第9話 西城秀


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『…大丈夫だよ。またすぐ会えるから。』


『…ほんとう?』


『うん。…それまでお別れだけど、元気でねー…』






「美子。」



「……ん…」


夢の中の優しい声とは違う厳格な声と体を揺する大きな手に目を開くと、ぼんやりとした世界に一つの影が浮かび上がってきた。目を擦って再度その影を見れば、ようやく影の正体が明らかになる。


「…お父さま…?」


「…早く荷物を持ちなさい。降りるぞ。」


「ふぁい…」


欠伸をしながら返事をすると、お父様は席を立ってさっさと出口へ行ってしまった。その後ろ姿を何度も見ながらジュースや本を慌てて鞄にしまった。




「…ま、待ってください!お父さま!」


顧みることもなくズンズンと駅のホームを進んでいく背中にそう叫んだ。すると、お父様は歩みを止めて振り返り、やれやれと言いたげに溜息を吐いた。


「…眠いのは自業自得だが人の目がある場所ではしっかりしなさい。粗相があれば伝統ある【応龍】に泥を塗ることになるのだから。」


「ご、ごめんなさい…。」


図星を突かれて萎縮しながら小さく謝ると、お父様はしばらく黙り込み、突然俯く私に手を差し出した。お父様らしくないその行為に目を見張ったまま勢いよく頭を上げると、いつもと同じ感情の読めない表情をしたその人が真っ直ぐ私を見つめていた。



「…人が多い場所ゆえ、迷子になられては困る。」


愛想のない言葉だったけど、私の胸をくすぐって心にかかった猜疑心さいぎしんを晴らしていった。



「…はい!お父さま!」


むず痒い気持ちのままその手を握れば、少しカサついた大きな手が握り返してくれた。ちょっと痛かったり、優しくなったりと忙しない力加減とその温かさに胸がさらにムズムズして口角が上がっていった。


「…行くぞ、西口に迎えが来ているはずだ。」


「はい!」


笑顔で返事をすると私をチラッと見てから少し遅い速度で歩き出した。



(…変なの……お父様に大切だよって言われてるみたい…)


「迷子にならないように」というお父様の言葉が嘘だとは思わないけど、自分の左手を包む大きな手の温もりがそうであればいいなと小さく願いながら、離れないようにしっかりと手を握って駅のホームを歩いて行った。






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「応龍様、美子様。」


西口のゲート前で足を止めた私達に声を掛けたのは、浅葱色の袴を穿いた体格のいい男の人だった。


「西の地までお越し下さいましてありがとうございます。お待ち申し上げておりました。」


そう言って丁寧にお辞儀をした後、繋がれた私達の手をじっと見つめて口を開いた。


「…むつまじい御姿は美しい限りでございますね。」


…その言葉と笑顔に、寒気が背筋を一気に走っていった。口元には笑みを貼り付けてたけど、ちっとも笑ってないその目が心のうちを語っているようで怖かった。


「…お荷物お持ち致します。車はあちらに停めてありますので参りましょう。」


二人分の荷物を軽々と抱え、クルッと方向転換して案内してくれるその人の後を、お父様に手を引かれてついて行った。すると、ゴールドホイールの白くて長い車の前に辿り着いた。初めて目にする普通の車の2倍くらい長いその車を口を開けて眺めていると、後部座席のドアが自動で開いた。驚いてお父様の後ろに隠れると荷物を積み終わった男の人が少し屈んで偽物の笑顔をしてみせた。


「驚かせてしまい申し訳ありません。少し大きいだけで普通の車と何ら変わりありませんのでご安心下さい。」


ぎこちなく頷いて答えるとお父様は開け放たれたドアまで歩いて行き、背中をポンと叩いて先に乗るように促した。どうせなら先に乗ってくれれば良いの…と心の中で愚痴を呟いてから恐る恐る中を覗いた。その瞬間、私は息を飲んだ。




…白と黒を基調とした車内には金のシャンデリアが輝き、磨き抜かれたシャンパングラスにワインやジュース、色とりどりのフルーツやお菓子の盛り付けられたお皿がテーブルに置いてあって、見たことも聞いたこともない世界が広がっていた。


…普通の車と変わらないとは一体全体どういう意味だったのだろうか…と現実逃避でもするかのようにぼんやりと眺めていると、再度お父様に背中を叩かれた。


「…気持ちは分からなくもないが、人を待たせているのだから早く乗りなさい。」


「……はい…」


ふわふわする頭で生半可な返事をしながら車に乗り込んで皮のソファーに座るとどこからともなく優雅なクラシック音楽が聞こえてきた。


「リクエストがございましたら、何なりとお申し付けくださいませ。すぐにご用意致します。」


運転席に座っていた人が軽く振り返って私達にそう告げたけど、私は小さく「……いえ…」と返すことしかできなかった。私の返事に「畏まりました」と頭を下げてからその人が再び前を向くと車が動き出した。


発車してから神社に着くまでの間、ジュースは何を飲むだの、お菓子は何が良いだの矢継ぎ早に問われたが、放心状態だった私は適当に相槌を打ってやり過ごしていた。






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「「「お待ちしておりました!!応龍様!美子様!」」」



車を降りてまず思ったのは「とんでもないところに来てしまった」という後悔だった。何がとんでもないかというと、豪華絢爛な車から降りた瞬間に響いた雄叫びみたいな挨拶の声。ビックリして顔を上げると参道に沿って左右に一列ずつ並び、直角に腰を折って頭を下げている屈強な男の人達。そして、その奥に見える金ピカな鳥居と大きな山。…恐れや驚きを通り越して面白いとすら思えてくる。



「ようこそお越しくださいました。応龍様、美子様。【白虎びゃっこ】一同、心より御礼申し上げます。」


そう言いながら金ピカな鳥居をくぐって参道を大股で歩いてくる人を見て、いよいよ意識を手放しそうになった。


…岩が服を着て喋ってる、と表現するのが一番簡単で的確なのかもしれない。現れたその人は、2メートルをゆうに越した身体に、服の上からでも分かるほどのゴツゴツした筋肉を纏っていた。



「男ばかりの場所ゆえ、無骨ぶこつなご挨拶となってしまい申し訳ありません。」


「いえ、壮大な挨拶に娘も言葉を失うほど感動しております。」


立ち尽くす私の肩に手を置きながらそう言ったお父様に注がれていたその人の目が、言葉に従うようにゆっくりと私へ向けられた。勇ましい目に肩がビクッと跳ねると、その人は振り返って「おおーい!!」と叫んだ。


…するとその直後、金ピカ鳥居の先にある山の上の方から黒い何かが空を飛んでドスンっ!と鈍い音をたてながら私の目の前に落ちてきた。




「…イノ、シシ…?」


「お近付きの印にどうぞ。」



お父様とも岩の人とも違う、華のある綺麗な声が聞こえてきて弾かれるように頭を上げた。


「あっ……」


…顔を上げると、そこには見たこともないくらい可愛くて綺麗な顔に透けるような銀の髪がきらめく男の子が立っていて、私に向かって微笑んでいた。



「初めまして。【白虎】の次期当主、西城秀さいじょうしゅうと申します。以後お見知り置きを。」


お兄様の笑顔とはまた違ったキラキラな笑顔に思わず息を飲んだ。そして、慌てて私も挨拶をした。


「は、はじめまして。天地美子です。それより、あの、これ……」


そう言って横たわるそれを控え目に指さすと、チラッと見てから微笑んだ。


「美子様がいらっしゃると聞きましたので是非召し上がって頂きたいと思い、今し方仕留めて参りました。旬ではないですが若いメスなので美味しいと思いますよ。」


平然と言ってのけると、突然その子の頭をわしゃわしゃっと撫でる大きな手が現れた。その逞しい腕を辿ってみるとあの岩の人で、満面の笑みを浮かべていた。


「一撃でここまで飛ばすとは見事だ!!」


「お、恐れ入ります…しかし、父上、応龍様もいらっしゃいますので…」


男の子が苦笑しながらそう言うと、岩の人は急に撫でるのをやめて土下座をした。


「申し訳ありません!!御無礼をお許しください!」


今ので何故謝るのか全く理解出来なかったので振り返ってお父様を見上げると、私を見てから土下座する岩の人を見て首を横に振った。


「いえ、構いません。睦まじい姿は美しい限りですから。」


「有り難い御言葉と寛大な御心に感謝申し上げます。」


参道の石畳を割ってしまうんじゃないかと思うくらいの勢いで深く頭を下げてから、立ち上がって真剣な顔付きをした。


「挨拶はこれくらいに致しまして、早速神社の方で奉納芸を御覧頂きたく存じます。」


「ほーのーげい…?」


私がそう呟いたのと同時に、参道に並んでいた男の人達が「うぉおおぉおぉ!!」と叫んだかと思うと、次の瞬間、駕籠かごを担いだ男の人達が私達の所まで走ってきて止まった。


「神社までは石段を四千段以上登らなくてはなりませんので、応龍様と美子様はこちらの駕籠でお運び致します。」


呆気に取られてただその光景を眺めていると、駕籠に乗り込んだお父様が早く乗るように目線で促した。



「…し、失礼します…」


恐る恐る駕籠に乗り込むと転落防止のために縄が張られ、駕籠の天井から垂れた縄をしっかり握るようにと言われた。


「では参りましょう。我々の足でしたら十数分で登りきれますのでご安心ください。」


「四千段を十数分…?」


私が呟くと、参道に並んでいた男の人達がまた「うおおぉおぉぉ!!」と叫び、今度は金ピカ鳥居の方へ全速力で駆けて行き石段を目にも止まらぬ速さで登り始めた。



「それでは美子様、神社でお待ちしております。」


私の駕籠の所まで来て綺麗に微笑みながらそう言うと、まるで鹿が駆けるような足取りで颯爽と山へ消えていった。


「我々も参りましょう。少々揺れますのでしっかり縄をお持ちくださいませ。」


そう言うと、男の人達は駕籠の担ぎ棒を肩に担いで深呼吸をした。



「「……ぅうぉぉおぉおおおお!!!」」



また叫んだかと思ったら、駕籠がグラッと揺れてもの凄い速さで走り始めた。体感としては長くて急な下り坂を立ち漕ぎしながら自転車で下っていく…、そんな恐怖に苛まれながら石段を登って行くのを固まりながらただ見つめていた。





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「お待たせ致しました。頭上にお気を付けくださいませ。」


人を乗せた駕籠を担いで休憩もなく四千段を駆け登ったのにも関わらず、息を乱すどころか汗一つかかずに私を気遣う男の人達を涙目で見つめながら、小さく感謝の言葉を返した。地に足を付けた瞬間、どこからか太鼓を叩く音がして慌てて顔を上げると、神楽殿かぐらでんのような舞台の上で仁王立ちをしている道着姿の男の人達がいた。そして、その中央にいたのは岩の人と銀髪の男の子だった。


「白虎式一の型!!」


岩の人が大声でそう言うと太鼓がドドン!!と鳴って、仁王立ちしていた人達が「はっ!はっ!」と声を上げながら突きや蹴りを一糸乱れぬ動きで繰り出していった。その迫力に押されながらも惹きつけられて瞬きもせずに見つめていた。


白虎式二の型、三の型…と続いていき、十の型が終わると何人かが舞台裏から木の板や瓦を持って来た。そして、太鼓の音に合わせてそれらを突きや蹴りで真っ二つに割っていくのを見て、興奮し思わず拍手をしてしまった。それに呼応するかのように、割る板や瓦の枚数が増えていった。


(…あの子はやらないんだ……危ないから大人になってからなのかな?)


ふとそんなことを考えた矢先、太鼓の音が激しくなるのと同時に金の板を持った人が現れて、舞台の中央でそれを構えた。そして、その人の正面に立ったのは、その舞台の中で一番小さい男の子だった。



「…はぁっ!!」


タン、タンっとリズムを取るように跳ねた後、踏み込んで華麗な上段回し蹴りをした。すると、その蹴りを受けた金の板はパキィッ!という音を立てながら木の板のように呆気なく二つに割れてしまった。


(へぇ〜、金って蹴りで叩き割れるものなんだぁ!)


感動と興奮で高鳴る胸を表すように精一杯拍手をすると、舞台に立つ人達が十字を切って動かなくなった。あんなに激しく鳴っていた太鼓の音も途絶えて、広い境内には私の拍手の音だけが響いていた。








「…素晴らしい奉納芸でした。雄々しく、それでいて美麗である姿は「白虎」を見ているようでした。」


「お褒めに預かり光栄です。」


いつもの無表情で嫌味のない世辞を述べたお父様とそれを横目で見る私、少しニヤけた顔で頭を下げてお礼を述べる岩の人と微笑みながら軽く頭を下げる西城秀君。奉納芸を終えた私達が対面していたのは御神体の祀られた本殿だった。


「それでは白虎殿。美子にこの神社のことや【白虎】についてご説明頂けますか?」


「はい、畏まりました。」


そう言って咳払いを一つしてから私を真っ直ぐ見つめた岩の人改め白虎殿が口を開いた。



「我々【白虎】はその名の通り西を司る神獣であり血の神でもある「白虎」の加護を受けた一族であります。加護として、強靭な肉体と精神力を持って生まれ武道を極めることによって魔を祓い清めております。」


「へー…なんだか【青龍】みたい…」


何となく思ったことを呟くと、急に場が凍り付いてなぎのように静まり返った。




「えっ、と……?」


何をやらかしてしまったのか皆目検討も付かず、沈黙が怖かったので取り敢えず声を出してみた。すると、黙り込んだ白虎殿に代わって西城秀君が笑顔で口を開いた。


「…そうですね。「青龍」も軍神ですし「白虎」と対をなす神獣ですから、その加護を受けた我々も似ているのかも知れません。しかし」


言葉を続けようとした彼を遮るように「しかし!!」と大声を出したのは白虎殿だった。


「我々は修行によって鍛え上げた己の身体一つで闘うのです!あんな棒切れを振り回して闘う者どもとは格が違うというものです!!」


脳を揺らすような大声に目眩を起こしながらも何とか頷くと、なだめるように白虎殿の腕を軽く叩いた西城秀君。それに正気を取り戻したのか「失礼致しました」と謝ってから説明を再開した。


「…また、血の神から「白虎」は人と人の血を結ぶ、即ち縁結びの神とも信じられておりますので、こちらでは勝負運だけでなく縁結びや子宝、安産に子孫繁栄の御利益があるのです。」


「へ、へぇー…」


今度はいつ怒鳴るのか内心ビクビクしながらそう返事をした。また、【青龍】と仲が悪いのかな…?なんて考えたりもしたが言葉にはせず、なるべく話題にしないようにしようと心に誓った。


「次に「白虎神社」についてご説明致します。「白虎神社」は「白虎」をお祀りする神社なのですが、実は一つではないのです。」


「一つじゃない?」


解らないところを繰り返すと、白虎殿は大きく頷いてくれた。


「はい。「白虎神社」とは男が守る「虎ノ頭とらのかみ神社」と女が守る「虎ノ尾とらのお神社」の総称です。「虎ノ頭神社」は山の頂、「虎ノ尾神社」は山の麓に位置しておりますので、参拝の順としてはふもとからいただきへをお勧めしております。」


「じゃあ、ここは山の上で男の人しかいないから「虎ノ頭神社」ということですか?」


「はい。後程「虎ノ尾神社」もご案内致しますのでご安心下さいませ。」


到着してからずっと疑問に思っていたことが、やっと解決して少し楽になった。すると、白虎殿が「秀。」と名前を呼んだ。


「美子様をお連れして境内の案内をしてきなさい。私は応龍様とお話ししてから……そうだな、一時間後に下の鳥居の元で集合としよう。」


「はい、承知しました。」


返事をしてから丁寧に頭を下げた後、私を見つめてニコッと微笑んだ。


「参りましょう、美子様。僭越せんえつながらご案内致します。」


「あ、はい。」


返事をして立ち上がると、「こちらへ」と言って本殿の出口まで案内してくれた。





………

……





「うわぁ…目がチカチカするなぁー…」


本殿を出て一番初めに案内されたのは「虎ノ頭神社」の拝殿だった。外装は木造建築そのものでおごそかな感じがして良かったのに、内装は天井も床も、細部の装飾までもが金ピカでただただ眩しかった。


(…鳥居もそうだったけど、なんでこんなに金ピカにしてんだろう…?権力自慢かな?)


考え込みながら拝殿内を見渡していると、不意に横から視線を感じた。その視線を辿るように顔を向ければ、その先にいたのは西城秀君だった。


「?どうしたー…」


何も言わずに見つめてくるから何か用事があるのだろうと思って尋ねようとした瞬間、急に距離を詰めて顔を近付けてきた。驚いて固まる私をじっと見つめると、しばらくしてから口を開いた。



「…ふーん、やっぱり気のせいじゃなかったんだ。」


「…えっ?」


さっきまでの物腰の柔らかい声ではなく、鋭い棘のような声に自分の耳を疑った。いや、声だけじゃなく纏う雰囲気や態度も急変していて言葉を失ってしまった。


「あーあ、女の子って聞いてたから思い通りになるかも〜なんて思ってたのに、俺に落ちないなら意味ないじゃん。」


「落ちる??」


急な変わり様に不信感を抱いたけど、その理由を知りたいがために言葉を重ねた。すると、頭を掻きながら大きく溜息を吐いてその大きな目を私に向けた。


「こっちの話。まあ?あんな見目麗しい次期当主様がお兄様だからぁ?考えてなかった訳じゃないけどー。あーあ、つまんなーい!」


早口でそうまくし立てると、クルッと背を向けて拝殿の出口へ歩いて行った。


「ちょ、ちょっと待ってよ!つまんないって何!?」


慌てて追いかけて腕を掴むと、心底嫌そうな顔をされた。


「つまんないから接待終了。一時間好きなように過ごせば?」


「なんでよ!境内を案内してくれるんでしょ!?」


もう何が何だかわからなかったけど、とにかくその態度に腹が立ってきて声を荒らげた。


「だーかーら!!それを止めるって言ってんの!好きなとこ見て好きなようにしてれば良いじゃん!」


そう言い返して私の手を振り解くと、さっさと草履を履いて玉砂利の上を歩き出した。


「ねぇ!ちょっと!!」


遠ざかる後ろ姿に怒鳴るように声を掛けると、振り返って口に人差し指を立ててみせた。


「静かにしてよ。父上にバレたらどうしてくれんの?大丈夫だって。一時間後にちゃんと迎えに行くからさ、それまでは大人しくしててね〜。」


ニッコリと綺麗な笑顔でそう言いながら手を振ると、また背を向けて歩き出した。その後ろ姿が山の木々に消えて行くの呆然と見送った後に、怒りから身体が震えて拳をきつく握った。



「…なんなのっ!?あの子っ!!」


地団駄を踏みながら叫んだ私の声は、深い山に木霊しては答える声もないまま虚しく消えていったのだった。






続く…

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