第76話面倒臭い奴、

そもそも年齢で優劣をつけると言うのならば何故前の店舗の店長に噛み付いたのか、言っている事と行動がめちゃくちゃでは無いか。


そもそもこういう喧嘩した事とか悪事とか明らかにマイナス面でしか無い事を武勇伝の如く自慢して来る時点で、この人には人として誇れる物が何一つも無いんだな、と思ってしまう。


もし誇れるような肩書があればそれを自慢するだろうし、恥ずかしくない生き方をしていればそれらが恥であると分かっている為自慢もしない。


そんな事をカッコいいと思って自慢して来る時点で既に私は爽やか社員さんを人間としても見れない、まるで宇宙人の様に見えた。


元夫が『俺にはお前達が宇宙人に見える』と言っていた意味がなんと無く分かった気がする。


そしてあの後あまりの気持ち悪さと、またあの頃の様な自分に戻ってしまうのではないかという言葉に出来ない恐怖に襲われた私は直ぐにパート先であるスーパーを出て真奈美を迎えた後一直線で帰宅する。


「ふーん、そんな奴いたんだ。大変だなお前も」


そこには珍しく高城が既に帰っており、このグチャグチャとした感情を吐き出したいという欲求のまま高城へ吐き出していく。


「まぁ、どの職場でも一人はいるよな、そんな奴。俺の職場でも中途採用で入ってきた人が年齢が上ってだけで初日からタメ口かつ、以前勤めていた会社では主任だったからという理由で仕事内容も把握していないのに指図して来る人がいたな、そう言えば。この職場で生きて行く術を先輩から教えて貰わなければならない、教えて貰う立場かつ一人前になるまでに多かれ少なかれミスしながら育って行くにも関わらずそのミスをカバーする先輩達に向かって自分の方が歳上だからって初日で歳下ってだけで見下してタメ口使って来られたら、そりゃ最低限の仕事しか教えないしミスも最低限しかカバーして貰えないのは当たり前だろう。だから結果的に仕事出来ない奴ってレッテル貼られるんだぞ。自分でそうなる環境を作っているにも関わらず周りの態度が気に入らないからって仕事辞めたけど、どこ行ってもあれじゃぁ上手く行かないよなぁ。そっかそっか、大変だな。まぁ、そういう奴は社員からすればコントロールするのが大変だけどパートなら適当に無視してれば良いんじゃないのか?それにしてもなんで勤務歴ではなく年齢でマウントを取って来るんだろうな、そんな奴らは。きっと年齢でしかマウント取れないだけだろ。自分から『この歳まで年齢でしかマウント取れる物はありません』っていう自己紹介じゃん」


そして私は気付く。


パートの爽やか店員改めて地雷店員も面倒臭かったけれど、今の高城も押してはいけないスイッチを押してしまったらしく、これはこれで面倒臭い奴に捕まったぞっと思うのであった。

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