第2話 指名告知
「落ち着いた?」
「すいません、ありがとうございました。」
私は深々と頭を下げて、美しく靡く髪の持ち主を見上げた。
「いいのいいの!過呼吸って中々
自分一人じゃどうにもできないからさ、
辛かったよね。」
「...はい。」
彼女のサポートは的確で、すぐにいつもの呼吸に戻っていった。こんな労りの言葉までくれるなんて、大人の女性って凄い。
そんなことを思っていると、その人は何かを思い出したように鞄から封筒を取り出した。
「あのさ、もしかしてなんだけどね...
キミ、2年1組の
"霧島咲耶さん"って知ってたりするかな...?」
「あっ、知って「知ってる!?ほんと!?」
ひぇっ。」
大人一人分の体重を支えきれず、壁にもたれかかった。近くで見る女性の気迫に思わず怯みそうになる。でも恩人の彼女には伝えねばならない。
「それ、私の名前ですっ...!」
その相応しくない名前こそが私のものである、という事実を。
暫く震えて女性の言葉を待っていると思わぬ反応が返ってきた。
「えっ、こんな可愛い子が!アタシの!
直属の部下!?神様仏様ありがとうございますっ!!これでまた一つ生きる意味が出来ましたっ!!」
天を仰ぐ彼女とがっしり掴まれた腕とを交互に見ながら、矢継ぎ早に発せられる言葉に呆然としてしまう。部下?可愛い?へ?
事情が分からず、混乱していると名残惜しそうにようやく腕を解放してくれた女性が手に持っていた封筒を差し出す。
「おめでとう、霧島さん!
貴女は厳正なる審査の結果、
特務機関プロセルピアの執行人として
招集されました!」
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