第43話◆◆②ウラジミールとクリスタの探索飛行◆◆

「さて▪▪▪どうしたものでしょうねぇ▪▪▪」


相手の顔が見えるならばいくらでもやり用は有ると思うのですが、多分このまま放置でしょうかね?


これは私を海に溶かすつもりなのでしょうね。


確かにこのままでいれば、海全体に意識が拡散して自我を維持出来なくなるでしょうね。


完璧に私を的にしたやりようですね。


と言うことは、ガンゾウさんから私を引き離すのが目的でしょうか?


私に用が有るならば、何らかの接触があるでしょうしね。


んん、ガンゾウさんの戦力を剥ぐつもりでしょうか?


だとすれば、的外れですねぇ。


あの方は面倒になったら、我々ごと全てを焼き尽くすでしょうからねぇ。


まあ、連絡は何時でもとれますから、暫く様子を見ましょうかね。


◇◇◇


「どうするの?アンブロシウスはどうなったの?」


クリスタが心配げにパタパタとただの鏡になったアンブロシウスだった物の上を飛んでいる。


「ガンゾウ殿、アンブロシウス殿を助ける手段は有るのですか?」


「アンブロシウスじゃなくて顔の気持ち悪いウラジミールが居なくなれば良かったのよ!」


「はあ、ビッチを海に捧げてアンブロシウスさんを取り戻せませんかねぇ?あ、かえって海を怒らせるかな?」


とかなんとか▪▪▪


ギャアギャアと相変わらずうるせぇ▪▪▪


「お前ら全員海に潜ってアンブロシウス探してみるか?」


皆無言で首をフルフルと横に振る。


「まあアンブロシウスなら大丈夫だ。何時でも戻せる。それよりも、こんな事仕掛けてきた奴を放っておくわけにはいかねえよなぁ?」


皆が頷く。

その顔にはそれぞれ『悪い顔』が滲み出ている。


ああ、ウラジミールだけは気持ち悪い顔だな。


「酷いですご主人様▪▪▪」


「口に出てたか?」


「はい、しっかり明確に出ておりました▪▪▪」


「そう言うわけだ。ウラジミール、探索な。クリスタ、付き合ってやってくれ。」


「はぁい。」


クリスタはそう返事をすると、足だけ竜姿になり、ウラジミールの頭をむんずと掴み舞い上がった。


「いって参りますぅ▪▪▪」


ああ、ウラジミール、爪がくい込んで血が滴っているな。

まあ、頑張ってくれ。


◇◇◇


「で?どっちに行けばいいの?」


「はい姫様、お手数をお掛けして申し訳ありません。もう少し高く上がって頂いて南東の方角を向いて頂けますでしょうか?」


「わかったぁ。」


さすが姫様。

青龍の力なのでしょうねぇ、小さな体なのに私なぞ余裕で持ち上げてくださいます。

ちょっと痛いのですが▪▪▪


さて、ご主人様、相変わらず指示が明確ではありませんね。

まあ、要するに妖しい奴らを見つければ良いのでしょうね。


アンブロシウスさんの呪力を感じることが出来るうちに何とかしないとですね。


えっと、こんな時は何かそれらしい名称を付けるべきなのでしょうね。


とすれば▪▪▪

やっぱりこれでしょうか?


「ウラジミール▪ソナー!」


「何突然大声を出すのよ!ビックリしたじゃない!落っことすわよ!」


「あわわ、姫様!失礼しました!ではもう一度やりますので、お気になさらず▪▪▪」


「はいはい。」


「でわ。コホン。ウラジミール▪ソナー!」


『ウワンッ!』とでも表現されますか?


口から音波を発しました。


南東方向に放ちましたが、特に反応がありませんねぇ▪▪▪


「姫様、もう少し東を向いて頂けますか?」


「はいはい。」


パタパタと浮遊しながらほぼ真東を向いて頂き、ソナーを発しました。


んん、こちらも芳しくありませんねぇ。


「▪▪▪」


「どうなの?」


「はい、何もありません。ありませんが▪▪▪」


「?」


「無さすぎます。」


「どういうことなの?」


「島陰や岩礁といった地形的なものはもちろん、船などの人工物も無いんですねぇ。」


「あんたの能力が低いだけでしょ?」


「いやぁ、姫様も手厳しい▪▪▪」


とは言え、姫様が言う程狭い範囲では無いのですが▪▪▪

もしや!


「姫様!ちょっと頭を放して足を持っていただけますか?」


「ん、わかったぁ。」


パッと放され海面へ落下しております▪▪▪


あと300m、200m、100m、75m、50m、25m▪▪▪


姫様?このままでは海面に叩き付けられてしまいますが?

放置ですか?


と、ググンとブレーキがかかり、頭が下を向きました。


「いやぁ、見放されたかと心配しましたぁ。」


「え?もともと見放してるよ?」


「あ、ああ、左様でございますか▪▪▪」


厳しすぎますぅ▪▪▪


「で?どうするの?」


「はい、このまままた高度を上げてください。」


「はいはい。」


姫様がぐんぐん高度を上げます。


そして元の高さまで上がったところで停止して貰いました。


「でわ、改めて。ウラジミール▪ソナー!」


ボワンッとソナーを海面に向けて発しました。


ソナーは、海面で反射せずに海中まで響くように調整しました。


?反応が有りました。


「姫様!南南東に1000m程の海面スレスレにお願いします。」


「何か有ったの?」


そう聞きながらも素早く指定のポイントまで飛んでくださいます。


「はい、海中に大きな何かが有ります、それをもう少し詳しく見たいのです。」


「それは面白そうね!」


姫様はあっという間に目的ポイントに到着しました。


そして、海面スレスレからソナーを発しました。


大当たり!


人工的な建造物の反応ですね。


「ん?何か出てきましたよ?」


「姫様!何かやって来ます!避難しましょう!上昇してください!」


「ん、わかったぁ!」


と言うや否や、姫様は急上昇してくれました。


と、海面がざわついたと思ったら▪▪▪


ヒュン!ヒュン!と矢が飛んできました!


姫様の上昇速度には敵いませんでしょう?


『プスッ』と一本、鼻の頭に刺さりました。


上昇中だったので少し刺さっただけですが、姫様の速度を考えれば、海中からの矢の割には物凄い威力ですねぇ。

怖いですねぇ。


あ、嘘です。

ご主人様以外に怖い物なんて有りませんから。


「姫様ぁ、戻りましょう!」


鼻に突き立った矢を抜き空間にしまいました。


ご主人様に見て頂きましょう。

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