第3話Unexpected enemy
雅弘「ここで、アンブレ隊員の戦闘見とけ言ったって、画面になんも写っとらんやないか」
??「今はまだ、何も映らないわよ」
雅弘「ん?誰やあんた」
1人の年上らしき女の人がいきなり話しかけてきた。
??「ちょっとここ、いいかしら」
雅弘「ええけど、あんた誰や?」
??「初めまして、私は藤原 花蓮」
花蓮という名のその女性はアンブレ隊員の制服を着ていた。
花蓮「珍しいわね、ここにアンブレ隊員じゃないお客さんが来ているなんて」
雅弘「俺は雅弘や、まぁ俺は真波って奴に呼ばれてここに来たただの一般人やからな」
花蓮「真波に呼ばれたの?珍しいこともあるものね」
雅弘「なんや、あいつのこと知っとんのか?」
花蓮「知ってるも何も幼なじみよ、彼女は。
でも、彼女はあんまり人と干渉しない子だから彼女が誰かに興味を持つ事なんて滅多にないのよ。」
雅弘「そうなんか、てか、あんたは戦闘に参加せんでええんか?」
花蓮「ふふ、戦闘に参加できるのはナンバーを持つものだけよ、私はそこまで強くないの。」
雅弘「そうなんか、それにしても全然映像映らんやないか。」
花蓮「そろそろ映るはずよ。」
そう言った三分後に画面に映像が写った。
そこにはアナザーと思わしき、歪な形をした化け物と、アンブレ隊員が4人映っていた。
まだ、真波は現場に到着してはいないようだった。
雅弘「おぉ、写った写った、でもなんかアンブレ隊員の人数多ないか?昨日俺もアナザーっていう化け物に襲われたけど、来たのは真波だけやったぞ」
花蓮「昨日はBBが3個降ってきたからね、普通アナザー達は複数で一気に攻撃を仕掛けてくるのよ、でも今回は1匹だけ、変ね、、。」
雅弘「まぁ、ええやないか、1匹だけならすぐに片ずくやろ。」
花蓮「それもそうね。」
そうしてアンブレ隊員はアナザーに対して一気に攻撃を仕掛けた。
何発も何発もアナザーに殴りかかっていた。
雅弘「おい、さっきからめっちゃ攻撃してるけど、全然効いてる感じせぇへんぞ、大丈夫なんか?」
花蓮「確かに変ね、、」
するとアナザーが動き出し、アンブレ隊員に向けて拳を突き上げた瞬間、
映像がぷっつんと切れてしまった。
— 司令室 —
佐藤「アナザーに攻撃全く通用していません」
今村「なぜだ、今までは充分に攻撃は通用していたはずだ。それに、この中にはNo.23の霧島 緑隊員もいるんだぞ、」
涼子「アナザー動き出します。」
涼子「アナザーの攻撃を確認」
佐藤「すごい衝撃波です。」
木村「アナザーの衝撃波によりカメラの映像強制シャットダウン、再起動まで5分かかります。」
今村「なんていう衝撃波なんだ、カメラが強制シャットダウンするなんて、、。攻撃力が今までのアナザーと桁違いだ」
今村「戦況はどうなってる?」
佐藤「確認できません、また通信装置に異常発生、隊員との連絡もとれません」
今村「緊急用通信装置を作動させろ、」
佐藤「機動までに6分かかります。」
今村「くそっ、、、」
木村「5分経過しました。」
木村「カメラの再起動完了、映像回復します。」
そこに映し出されたのは平然と立っているアナザーの姿と、その場に倒れ込むアンブレ隊員の姿だった。
木村「アナザーの生存を確認、アンブレ隊員の防衛スーツより、生命危険信号ランプの点滅を確認。」
今村「何が起こってるんだ、至急アンブレ隊員に退避命令を、1回立て直すぞ。」
涼子「だめです、先程の衝撃波により、通信機器に未だに、異常が発生してます、命令送信できません。緊急用通信装置も未だ起動準備中です。それに通信ができても、彼らが立ち上がれるかどうかも、、、」
今村「ちょっと待て、アナザーの右手に写っている黒い影はなんだ、今すぐズームして見せてくれ。」
そこに映し出されたのは、隊員No.23霧島 緑の首であった。
今村「嘘だろ、緑君が、、、
だめだ、今の我々では勝てない、国家防衛対策本部に緊急連絡、応援要請だ。緊急用通信装置は起動したか?」
涼子「はい、起動完了しました。国家防衛対策本部に繋がりました。国家防衛特殊基地アンブレイン 第2支部より、隊員No.008勝呂 葵隊員を応援派遣してくれるみたいです。」
今村「葵君が来てくれるのか?それは心強い」
今村「現場到着時間は?」
涼子「およそ1時間後です。」
今村「1時間、、、。今現場で戦える、隊員は誰が残っている?」
木村「先程現場に到着した桐谷 真波隊員のみです。」
今村「真波だけか、くそっ今すぐ、真波隊員に繋いでくれ」
涼子「了解です、真波隊員に繋がりました。」
今村「聞こえるか?真波、緑くんがやられた、君じゃあのアナザーには勝てない、すぐに退避するんだ。」
真波「は?退避命令って事?私が逃げたら、まだ生きてるここのアンブレ隊員はどうなるのよ?絶対にトドメを刺されて殺されるわ」
今村「1時間後にNo.008勝呂 葵君が来てくれる、それまで彼らが生きてる事を祈ろう、それにアナザーは民間人には攻撃してこないはずだ。だから、退避はしなくてもせめて身を隠してくれ。君が出来ることは何も無い、もしやつと戦えば君まで命を落とすことになるぞ」
真波「戦って勝てないことは分かったわでもね、私はここで逃げたら一生後悔すると思うの。それに1時間ぐらいならやつの注意を引く事だけなら出来るはずよ。何としてもまだ生きてるアンブレ隊員は助けないと、、、」
— 雅弘達のいるモニター室 —
雅弘「なんや、何が起こってるんや、」
花蓮「嘘、、、緑くんがやられた、、、有り得ない」
雅弘「その緑って奴は真波より強いんか?」
花蓮「圧倒的に強いわよ。」
雅弘「なら。あいつが勝てるわけないやないか、なんであいつ逃げへんねん。」
花蓮「彼女の強すぎる正義感、それが原因でしょうね。」
雅弘「それに、ナンバーを持つ戦闘員って100人おるんやろ、他の奴らは何してるんや、なんで5人しか戦ってないねん」
花蓮「アンブレ隊員はいつどこで、アナザーが来てもいいように全国に配属されてるの、そして。ここに襲いかかってくるアナザーは他のところと比べて基本的に戦闘力が低いものばかりだったから、ここのアンブレ隊員の戦闘力は低めなのよ。そして、ここでの最高戦力は死んでしまった緑君だったの。」
雅弘「絶体絶命やないか」
すると、スピーカーから真波の声が響き渡った。
真波「聞こえる?非戦闘員のアンブレ隊員達、今から1時間後にNo.008葵隊員が応援に来てくれるわ、それまで私がこのアナザーの注意を引く、だから、あなた達はここに来て倒れているアンブレ隊員達の救護を行って欲しいの、私一人でどこまで持つかは分からないわ。だからなるべく早く来て、彼らを助けてあげて欲しいの、それぐらいなら、出来るでしょ。頼んだわよ。」
そう言うと、声は途切れた。
雅弘「あいつ、自分を犠牲に他人を助けるつもりちゃうんか、」
花蓮「そうかもしれないわね、とにかく私は助けに行かなきゃならないわ。あなたはここで待っていて。」
雅弘「あほか、ここで待ってたら気が狂いそうやわ、俺も真波と協力して、あのアナザーぶっ潰したんねん、」
花蓮「何を言ってるの?一般人が来ても足を引っ張るだけよ、」
雅弘「そうかもしれんけどな、俺はここで行かな男じゃないやろ。場所を教えてくれ」
花蓮は雅弘の気迫におされ、場所を教えた。
雅弘「ありがとうな、じゃあ行ってくるわ。」
花蓮「ちょっと待って、、、、って、、、。
なんて速さなの私の足では追いつけない、彼は一体何者なの?」
— 司令室 —
木村「ここの本部施設から一般人らしき人影が出ていきます」
今村「雅弘君、まさか、真波の元に行くんじゃ、、、」
涼子「止めた方がいいんじゃないでしょうか?彼はアンブレ隊員でもなんでもないんでしょ?」
木村「でも、とんでもないスピードです。彼は一体何者なんですか?」
今村「先程彼と話をしていた時にこっそり彼のアンブレイン指定数を測らせてもらったんだが。驚くことに彼は私が手をかけていないのにも関わらずアンブレイン指定数60%を超えていたんだ」
涼子「そんなの有り得ませんよ。」
今村「いや、有り得なくはないんだ、実際に私は彼の他に初めからアンブレイン指定数70%を超える人間を見ている。それがこのアンブレン部隊が結成されるきっかけとなった男、アンブレ隊員No.001 大城 ひさし、雅弘君もまた彼と同じく生まれながらに脳のリミッターが解除されている、イレギュラー的存在だ。」
木村「大城 ひさし名前だけ聞いたことあります。都市伝説か何かだと思ってました。実在するなんて、、、。」
今村「彼はなぜか、この隊を作ってすぐに姿を消してしまったんだ、実在はするよ、とにかく、彼と同じ素質を持った存在が雅弘君だ、何かが起こるかもしれない、期待しよう。」
今村「それに今の我々に雅弘君を止める手段はない、彼にかけてみよう、真波が助かる道があるとすれば、そのキーマンはまさしく彼だ」
今村(頼んだぞ雅弘君、、、。)
雅弘「真波、死ぬんちゃうぞ、俺が助けたるからな…」
— 第4話に続く —
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