第3話 二人きりの夜
「留唯君、智華、私達4人両方とも親戚の結婚式だから2日間留守番宜しくね」
と、私の母親。
「お兄ちゃん達は?」
「共通のお友達とお泊まりWデートするとか言っていたけど?」
「お泊まりデートって…」
「じゃあ二人きりって事だね」
ドキッ
「えっ!?年頃の男女が1つ屋根の下で二人きり?いやいやヤバイでしょう?私、友達の所に泊まる。今日、友達と遊びに行くし」
「アポなしで大丈夫なの?」
ギクッ
「いや…それは…ていうか、留唯君、痛い所つくよね?」
「そんな事ないよ。まあ、どちらにしろ俺は家にいるし出かけることないから、いつでも出迎え出来るし」
そして、家族は私達を残し出掛け、その日の夜。
「はあぁ~」
大きい溜め息を吐く私。
「おかえり」
ビクッ
「帰って来たという事は、それが結果なんだね」
そして、私達の夜は更けていく。
次の日の夜。
お風呂からあがった直後の事だった。
リビングから物音がし私は留唯だろうと思い気にも止めなかった。
だけど、様子がおかしいと思い、バスタオルで体をくるみ様子を見に行く。
だけど、良く分からないけど留唯じゃないのは確かだ。
お風呂の脱衣場に移動し警察に自分の携帯から連絡をする。
「…あの…今…泥棒が…リビングからしているんです。怖くて…人数は把握していなくて申し訳ないんですけど……」
私は住所を言い掛けたその時だった。
グイッ
私の腕を掴まれた。
「きゃあっ!」
携帯を切られ、押し倒された。
「や、ちょっと…離し…」
ドカッ
股間に足があたり私は留唯の部屋に向かう。
「おいっ!どうした?」
と、もう一人の泥棒が尋ねた。
「捕まえろ!」
と、私を押えつけた人。
グイッ
腕を掴まれる。
「や、やだっ!離してっ!留唯っ!」
私は何とか押し退け二階に駆け上がった。
ドンドン…
留唯の部屋を叩くも反応がない。
「留唯っ!お願いっ!」
一方、留唯はヘッドホンをし音楽を堪能中。
「留唯っ!」
次の瞬間 ――――
ガチャ
ドアが開いた。
「きゃあっ!」
「うわっ!」
ドサッ
私達は勢いで倒れる。
ドキッ
私が留唯を押し倒したようになった。
「その格好…どう…」
「もう一人いたのか?」
ビクッ
背後から声がした。
「…………」
「…泥棒…?」
「好都合だ!金目の物出しなっ!もしくは協力しろ!」
と、泥棒。
「……………」
「おいっ!何か言いなっ!」
「その前に…彼女に洋服着せてあげる時間はあるんじゃないかな?泥棒さん達も男だったら分かるでしょう?」
「…良いだろう」
「智華、洋服着ておいで」
「…うん…」
私は自分の部屋に行き洋服を着ると、先に手伝わされている留唯達の元へ。
「智華、金目の物って何処にあるか分かる?」
「知らないよ…」
「だよね…ねえ、泥棒さん達が詳しいんじゃないの?」
「黙ってしろ!」
「死にてぇのか!」
「まだ死にたくないよ」と、留唯。
「おいっ!女っ!」
ビクッ
私の手を掴み手の動きを止めさせられた。
「さっき、警察に連絡していたよな?」
「えっ?」
「正直に言えっ!」
「それは…」
「警察(さつ)のパトカーが、うろうろしてやがる!おいっ!予定変更だ!」
「おいっ!同居人の男」
「何?」
「変な真似してみろ!命がないと思いな」
「変な真似って?…そういう泥棒さん達こそ何か企んでるのかな?例えば…彼女に対して口封じに手荒な真似しちゃうとか?」
「…えっ?」
グイッと、私を背後から抱きしめるようにされ、ナイフを私の首辺りに当てられる。
ビクッ
「動くな!女は人質だ!一先ず楽しい事でもしようかな?か・の・じょ・と」
そう言うと私を引き摺るように連れて行き始め、二人の姿が私の視界から消える。
「……………」
≪や、やだ…≫
ドカッ
背後から鈍い音がした。
「何だ?」
私から泥棒が離れる。
私は、相手の背後に向かって体当たりした。
ドサッ
倒れる泥棒。
「ってー…」
そんな留唯と一緒にいた泥棒も床に倒れている。
≪えっ?何が起きたの?≫
留唯は携帯から何処かに連絡している。
次の瞬間 ――――
グイッ
ドサッ
「きゃあっ!」
気付けば私は泥棒に押えつけられ、拳があがっている。
「テメー…」
「……………」
≪ヤバイ…≫
拳が振りおろされる。
「………………」
「女の子に暴力ってさ犯罪でしょう?罪重くなるんじゃない?泥棒さん」
ドカッ
泥棒が蹴っ飛ばされた。
「っ…!」
≪嘘…留唯?≫
「泥棒さんが来なかったら俺も本性隠せたのになぁ~残念だなぁ~。そろそろ、警察来るから」
その直後、泥棒は連れて行かれた。
「良かったね~襲われる事も怪我する事もなくて」
「…未遂だし…第一、危な…」
グイッと抱きしめられた。
ドキッ
≪えっ?≫
「そうだな。無事で何よりだったな。悪かったな。危険な目に遭わせて」
ドキン
「留唯…」
「なーんて言ってみる?」
「えっ!?」
「無茶しすぎなんだよ!お前は!」
「なっ!そ、そういう自分だってそうじゃんかっ!つーか…人間疑うっ!」
「だろうな?俺の性格のギャップの違いに、さぞかし驚いているんだろうしな? 天月 智華さん」
「………………」
そう。
明らかに私の知っている留唯は別人だった。
無邪気な留唯は何処に?
同一人物とは思えない留唯に驚くしかなかった。
各々の部屋に向かうドアの前。
「一人で大丈夫ですかぁ~?と・も・か・さん」
「えっ!?だ、大丈夫だし!」
「嘘ばっか」
「ほ、本当…」
グイッと私の手を掴み留唯の部屋に入れる。
「無理すんなよ」
ドキン
私達は一緒の布団に寝る事にした。
次の日、留唯の話で盛り上がり、波乱万丈の日々になる事など知るよしもなかった。
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