第7話 災難
ある日の学校帰り。
グイッ
いきなり背後からヘッドロックされる私
「きゃあっ!」
「なあ、智華」
「留唯っ!」
「好きな男には告ったのか?」
「ま、まだだし」
「早く告れよ!」
「私が相手にいつ告ろうが良いじゃん!」
パッと離す留唯。
「いやいや、絶対早い方が良いって!ちなみに他校生?どれくらいの関係なんだよ。友達?顔見知りとか、まだ、そこまで仲良くないとか?」
「友達…かな?」
「へぇー…」
「あっ!勿論、私の中だけであって向こうはどうか知らないよ」
「お前が友達なら相手も友達だろう?」
「だと良いけど…」
「自信持てよ!」
「う~ん…」
ねえ RUI はどんな人?
RUI は ―――
時間があれば RUI の事ばかり
ねえ RUI
あなたは一体……
あなたの心には
誰がいる?
「留唯?」
「えっ?あー、あれ?久実(くみ)じゃん!」
「久しぶり!」
「本当、久しぶり」
「隣の女の子は?彼女?」
「いや、同居人」
「同居人!?」
「ああ。俺の姉貴が彼女のお兄さんと結婚して今、両方の両親と同居してるから」
「へぇー…同居してんだ。だからかな?」
「えっ?」
「留唯が変わったって噂聞いて」
「俺が?」
「だって、毎日のようにH三昧だったでしょう?」
≪え、H三昧っ!?≫
≪いや…留唯ならありえる…かも…≫
「………………」
「それじゃ、ごめん。引き止めて」
「いや、良いよ」
別れる二人。
「友達」
「セフレでしょう?」
「まあ……」
「良いよ。別に分かってるつもりだし」
「そっ?」
「そっ!」
「ふーん」
私達は色々話をしながら帰る。
そんなある日の学校帰り、私は友達とカラオケに行き、寄り道して帰りが遅くなってしまった。
時間は夜8時を過ぎていた。
「ヤバイ……連絡はしたものの夜道と変わらないから正直怖いんだけど……急がなきゃ!」
ドン
誰かとぶつかった。
「きゃあっ!す、すみま……」
グイッと立ち上がらせたかと思ったら口を塞がれた。
「きゃ……」
「静かにしなっ!」
ビクッ
私はぶつかったと思われる相手に引摺られるように人気のない場所に連れ込まれた。
≪や、やだ……何?≫
ドサッ
地面に転がすように押し倒され押えつけられたかと思ったら制服のボタンを引きちぎるようにするとビリビリ引き裂いた。
「や、いやぁぁぁっ!」
「おいっ!何してんだよ!」
「チッ!」
相手は舌打ちをし逃げ去った。
「野郎っ!……逃げやがった!」
「………………」
「あ、あの……大丈夫ですか……?…怪我……」
俺は足元に転がっている学生証と見覚えある携帯に目が止まり疑った。
「えっ……? 智華……?」
ビクッ
≪誰……?私の名前……≫
「智華……行っても大丈夫か?」
「…誰……?…や……やだ……来ないで……」
「一緒に帰んなきゃ……ここにずっといる気か?俺と俺達の家に帰ろう。…智華……」
「………………」
「同居人の声も忘れる位怖かったんだよな?」
≪…同居人…?≫
制服を羽織らせ、ふわりと優しく抱きしめられた。
ビクッ
「何もしないから……智華……」
「………………」
「…帰ろう……俺達の家に……」
抱きしめた体を離し両頬を優しく包み込むように触れる人影。
「……留…唯…?」
「大丈夫か?怪我は?身体は平気か?」
私は涙が溢れた。
「………………」
私は留唯に抱きついた。
留唯は私をおんぶすると帰り始める。
「…留…唯…」
「どうした?」
「ありがとう……」
「…お礼言われるような事は何もしてないから…」
「でも…留唯が来なかったら私…」
「………………」
「大きい傷負っていたら……好きな男に告白出来てなかったな…」
「…そうだね…だけど…しばらくは無理かな…」
「えっ…?」
「確かに好きなんだけど…こんな事あった話しをたら引かれちゃうよ……」
「…智華…」
「留唯がRUIなら…良いのにね……」
「…えっ…?」
「私の好きな人……留唯と同じ名前なんだ…」
「………………」
≪俺と同じ名前?≫
≪つまりそれって…≫
「なあ、智華…」
「………」
「智華…?」
智華は眠っていた。
何となく繋がるような気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます