認、確保します」

走ってきた

もう終わりだと思った

「おーーい!兄ちゃんたちーーー!!」

近くから馬鹿でかい声が聞こえた

「お前らいつになったら来るんだよ!

遅いよ!コーヒー飲み過ぎてお腹タプタプだよ!」

「この方は?、、」

「さっき喫茶店で会った怪しい人です」

「それひどない?!」

「貴様は何者だ」

警備官の1人が業平さんに声を掛ける

すると後ろの警備官が小さく呟く

「こいつ、例のB目標です」

「なるほど、こいつから余計な事を吹き込まれた可能性もあるな、全員生きたまま確保しろ!」

警備官が一斉に襲いかかる

すると業平さんが一言呟いた

「こいつら片したら全部説明しろよ?」

そう言った瞬間、僕の視界から業平さんが消えた

いやそんな事が人間に出来るのか?

瞬き3回程の時間で警備官達が全員眠っている

確かに視界から消えた

だがすぐ視界に現れた

全員の警備官に触れたのかすらも分からなかった

「よし!体はそこまで鈍ってないみたいだな!いやぁサンドバックが居ないとどこまで動けるかわからんからなー!助かったぜ兄ちゃん!」

何言ってんだこのバカ?

「よ、よく分かりませんがひとまずこの場所を離れましょう、、完全に目を付けられました、とりあえず私の家なら安全だと思います

全員で仲吉さんのお宅に向かった

「汚い部屋ですがどうぞ、、」

お邪魔します、とゾロゾロと3人で部屋に上がる

「まず、状況を整理しましょう

阿崎君と木戸君は完全に反乱分子として認識されました、恐らく私も

そして業平さんとおっしゃいましたか?

まず貴方の事をお聞かせください」

「おう!よく分からんが俺は気を失ったかなんかでずっと眠ってたらしい

それで今日目覚めて後はあんたらが知ってる通りだ」

「なるほど、、まず貴方のお年は?」

「あん?22だが?」

やっぱりおかしい

たしかに見た目もそのくらいだろう

だとしたらこの世界の事を知らない筈がない

次は僕が質問した

「業平さんが気を失う直前、その頃は何年だったか覚えてますか?」

「えーっと確か2013年の頭だった気がするな

まだ寒かった気がする」

なるほど

ようやく見えた

「業平さん、貴方は恐らく20年間眠っていた

だからこの世界の事も何も知らないんだ」

「ええぇえぇ!てか人間ってそんなに寝れるのか?」

「栄養さえあれば、、きっと植物状態のような状況だったんだと思う」

「そういえばさっき、警備官の人が業平さんの事をB目標って言ってたけどあれは何だったんだろう?」

「予想ですが、この国ではHCP試験を受けていない者を世に出してはならない

よって訳ありで受けられなかった業平さんをずっとマークしていたんでしょう」

「となればまた襲われるって事か、、

なんか面白くなってきたな!」

うわーこの人多分ヤバい系の人だー

「とりあえずまだ分からん事だらけなんだが

お前らこれからこの国潰そうとしてんだろ?

なら手貸すぜ

そんなよく分からん試験受ける気しねーしな」

「本当?!」

つい昂ってしまった

「おうよ!

それに1人、、最強の味方がいるぜ

明日そいつの所に連れてってやる」

「それは一体、、」

「会ってからのお楽しみだな!

それに奴なら20年経っても試験なんか受けずに生き延びているだろーよ」

「そんな人が居るんですか!?」

「だからお楽しみだって!ひとまず今日はここで寝るんだろ?布団借りるぜー」

「あー業平さん!」

「諒で構わねー」

「僕と観斗君はどうすれば、、」

「今日はここで泊まるのが賢明でしょう

出来れば明日は諒さんと行動を共にして下さい」

「仲吉さんは?」

「私は先程言った私の味方の元へ行ってきます、きっと力を貸してくれる」

「そうですか、分かりました」

そうして僕らは休むことにした

たった1日でここまで味方が増えるとは思わなかった

だが喜んでばかり居られない

敵として顔がバレた以上もう引き返せない

早く母さんを安全な状況にして仲間を集めなければ

でも、やっぱり僕はどこかでこの状況を楽しんでいる

感情という見えない物が僕に色々教えてくれる

きっともっと見えないものを見る事が出来る

なぜなら


   目

僕には心があるんだから

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