他国に行く為の準備
招待状が届いた次の日になり、オレと瑠璃くんはお勉強をしている。
「レーヤは魔王様を抱いて魔王様の座る椅子に静かに座っているだけで良い。小難しい事は俺がやる」
「はい、分かりました」
「ルリはほとんど客室に居るだろうが、誘われて外に出ないとならない時は俺かセーラ、メーヤのうち一人でも一緒なら良いと答えろ。ルリと勇者様だけでと言われたらなんとしても断れ。我々に命令されたと言えば良い」
「うん、分かった」
教師はサージさんだ。
勉強の内容は招待された国でオレと瑠璃くんは何をしたら良いかだ。
「それで、夜の服だが、」
「夜の服?」
「舞踏会みたいなやつかな?」
「ああ!あの!ドレス着て踊るヤツ!」
「、、、確かにドレスなどを着て踊るが、、、まぁいい。レーヤには魔王様の次に素晴らしい物を着てもらうぞ?魔王様を抱いて出てもらうからな」
「え?オレはただのお世話係りなんですから、従者とかの服でも、」
「魔王様を抱いて出てもらうと言っただろう?魔王様を抱いて出る者が従者の服では我が国が恥をかく」
「連夜、魔王の威厳とかに関わるから、それはよしといた方が良いよ?『魔王はこんな華やかな所に出るというのに自分の従者には着飾らさないんだな。懐の狭いお方だな』とか言われるかもしれないから」
「サージさん!オレの服は魔王様の次に素晴らしい物でよろしくお願いします!」
「あ、ああ」
魔王様が悪く思われない為なら派手な格好だろうと、目立つ服装だろうとしてやろうと思ったので、大きな声で勢い良くサージさんにお願いしたらサージさんは少し驚きながらも頷いてくれた。
(うわぁ、驚いてるよサージさん。当たり前か、いきなり大声でああ言われたら驚くよな?)
「あ~?レーヤぁ?」
「あ、何でもないですよ、魔王様」
「う~?あい!」
「あ、勇者は寝ちゃった。もうお昼寝の時間か」
「え?そんな時間?あ、本当だ!魔王様も寝んねしましょうね?」
「ね~ね?」
「そうです、寝んねです。イイコですから寝んねしましょうね?」
「ね~ね、ねぇ~、、うにゅ、、れ、、やぁ、、スピー」
体をゆっくり揺らしながら心音を聞かせ、背中を優しく叩くと魔王様は直ぐに寝てしまった。
「もう、そんな時間だったか。あとはルリと勇者様の事だが」
「僕達は部屋でお留守番してるよ。僕はあまり体も強くないし、人も人が多い所も苦手だしね?」
「そうか、、、そうだな、その方が安全だからな。ルリと勇者様は部屋で留守番をしてもらう」
「あの~、、、一つ問題があるんですが」
「なんだ?」
「オレ、ダンスは一切踊れませんよ?それにコミュ障、、、瑠璃くんと同じで人が苦手ですし」
そう、オレは日本の一般家庭で生まれた普通 (?)の高校生だ。
ダンスなんて踊れるわけがない。
それに、コミュ障で初対面の人には緊張して上手く話せない上に体が震えてしまう。
どう考えても人前に出る人間ではない。
「それは大丈夫だ。レーヤは魔王様を抱いて魔王様用に用意された椅子に座ってるだけで良い。誰かに話しかけられても何も喋らなくて良い。寧ろ喋るな。会話は全て俺がする」
「え?喋らなくて良い?けど、挨拶しないのは失礼じゃ?」
「そういう席では魔王様に許可なく勝手に話しかける事の方が失礼だ。そういう者達は無視しろ」
「無視、、、はい、分かりました」
日本人の感覚で話しかけてきた人を無視するのは居たたまれないが、魔王様の為になるなら頑張って無視しようと決めた。
「ルリ、悪いが魔王様をお願い出来るか?レーヤは服の試着に少し借りたい」
「うん、大丈夫だよ」
「寸法を測るだけだからな、、、だいたい40分、、、いや、30分で終わらせる」
「そんなに急がせなくても魔王と勇者の相手くらい出来るよ?」
「いや、その後に魔王様の服や勇者様とルリの服も作ってもらわねばならないからな」
「ああ、他国に行くから余所行きの服が必要なのか」
「そういう事だ」
「うわぁ、服を作る人は大変だな」
「何を言っている?レーヤ、お前もこれからとても大変だからな?」
サージさんにそう言われた後、寸法を測りに行ったが、、、その後はサージさんが言った通りめちゃんこ忙しかった。
アレでもないコレでもないと次々に服を着せられ何回も着替えたり、魔王様の服を何回も着替えさせたりしてとても疲れた。
準備が色々と終わったあとはオレも魔王様も勇者様も瑠璃くんも静かに眠ってしまうくらい忙しく疲れた。
(偉い人の準備ってこんなに大変なんだな、、、元々憧れてなかったけど今は偉い人を尊敬する)
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