第4話 「いい質問ですね」言っておけばちょっと頭良さげ

「で、なんだったけ?あ、化け物の話か。」

つい数秒前のことがなかったことにされているような気がする。

あっけらかんと話し出す彼に若干引いていた。


「能力者は組んだ人間に能力を与えるんだよ。

でも、人間には普通そんな強いエネルギーへの耐性はない!」

「だから、化け物へと変貌する・・・。」

「そういうこと~。」とさも当然のことであるという顔で言うが、

つまりはさっき倒したのは人間だったということか。


嫌なものが肺の周りにまとわりつくように

その事実は息をすることを躊躇わせた。


そして、また私の中で疑問がわく。

「人を化け物に変えることは、

能力者に対して何らかのメリットがあるということですか?」


目の前に広がる彼の中々いい顔面。

近いなぁ・・・・・。


「いい質問だねぇ。」

そして、とんでもなく嬉しそうに口角を上げた。


「能力は一人一人別のものを持っていてね。

それは人に与えても、

与えた能力者本人の所有物であることに変わりは無いんだ。」


未だに名前を聞けていないこの男は

私の周りを愉快にぐるぐると回りながら話を続ける。


「その能力を与えられた人が、いや、化け物が、

例えば人や能力者を食らったとする。

そして、その食らった獲物から得た養分、能力、生命は

化け物の体へは行かないまま

能力者本人に直結で流れていく。」


あぁ、余計に胸くそ悪くなる話を聞いた気がする。

だけど、多分ここまで聞いてしまったただの人間である私は

もう後には引けないのだろう。

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