第15話初めて高城の家に行った時

「分かった………それとごめん」


そして私は高城の提案を受け入れる事にする。


本当、何をやっているんだろう……。


「ドュクシッ」

「グフッ!?」


そう落ち込み始めた時私は高城に人差し指で小突かれた。


「グフッ!?ってお前どっからそんな声出すんだよ」


そんな私の声を聞き、小突いた張本人はケラケラと笑っているではないか。


「いきなりやる方が悪い。初めから言ってくれれば幾らでも可愛らしい淑女を演じてやったのに。それに、もう花も恥じらう乙女でもないしそんな声も出すわよ」

「テンション、上がったか?それにこういうときはごめんじゃなくてありがとうの方が俺は嬉しいし今もここまで落ち込まなかっただろう?」

「………ありがとう」

「どう致しまして、と言いたい所だがお弁当と等価交換が成立した後出しな。気にするな。とりあえず朝食にするか」

「ごはん?たべるの?」


そして高城とごめんだのありがとうだの朝食だのお弁当だの言っていると真奈美が会話に入ってくる。

そわそわしながら聞いてくる所から、恐らくお腹が空いて早く朝ご飯を食べたいのであろう。


「ああ、ごはんだな。朝ごはん食べないと元気出ないぞーっ」

「なとーっ!なとーある?」

「北大西洋条約機構は、朝ごはんのメニューには無いなー」

「きたたたいじょきこー?なとー無い?」

「納豆はあるぞ?」

「なとーーーっ!!はやくっはやくっ!!なとーなとー、なとーねばねばー」


そして私のお姫様の強い要望により私達はささっと朝食の準備を始める。


と、言っても割り箸と味噌汁とご飯を紙皿によそって納豆を机に並べるだけなのだが。


「それにしても今の子供は本当に納得が好きなんだな。子供の好きなご飯のお共一位が納豆という噂を聞いた時はそんなバカなとは思っていたんだけれど、お姫様の反応を見るに本当らしいな」

「あー、私の周りも納豆好きな子多かったなぁ……そう言えば。低カロリー、高タンパクな上身体にも良さそうだし、そして何よりも安いときたもんだ。安いは正義っ!」

「成る程なぁー」

「ねばねばっ!ねばねばっ!」

「うん、マナの言う通り後ねばねばが面白いのってのもあるのかもね」


そんなこんなで高城と真奈美とで朝食を食べ始め、真奈美は久しぶりの納豆でご機嫌である。


その光景を見て真奈美が納豆を好きだという事も、頭の隅に追いやってしまってたんだなーと気付く。


不倫していると、見えなくなっていた光景である。


「動物園の帰りに少し大きめのスーパーでも寄って食器やら何やら色々買いに行かないとな」

「……うん、そうだね」

「どうした?」

「何か、初めて高城の家に行った時の事を思い出した」

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