第2話彼との最悪な出逢い

5月の中旬、ある日の水曜日。

昼休み。

私は自動販売機で何を買おうかと迷っていた。

「唸ってるそこの人っ。どいてくんない、邪魔」

後ろから低く冷たい棘のある言葉を投げかけられた。

振り向くと、身長が高く、身体付きがいい男子が睨み付けていた。顔立ちが良くて、170cmはある。イケメンの男子だった。

もう少し、優しい言い方出来ないのかな。酷いな、この人。

そんなことを思っていると、

「邪魔って言ったんだけど」

また同じように言われた。

「ご、ごめん、なさい」

私は、小さく謝る。

二歩後ろに下がり、場所をゆずる私。

棘のある言い方をする人は、小銭を投入しボタンを押して落ちてきたペットボトルを取り出し、去っていく。


私は缶コーヒーを買って、玖未が待っている中庭に向かう。

あの人と会わないように気を付けなきゃ、そう心に決める。

私は、玖未に先程の出来事を話した。


私は、彼と最悪な出逢いをした。

彼の印象は最悪で、今後彼の印象が変わることはないと思う。


そのときは、そう思っていた。しかし──。

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