第三話 バーベキュー

「ん。じゃあ揃ったし、かんぱーい」


 先生が音頭を取る。今回は入学式ということもあって、バーベキューだった。準備は恵先輩とバーベキューをやる気満々だった涼風がしてくれたみたいだった。


「あんたらなんかあった?」

「いやっ、別になんもないですけどっ?」

「だって、職員室来た時の二人の様子と今と全然違うじゃん」

「気のせいじゃないですかねー。あははー」

「なんもないなら別にいいんだけど」

「おっなんかやってるじゃん。バーベキューか」


 そういって、寮に帰ってきたのは相澤先輩だった。先生がいつものことのように遅くに帰って来ることを察していたが、俺には何も教えてくれなかった。


「あの、相澤先輩って」

「名字じゃなくても俊介でいいよ」

「じゃあ、俊介さんで。で、どこ行ってたんですか?」

「まあ、悠司に言うにはまだ早いかな。きっといつか分かるぞ? それまでは楽しみに待っておくといいよ」

「はぁ、そうですか。楽しみにしてますね」


 そうして、バーベキューと春なのに花火を出していて打ち上げると何とも言えない季節の場違いだった。でも、それはそれで、綺麗でとてもよかった。みんなの表の顔は分かってきたが、この寮に居るということは、何かはやっているはず。


 数時間が経ち、時計の針は0時を回っていた。みんな片づけをし始めて俺も手を付ける。手を動かしなが思う。

 色は無いと無色で、一番明るければ白色で、反対に暗ければ黒色で。でも、俺の思う色はそれと違う。明るさなんて関係ない。その根拠はどこにもない。

 こんな風になったのはいつからだろうか。何かをきっかけにしてこうなったのは確かだが、それを思い出そうとするたびに何かを忘れた気にさせられる。


 だけれど、ここなら忘れた気にさせられることは無くなるかもしれない。なんたって、ここの学校は賑やかで、可笑しくて、とても変わっている場所だから。

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