おまけ「その後の三人」
ゴンゴンゴン!
ガチャ!
大きなノック音の直後、返事を待たずに扉を開けたのは
「あ、たいよー!オフロどーする!?ゴハンは!?なにか作ろっか!?」
「いやいや、開けんの早いだろ。返事してから開けてくれよ。つかノック強い」
「えー!?フツーだよ!?それにここはボクの部屋なんだし開けてもいいっしょ!?」
「いや、今は僕が借りてんだから配慮してくれよ…」
「あははは!ごめんごめん!それよりゴハンとオフロは!?」
茜は悪びれる様子も反省する様子も皆無だった。
「ったく…飯は
「えー!?ダメだよそんなの!わかった!ゴハンはボクが作ってあげる!コロッケでいいよね!?昨日トンカツ作ったんだけど、油捨てる前にもう一回揚げ物やりたいんだよね!着替えなら貸したげるよ!ダイジョーブ!たいよーが着てもカワイイ服あるから!」
「いや意味わかんねえよ!僕が着てもカワイイとかなんなんだよ!…あ、でもゴハンは貰うわ。色々サンキューな」
「うん!あ、この箱に入ってる服から着替え選んでね!パンツはないけど…ボクは材料取ってくるから先にオフロどーぞ!」
茜はそう言うと完全寮にある地下の食物貯蔵庫へ行った。
何を隠そう、完全寮の地下には食物貯蔵庫がある。そこには各種新鮮素材が常時保管されており、寮生はそれらを好きに使っていいことになっている。
野菜、魚、肉、果物、スイーツ、駄菓子に至るまで、そのバリエーションは
そして、今さらだが、太陽の云った準完とは準完全寮、自寮とは自由寮のことである。
「いやいや、なんだよこれ…こんなの男が着れるわけあるかよ…勘弁してくれよ」
太陽は独り言を呟いていた。
茜の言った箱の中にはどう考えても太陽に似つかわしくない、ゆるふわの
「普通にジャージとかないのか…あ、これは何とかいけそうだ……」
太陽は独り言を呟きながら茜のことを振り返っていた。
(
そう、茜は太陽が嘘を吐いたことに気がついていた。
ここで、
時は、遡ること15分前―――
「あのさ…たいよーさ…さっきのお腹痛いって…アレ、嘘だよね?」
「えっ!?なな、なんで!?」
茜の言葉に太陽の声は裏返っていた。
「あはは!やっぱりね!」
「え、いや…ははは」
太陽は嘘を吐くのが割と上手いほうなのだが、バレるとそれを誤魔化せないタイプである。
「……ありがとね」
「えっ!?」
「だーかーらー!ありがと!」
「え、あの…なんのこと?」
茜の言葉の意味がわからなかった。
太陽は童貞であるが故に女性の心を読むのが下手なのである!
「もう!たいよーってホントにぶちんだよね!ボクが脱がないで済むように嘘を吐いたんでしょっ!?」
半分正解、半分不正解である。
確かに太陽は茜の裸体を見ない(本当は見たかったが!)ためにどうすればいいかも考えていたが、あの時は股間のバベルの塔を隠すためにどうすればいいのかを最優先に考えていた。
「あ…いやそれは……」
「最初は気がつかなかったんだけど、部屋に戻って気がついたんだ。たいよーがボクのために負けてくれたんだって…たいよーが他の男共と違っててホントに安心した」
「
二人はなにやらいい雰囲気である…
いけ!太陽!押し倒せ!絶好の
(すみません!ナレーションの人!少し黙っていてもらえます!?)
太陽は心の中で俺に突っ込みをいれた。
「この話は…たいよーだから言うんだよ?恥ずかしいから誰にもナイショだからね?…ボクってその…胸おっきいじゃん?」
「う…いやそれは……」
童貞の殆どは女性からこういう話をされると何も言えなくなる!
(だから!黙ってもらえますか!)
また突っ込みを入れられたので、茶化すのをやめよう…
「あはは…いいよ、わかってるから。あたし中学に入るまではぺったんこだったのに中学で運動部に入ってから急におっきくなっちゃって…それで男がジロジロ視てくる様になって…だから男ってみんなエロくて嫌いだー!って思ったの…」
茜は太陽に本音を語った。
茜のエロい男が嫌いな理由は、思春期の頃に男共に胸を、おっぱいを視られたことが原因であった。
「でもさ…たいよーは初めて会った日からボクの胸を全然見ないで目を見て話してくれたじゃん?あの時、ボク本当に嬉しかったんだよ?………もーこの話は終わりね!じゃこの部屋好きに使っていいからね!」
「あっ!ちょっ、
太陽は茜の腕を掴んでを引き止めた。
「あ……なに?どーかした?」
「ごめん…全っ然関係ない話してもいいかな?」
まさかの発言だった。太陽は腕を掴んでまで茜を、女の子を引き止めたのにも関わらず雰囲気をぶっ壊す発言をした。
しかし、茜はそれを快く了承した。
そして、太陽は茜の寮の部屋、その玄関を潜った時から気になっていたことを訊いた。
「
それは胸の事ではなかった。
それは器の事ではなかった。
それは…
「あーっ!?たいよー今それ言う!?ボクが恥ずかしいの我慢して胸の話をしたのに今それ言う!?」
「ごめん、でも気になって…
「それはボクの
「え…ああ、うん!いや、はい!わかりました!僕と
「うんうん!それでいーよ!」
茜はそう言うと太陽に貸した部屋から出ていった。
(
茜の
それは、茜自身が166センチと公言している身長が実際には151センチしかないことである。
そしてそれは、室内に入ってしまうと露呈する。
そう、太陽も気がついた様に読者諸君も気がついただろうが、茜のブーツは巧妙に15センチも上げ底にされた
プールの授業で一緒になる女子達の間には茜の
茜は自身の胸の大きさを少しでも誤魔化すために高身長を装い、身長と
これはつまり、こういうことである。
85/166…約0.51
85/151…約0.56
カップ数なども加わるため一概には言えないものの、この数値が高ければ高いほど胸が際立つ体型となる。
ちなみ
90/169…約0.53
そう!茜は身長を抑えたトランジスターグラマー体型のため、サイズ的には劣る(?)霧子よりも胸が際立つ体型なのである!
以上で茜と太陽の話は終わりだ!
では、
―――太陽が茜の部屋で着替えを選別していた頃、霧子は理事長室で今日の職務を片付けていた。
「…ちっ!あの
霧子は不意に太陽のことを思い出して舌打ちをした。
「
霧子に声をかけたのは霧子の専属
通称・
影の様に寄り添い、ストーカーの様に付いて回ることからそう呼ばれているが、これを本人に言うと激昂するので注意だ。
シャドウは良いが、ストーカーが気に入らないらしい。
自称は
ちなみに、霧子と霞は
「別に何もないわ…あー、
「
あの男とは無論、太陽のことである。
「…ええ。あの
「クスクス…
今、霞はクスクスという言葉を発言した感じに描かれているが、これは比喩である!
クスクスと笑うという比喩である!
クスクスと言ったのではないから勘違いせぬように!
「誰があんな男!あんな変態童貞男なんて好きなわけがないでしょう!」
「そうですか?…なるほど、それは失礼致しました」
「…
霧子は霞の態度と雰囲気が愉しそうだったのを見逃さなかった。
「いえ別に……いえ、やはり愉しいです。ワタクシは
「はあっ!?誰があんな
「ワタクシは一言も
「えっ!?あ……ふふ、そうね。
「クスクス…
霞は霧子にいつから太陽を好きになったのか訊いた。
「…私にもわからないわ。気がついたらそうなっていたとしか言い様がないわね」
「そうですか、わかりませんか。…
そう!恋とはそういうものなのだ!
恋とはするものではない!
恋とは知らぬ間にしているものである!
否!!!
恋とは知らぬ間に落ちているものである!
恋慕とは、知らぬ間に育まれ、意識した時に初めてそれに気がつくのである!
そして、意識した時にはもう遅い!意識した時には既に堪らなく好きになっているものなのである!
それが恋だ!
それが青春だ!
それが若さだ!
「恋ね…この私にも理解出来ないものがあるなんてね……」
「人間ごときに万物を理解する事は不可能です。例えそれが
「あなた今、私に向かって人間ごときと言ったわね?
「これは失礼致しました。発言を撤回はしませんが、謝ります。すみませんでした」
「別に良いわ。次回の
「………まさかとは思いますが、ワタクシではありませんよね?」
霞は霧子の表情で全てを悟っていたが、確認する様に訊いていた。
それはあり得ないと思いながら、霧子がノーと答えるのを期待していた。
…だが、やはりそれはあり得なかった。
「ご名答。次はあなたよ、
「………」
霞は霧子に対して何も言わなかった。
ここに、次回の対戦カード決定した。
次回、
ズガーン!!!※落雷のSE※
製作未定!
内容未定!
では諸君、もしも次回作が作られた時にはまた会おう!
きっとまた会えると信じている!
この物語はまだまだ始まったばかりである!!!
では、サラバだ!
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