第14話私は元夫の心を殺したのだ

高城のその言葉を聞き、不倫や浮気は心の殺人という言葉を思い出す。


恐らく高城は異性を異性と思えないのか、又は思った瞬間に嫌悪感を覚えてしまうのか、とにかく深いトラウマを植え付けられており、それだけでは無く物に執着しなくなる程のダメージを負ってしまっているのだろう。


高城のその姿が元夫の今の姿の様に錯覚してしまう。


そうだ。


私は元夫の心を殺したのだ。


「そんな表情をすんなよ。別に今はもうどうも思って無いしお前の事が憎い訳では無い。それに、コレで俺に下心が無いと分かっただろう?」


そう言って高城がぎこちなく笑ったのが印象的だった。


どうも思ってない人の家じゃ無いし、そうであれば立たない訳がないのに。





「ままーっ!!ままぁーーーーーっ!!」

「うーん……もう少し、寝らして」


昨日は色々あり過ぎて流石に疲れたのと今までたまっていた疲れとが一気に押し寄せて、今日はいくらでも眠れてしまいそうだ。


いつぶりであろうか。


こんなに寝れたのは。


「まーーーーまーーーーっ!!おーーーーーきーーーーーてぇーーーーっ!!!」


しかし我がお姫様はそれを許さないらしい。


私の掛け布団を小さな身体をめいいっぱい使って剥ぎ取るとゆさゆさと揺らし、起きろと叫ぶ。


「ほーくえんっ!ほーくえんっ!」

「ほーくえん………あぁ、保育園ね。保育園は今日はお休みです。なのでママは寝ます」

「嫌だっっ!ほーくえん行くのっ!」

「なら、動物園はどうですか?お姫様?」

「どーぶつえんっ!!ままぁーーーーーーーーっ!!ままっままっ!どーぶつえんっ!どーぶつえんっ!!」


土曜も保育園へと行っていた為今日も保育園へと行くという真奈美は、高城の動物園という言葉を聞いた瞬間保育園は頭の中から消え去り今度は「どーぶつえんっ!どーぶつえんっ!」どご機嫌である。


こうなったら最後、動物園へ行くまで気が済まないだろう。


高城のやろう、なんて事をしてくれるのだ。


疲れているのに、動物園は思っている以上に歩くのだぞ。


ん?高城?


「ってそうだっ!!ごめんっ!!ご飯作ると言っておきながら寝過ごしたっ!直ぐに朝ごはん作るからっ!!」

「それならもう作ってあるぞ」

「ご、ごめんっ!!」

「味噌汁とご飯に納豆だから別にヨーチューブのへろゆきの動画をラジオ感覚で聴きながらチャチャっと作っただけでそこまで手間かけて作ったってわけでもないしな。そんな気にすんな。作れる人が作れば良い」

「いやでもっ!!」

「そういう所は相変わらず自分に厳しいというか何というか。じゃぁそうだな、どの道余り具材は無いしおにぎりだけで良いから動物園へ持って行くお弁当を作ってもらうとするか」

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