私には苦手な彼がいる

闇野ゆかい

第1話放課後、友達と教室で話す

冴えない私は気になる人に想いを伝えることなんて出来ない。

周りの子達は容姿が良くて、人付き合いがうまい。

冴えない私には数人の友達しかいない。それはそれで楽しいのだけれど、なんで私は──と思ってしまう。


高校生活も1/3終わって、二年生になった私、宮戸寧々はため息をついていた。

「寧々ってば、そんなため息ばっかついてどうしたの?何かあった?」

目の前にいる数少ない友達の仲篠玖未(なかしのくみ)が聞いてくる。

「素敵な人がいないな~って思って。このままじゃ、将来結婚なんてできないよ~」

嘆いている私に玖未は同意するでも否定するでもなく、ある人のことを話題に出す。

「鈴野がいるじゃん。素敵でしょ、彼」

「まあ、翼くんも良いけど、優しいけどぉー。ちょっと違う」

「そんなこと言えないでしょ、寧々は」

「ぶぅー。玖未ちゃんひどー、それはそうだけど。って痛ぁ。玖未ちゃんひどいことばっかしてっ」

私の額に玖未がでこぴんをしてきた。

「早く帰ろっ、寧々」

玖未が立ちあがり、私の手をとりオレンジ色に染まった教室を出ていく。



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