第9話 あなたに会いたい…だけど…

♪~


『トモカ。今年、会わない?』



♪~

『会う?えっ!?無理、無理』



♪~

『どうして?』



♪~

『いや…確かにRUIに告白はしたけど……自分に自信なくて……』



♪~

『トモカが俺に幻滅するかもしれないよ』



♪~

『大丈夫だよ』



♪~

『そう?』




「だと良いんだけどな……天月 智華さん。RUIは俺であんたの同居人だって事知らないからな」





♪~

『取り合えず考えといて』



♪~

『うん』



私達は話題を変えメールのやり取りをしていた。




ある日の休日の事だった。


用事から帰宅した私は玄関にある女の人と思われる靴に目が付き留唯の部屋に駆け上がった。



ガチャ


ドアを思い切り開ける。




「留唯っ!」


「きゃあっ!」

「うわっ!誰?」



ドキーッ


見知らぬ男女の裸姿が目に飛び込む。



「えっ?」



バタン

私はドアを閉める。



「あれ?今の……誰?」



ガチャ

ドアが開く。


ビクッ

振り返る私。



「もしかして留唯の同居人の子?」

「は、はい……」

「アイツならいないけど?」

「いない?何処に?」

「すぐ帰って来る……」



「ただいま」

「ほら、噂をすれば……つーか、君、イケてるね」


「えっ?」

「彼氏は?」

「いません」

「いないの?じゃあ……」


「じゃあ何だよ!…大(だい)!」

「やあ、留唯君」



グイッと腕を掴まれ私の前に立ち塞がる留唯。



「お前は彼女いんのに家の同居人に手を出すな!

こいつ(大)は俺より手早いからな。智華、気を付けろ!」


「えっ?留唯より上いたんだね」と、私。

「なっ!テメー…」

「いや…留唯が一番かと思っていたから」



大という人は笑う。



「ハハハ…言われてやんの!やっぱりお前のイメージそうなんだな」

「う、うるせーな!ムカつく!智華っ!お前、ヤられろ!」

「ヤ、ヤられろって酷くない?」

「知るかっ!バーカ。で?大、お前の彼女は?」

「あー気持ち良さそうに眠ってる」


「彼女いるのに他の女の子ともするんですか?留唯あんたの人間疑う!やっぱり、留唯が、お手本なんですよね?」


「えっ?違うし!」と、留唯。

「同居人の子…えっと…」

「智華です」

「智華ちゃん、コイツの言ってるの嘘だから真に受けないで」


「えっ?」

「俺、彼女以外は手出さないから」

「バーカ。俺とは違うんだよ。大は。何、真に受けちゃってんの?」



「じゃあ留唯は彼氏のいる彼女に手出してるの?」


「出してねーよ!」

「いやいや、留唯なら有り得る!」

「お前なぁ~」




夕方、二人は帰って行った。
















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