そういえば城の外に行くのは初めてだ

今日は朝早くから忙しい。

招待状を送ってきた国に行く為に朝からみんな大急ぎで必要な物を馬車に詰め込んでいる。

オレも手伝おうかと思ったんだが、魔王様の側に居て欲しいと言って断られた。

なので、今は馬車の中で出発するのを待っていて暇だ。

魔王様はまだ眠っていて起きてないのでとても暇なのだ。

ちなみに、瑠璃くんはオレの隣で眠っている勇者様を抱っこしている。

つまり、オレと同じ状態だ。

(あ、そうだ)


「瑠璃くんは体調大丈夫なのか?体があまり強くないって言ってたし、今日はかなり日差しが強いし」

「うん、大丈夫。今日は元々体調は悪くなかったから。それに、サージが僕に日差しを遮断する魔法と体力系をアップさせる補助魔法?っていうのをかけてくれたから」

「サージさんが?」

「うん、サージが。多分、僕があまりにも人見知りな上に人を怖がる上にコミュ障だから、大丈夫なサージがかけてくれたんじゃないかな?」

「ああ、なるほど」


瑠璃くんは瑠璃くんが言った通り、かなりの人見知りでコミュ障だ。

さらに、アルビノで家からほとんど出た事がない (出たら全身火傷とかするかもしれないから仕方ないけど)からあまりに人に会うことがない。

だからか、なれた人じゃないととても怖がるのだ。


「それに、馬車での移動は初めてじゃないからね」

「あ、そっか。瑠璃くんは勇者様と馬車でここまで来たんだったな」

「無理矢理だったけど、その時もあまり体力は悪くなかったから、、、もしかしたら、この世界の気候とかと相性が良いのかも」

「そうなら、良いな。この世界に喚ばれて良いことがないとか最悪だしな」

「そう、、だね。そういえば、連夜はこの城の近くの街、、城下町には行ったことはあるのかな?僕は馬車から出ることが許されなかったから音しか聞こえなかったけど、賑やかで穏やかな所みたいだけど、、、連夜?」


瑠璃くんの最後の言葉を聞いたオレはあることに気づいた。

(え?イヤイヤ、そんな、そんなはずは、、、けど、どんなに思い返しても、、、ウソだろ!?)


「、、で、、と、、ぇ」

「連夜?なんて、」

「外に出た事ねぇ!?」

「っ!?」

「オレ、召喚されてから一回も城の敷地内から出た事ねぇ!!」

「、、、え?本当に?」

「マジで、本当に、ない!」

「えっと、、、つまり、連夜はこれから初めて城の外に出るってこと?」

「イエス」

「、、、えーと、、、魔王も初めてだと思うからお揃いで良かった、、ね?」

「、、、ああ、、、うん、、、魔王様とお揃いって思えばまだ、、、そうだな」


今まで気づきもしなかった事を唐突に気づきショックを受けたオレに瑠璃くんはかける言葉を思いつかなかった (オレだって思いつかない)だろうに、オレを頑張って慰めてくれた。

(魔王様のお世話で忙しかったからって城の外 (庭は除外)に出てねぇのに気づかねぇって、、、いや?魔王様はとてもとてもとてつもなく可愛いから?そんな魔王様のお世話に夢中になって気づかないってのはある、、、ねぇよ!ちょっとあるかな?って思ったけど、それはねぇよ!ハッ!庭には出てたから気づかなかったのかも!?)


「連夜?」

「え?あ、大丈夫、大丈夫、、、ちょっと一人で (ひとりツッコミしながら)考えてただけだから」

「それは本当に大丈夫なやつなのかな?まぁ、いいや。サージ達も来たからそろそろ出発するみたいだよ」

「え?もう? (異世界にきて)初めての外だと思うと少し緊張するな」

「まぁ、連夜が楽しめれば良いと思うよ」

「瑠璃くん(お兄ちゃん)」


瑠璃くんのお兄ちゃん力に少しやられたが、気分を変えて初めての異世界の外を楽しもうと思う。




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