第75話まるで違う意味

折角パートも楽しいと思え始めたにも関わらずコレでは、パートに行けばコイツと顔を合わせなければならないと思うと今から既に憂鬱な気分である。


そもそも私も同じ失敗は繰り返したくないのである。


でも私とコイツとでは同じ言葉でもまるで違う意味として使われているのが驚愕だ。


コイツも恐らく様々な物を失った筈である。


だから都内の店舗から数時間も離れたこんな店舗まで左遷させられたのであろう。


その事から既に制裁されている上に都内近辺では噂が既に広まり受け入れる場所が僻地であるここぐらいしか無かったのであろう。


それと同時に先輩おばさんのネットワークの広さがほんの少しだけ垣間見得た。


店長の性格からして新しい社員さんが転勤してくる事まではポロッと言ってしまうのだろうがこれ以上の話はプライベートの事になるのでこの先輩おばさんには話してはいない筈である。


しかしながらあの時先輩おばさんは新しい社員さんが転勤してくるという情報に加えて『どうやらお痛をしたらしい』と言っていたのだ。


どこのグループにも何故か無駄に情報を手に入れている人が一人はいるのだが、このパートでは先輩おばさんで間違い無いであろう。


「嫌です。他所を当たって下さい」

「またまたー。あ、俺実は前の店舗の店長と大喧嘩してさぁ。まぁ、大した事無かったよ。ただ太っているだけの能無しでさそいつ。思わず『使えねぇーな』って言ってしまったのがバレて喧嘩しちまったんだけどさ、怒るくらいなら入って三年の俺より使えない自分に怒れよって話じゃん。それが原因で店長に目をつけられてしまって不倫如きで左遷だよ。犯罪を犯すならまだしも犯罪ですらないのにそれはおかしいと言っても聞く耳持たなくてさ、ホント、うぜーよな。そういう無能な癖に偉そうな奴」

「あ、北川さんと転勤して来た子ですかね。おはようございますっ!」


本当に面倒臭い人に絡まれたとゲンナリしていると入社五年目なのだが高卒後そのままアルバイトから就職している為実質アルバイト時代も含めると八年目である(先輩おばさん情報)真面目社員君が出社して来る。


業務も真面目で今や店長の右腕でとして活躍しており次期店長候補として期待されている人だ。


「あぁ、うっす。宜しく。あ、ポス業務出来てないからやっといてな。それでさぁー聞いてよ」

「なるほど、左遷された理由が分かりました。恐らく短い期間になりそうですが宜しくお願いします。面倒事だけはしないでくださいね。それでは」

「あ?お前歳上に向かってどういう口の聞き方してんだよっ!?おいコラ待てよっ!!テメーどれだけ偉いんだよコラッ!!待てつってんだろっ!」


何だろうか?爽やか社員さんは短時間で物凄い矛盾な事、自分勝手な事を自慢していた上に爽やか社員さんがどの様な人間であるか分かった気がしたのと、真面目社員君の慣れた態度でこういう事は何回か経験してるんだろうなと言うのが伝わって来た。

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