第11話◆◆⑩葉巻の火の不始末◆◆
「まあ・・・」
見事に焼け野原になった街並み・・・があった場所を見てエルゼが溜め息をついた。
「ちょっと葉巻の火を落としちまってな。」
そう言ってとぼけたが、エルゼにはお見通しのようで睨まれた。
それでもそれ以上何も言わないのは諦めたのかな?
「ガンゾウさんのあれは何なのですか?」
エルゼの質問は『邪気』の事だろうな。
「何が?」
ととぼける。
「私が気を失ったあれです。」
やっぱり。
「あれはですねエルゼ様!」
ウラジミールがしゃしゃり出てきたが、ここは面倒だから任せる。
適当なことを言ったらまた頭に凹みを作ってやる。
「人間でも『気』というものがございますね?『殺気』等がそれでございます。
ご主人様には、その『気』が物質化するほどの濃度がおありで、攻撃的な『気』を発すれば、それ自体が武器となり、弱い魔物ならばそれだけで溶け落ちます。
人間ならば『溶ける』事はありませんが、しっかり意識を保っていないとエルゼ様のように気を失ってしまいます。
酷いときは脳に障害を及ぼします。」
「まあ!そんな危険なものなのですか?」
「はい、しかしご主人様ならば、その指向性を絞れるはずですので、今後は使い方に配慮頂けるかと?」
とか言いながら俺の方をチラ見しやがったから軽い凹みを作ってやった。
「まあウラジミールの言った通りだ。
だがそうだな。指向性を持たせるというのは良い考えだ。
気が向いたらやってみよう。」
そう言って派手に葉巻をふかした。
「ありがとうございます!ご主人様!」
凹んだ頭を撫でながらウラジミールが笑った。
使えるんだか使えないんだか・・・
「で、この後何処へ向かうんだ?」
「そうですね、教会本部・・・と言いたいところですが、この様子だと本当に国全体が魔物に侵食されているかも知れません。
情報が欲しいです。
塩鉱山の先にある村にお師匠様が住んでいます。お師匠様ならば、易々と魔物に捕らわれたりしないはずです。
そこへ行きましょう。」
まどろっこしいとは思ったが、別に急ぎたいわけでもない。
「村が無事ならば『チーズ』が食べれるかも知れませんよ。」
「行こう!」
エルゼの言葉に俺は二つ返事で応えた。
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