インターバル
インターバル 4
「教官! 今戻ったよ!」
「たっだいまー!」
「お帰りなさい鹿島さん、千間さん。今回も得るものがあったようですね」
「あれ?
「そうなのよー、なんで私ばっかり。まあ、今回は楽しかったからいいけど」
転送装置から帰還した
自分だけ競技に出たと思っていた
「どのような選出基準かはわかりませんが、やはり均等という訳ではないことは確かですね」
「むー、私だっていっぱい戦いたいのにー!
「こらっ、
一方でまだ一回しか出番のない
「あはは、でも今の
「
「サンキュー
「魔の物も退魔士もいない世の中!? そんなのちょっと考えられないけど、またなんで…………?」
「いや、実はね――――」
突然、突拍子もないことを言い出す
「なるほど、競技の舞台が千間さんの言う「魔の物も退魔士もいない世界」の日本だったのですね。それは興味深い」
「でしょう教官! 私たちの世界と比べて、なんというか緊張感? っていうの? なんとなく活気が足りないなーなんて思ったけど、なぜだか少し懐かしいような気分になって…………それで、もし私があの世界の日本に生まれていたら、将来何を目指してたかなって思ったの」
「で、
「うーん、それがね、動画投稿のための自撮りが意外と楽しくてさ! もしかしたらアイドルを目指すのもいいんじゃないかって思ったの!」
「アイドルですか! 私もいいと思いますよ♪」
そう言って後ろからひょっこり話に混じってきた、天使のステラエル。今の言葉は皮肉とかではなく、彼女なりの本心のようだ。
「むしろこんなに可愛い女の子たちを、軍隊みたいに使う方がもったいない!
「あたしは別に……そういうのは、いいかな。たとえ平和な世の中だったとしても、たぶんあたしは戦う職業についてたかもしれないし。ほら、陸軍の士官とか」
「私も私もー! 空軍とかに入って戦闘機ブンブン乗り回したいな!」
「……教官さん、あなたは本当に、女の子に名に教えてるんですか?」
「私に言われましても…………」
「あら、魔の物がいなかったら、私は生まれてないわ。どうしましょう?」
「えー、別に
「設定……そうね、やっぱり私は音楽家がいいですね。生まれ変わっても、このフルートとは一緒にいたいです。ああでも、お洋服も好きですからファッションデザイナーになるのもいいわね。そうそう、考古学者なんていうのもありかも~」
「やりたいこといっぱいあるんだね、
祖先が魔の物だった
「じゃあ教官は?」
「私、ですか………そうですね。無難なところでは警察官でしょうか」
「なるほど、警察官!」
「
「えー……警察官?」
一方で
「何か不満なの
「あー……うん、別に似合わないってことはないけど、教官が警察だとなんかこう、宝の持ち腐れかなーって」
「あ、だったら弁護士なんてどうですか?
「へぇ、それいいかもっ!」
ここで
彼の気質的に、検察や裁判官の方が合っている気もしなくもないが、パリッとスーツ姿になった彼が、理路整然と弁護を行う姿を想像するのも、なかなか乙である。
「そして……私は
「なっ!? そ、それはあたしの仕事にするっ!
「まぁ、ひどいわ
「なにを」
「あなたこそ」
「二人とも、外部の人も見てるんですから、その辺にしておきなさい」
相変わらず対立する二人を、
この二人、喧嘩をすると
「えー、私はもう少し見てたかったですよー。ポンコツ刑事さんと冷酷検事さんの大岡裁き♪」
「「なにおっ!?」」
「あーっ、そうそう、
煽るだけ煽っておいて、わざとらしく仕事のアナウンスに戻るステラエル。
やはりこの天使は、性格に相当に問題がありそうだ。
「よぉし! こんどこそ負けないぞーっ! Viel Feind, viel Ehr'っっ!」
「私ですね。今度は奇麗な声のかわいい人が相手だといいわ~」
「前の相手はそんなにひどかったのか……」
こうして、次は
やる気満々の二人は、はたして勝ち星を挙げることができるのだろうか――――
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