第4話 最悪の出会い
「じゃ、メンバーが揃ったところでまずは自己紹介からかな。俺は今日の幹事の石井浩二でっす。仕事はH・Iホールディングスでプログラマーしてて、趣味は野球観戦とかジム通いかなぁ。今日は楽しい会にしましょう!」
「はい、次は私ね!辻野志乃です、仕事は水井商事で受付してて趣味はヨガですー!今日はよろしくお願いします!」
その後も何人か自己紹介が続き、遂に残るは、私と長身のキャットアイの彼だけになってしまった…
どうしよう、私が先に自己紹介した方が良いの?!
この人何も喋る気配ないし…
あー、変な間が出来ちゃったよー。
ほんとどうしよう…
「ぷっ。何百面相してんの。矢野響。仕事は幹事の石井浩二と一緒。趣味は特になし。以上。さ、ラストどうぞ。ぷっ。」
むっかーーー。感じ悪。
「天野桜子です。仕事は私も水井商事で受付してます。趣味は読書です。よろしくお願いします。」
「さ、全員自己紹介も終わった事だし乾杯といきますか!」
『乾杯―!!!』
「よろしく、桜子チャン、くくっ。」
(この人最低。意地悪だ。)
「よろしくお願いします。」
「そんな怒んないでよ、軽い冗談じゃん。桜子チャン読書好きなんだ。どんな本読むの?」
「えっと。結構雑食なんですけど、ミステリーか純文学が多いですかね。」
「ふーん。じゃあ○○の新作読んだ?」
「読みました!トリックが斬新でやられたーって夢中になって一晩で読んじゃいました。」
「分かる。あれは想像出来ないよな。俺も一夜漬けで読んだ。」
「じゃあ○○のシリーズはどうですか?」
「もちろん、全巻制覇してるよ!」
「あははっ。」
「はい、盛り上がってるところすみませーん、席替えタイムでーす。桜子ちゃんだったよね?可愛いよねー。モテるでしょ?」
(わ、この人お酒臭い。完全に酔ってる。)
「いえ、そんな事ないです…。」
「えー?そうなの?!じゃあ俺立候補しちゃおうかなぁ。ね、俺じゃダメ?」
ジリジリと近寄られて逃げ場がなくなってしまった。どうしよう…
「あれ?もしかして怯えてるの?かーわい!」
見ず知らずの男の手が私の頬に当たろうとした時、矢野さんの手が寸でのところで男の腕を掴んでいた。
「そういうのがしたかったらキャバクラでも行けば?浩二、俺と天野さん抜けるわー。代金はこれで。」
さっとお財布から1万円札を出し、私の腕を掴んで立たせた矢野さんはそのままずんずんと進んでお店から出る。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます