序2
世界は滅んだ。
人類は誰一人残ることなく、かつて生きていた他の動物たちもあらかた死に絶え、植物と一部の動物が異常発達し蔓延っている。
それはこの、かつては大国の中心都市であった地域でもそうだった。道路のアスファルトは次第に風化して剥がれ、その痕に草がびっしりと生えている。同じように風化していくビル群は、絡みつく植物のおかげでどうにかもとの形を保っているように見える。自動車も鉄道も動かず、人の影も当然見えない。時折、動物の声や風の音が聞こえる以外、街は静まり返っている。
でも、なぜだろう?
時折、二本脚で歩く足音が聞こえる。
時折、かつてそこで使われた言葉が聞こえる。
時折、いつかそこにいた「ひと」と同じ形をした影が、風とともに街を駆けていく。
その足音は軽く、その声は少年とも少女ともつかず、その体躯は細くしなやか。
それは彼か、はたまた彼女か。
そして、それが現れて、幾許かの時が経って。
――もうひとり、「それ」は現れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます