第5話
隊長が竹槍を地面に突き立て、その身を棒高跳びの要領で宙へ踊らせた。
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彼の戦闘向きでない聖別特典。
それは 「発光」。
己の体をカラフルに光らせる。一見滑稽にも見えるこの聖別特典。しかしこれを与えた神は
ギリシャの太陽神にして、ゼウスの息子。名の知られた有力な神である。
そしてその聖別特典に、黄金世代の名を勝ち取った身体能力が融合しているのだ。
滑稽と笑うならば、すぐに痛い目を見ることになるだろう。
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隊長は空中で身体を大の字に広げた。僕らは一斉に目を防ぐ。
そして翳した手の上からでも分かる真昼のような閃光。
光輝に目を射られた虫達は何も分からぬまま、隊長の打突と濁天さんの傘で仕留められた。
月光が照り輝く中、それでも敵の視力を一撃で奪い去るその高威力。太陽神
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善戦を続ける僕ら五人。しかしそれを上回る戦力差。殺しても殺しても絶えず湧き出してくる地震虫。
同胞の骸を踏み越え、巨体を重ね合わせるように前進しようと蠢くその姿は生理的嫌悪を催す。
距離を取って援護射撃を敢行していた僕は、いつしか防衛ラインの一部に成り、仲間と横並びになって戦っていた。
肉弾戦と射撃が入り混じる乱戦を、僅かずつ制していったのは地震虫だった。
徐々に押され始めるライン。
特に消耗が激しいのは、長く戦い続けた隊長。人間を捨てたとまで言われたそのスタミナに、限界が近づく。
肩で息をしながらも、眼に闘志を滾らせ、竹槍を構えていた。
連戦に次ぐ連戦で、竹槍もかなり破損している。
汗で滑る手をしっかりと握りなおすと、襲いかかって来た三匹に自分から飛びかかった。鮮やかさを失わない竹槍捌きで、一匹の足をへし折り、もう一匹の胴体に風穴をあける。
じっと機を窺っていたもう一匹は、他の二匹より賢明だった。
二匹を倒し、体勢が崩れたままの隊長に狙い澄ました一撃を見舞った。
決定的な体格差。そして疲労の差。
防御の為に掲げられた竹槍を真ん中からへし折った地震虫の前肢は、その勢いのまま隊長の胸へと叩き込まれた。
「がッッは……ゲホッ」
3メートルほど後ろへ、力無く吹っ飛ばされ激しく咳き込んだ隊長。
「くっ……」
追撃を防ごうと左腕を構え、隊長を倒した個体に照準した瞬間、真横からの衝撃。
マトモに食らった左腕を消失したような錯覚を受ける。
左を見れば、嘲るような地震虫の顔。
油断した僕に一撃すると、慎重に距離を取った。
左腕の金属製フレームが僅かに歪んだらしく、内部からカリカリと引っ掻くような音が聞こえる。
隊長を倒した地震虫はばっくりと大きな顎を開けた。
隊長が食われる……
脳裏を駆ける戦慄。
蹴りで周囲の地震虫を牽制し、左腕を構えるが、撃てない。
焦って何度も
手動射撃に切り替えるも、既に遅い。
動けない隊長の胴体に、今ゆっくりと歯が
others 平鍋 鐶 @k8k2k8
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