ここは優しい世界 (ルリ視点)
僕が召喚されて数日がたった。
その間、僕は勇者の世話をしていた。
驚いた事に勇者は女の子だったが、僕も性別は女なので世話をするなら同じ性別の方がなにかとやりやすいので結果的には良かったと思っている。
勇者は僕に心を開いてくれたのか、近くに誰の気配も無い時は声を出して笑ってくれるようになった。
(ちゃんと眠ってくれるようになって良かった。赤ちゃんなのに隈があるとか、、、本当にこの世界は最悪だ)
「おい!」
「っ!?」
「明日には魔王が居る城に着くからな!お前とソレは魔王の城に行ってこい!いいな?」
「、、、。」
それまで一切話しかけてこなかった護衛役 (もちろん僕や勇者のではなく、僕達の世話の為に着いて来た人達の護衛)が言うだけ言うと僕の返事も待たずに離れていった。
(この場合のいいな?っていうのは命令だよね?)
「勇者、明日には僕達は魔王の城に着いてるらしいよ?僕が召喚なんてされなければ君ももう少し、、、」
そして次の日になると、護衛役が言った通り僕達を魔王の居る城に置いて他の人達は帰って行った。
そして置いて行かれた僕は勇者をフードの中に隠しながら案内してくれている魔族の人に着いて行った。
どうやら僕は謁見の間に案内されてるらしい。
(、、、こうなれば、土下座してでも勇者だけは助けてもらおう)
そんなこんなで謁見の間で直ぐに土下座をすると、まさかの同郷の人である連夜と出会う事になった。
そして今現在、魔王の城に住む事を許され部屋まで与えられた。
(まさか、魔王側の方が優しくてモラルがあるとは思わなかったな。勇者も少しずつでもいいから普通の赤ちゃんみたいに出来るようになれば良いな)
「ねぇ、勇者」
「あい」
「この世界は最悪で残酷だと最初は思ったよ」
「う?」
「けど、、、」
「るー?」
「この世界は、、、ここは優しい世界なのかもね?」
「、、、あう?」
「僕は勇者と会えて良かったよ。そして魔王や連夜と会えたのも、、ね?」
「うーちゃ?るー?」
「クスクス、、、大好きだよ勇者って事だよ」
「あい!うーちゃも!るー、ちゅきよぉ」
「うん、僕も勇者のこと大好きだよ」
この世界の一部は最悪で残酷だけど、本当は優しい世界なのかもしれない。
(連夜の様子を見ると、ここで嫌な思いはしてないみたいだ。全然無いってことは無いんだろうけど、、、メーヤやセーラそれにサージは連夜をとても優しい目で見てた。連夜はここでとても愛されてるんだろうな)
“コンコン”
「勇者様、瑠璃くん、入って大丈夫か?」
「うん、どうぞ」
“ガチャ”
「お邪魔しま~す。ほら、魔王様も、女の子の部屋に入るんだからちゃんと挨拶しないとダメですよ?」
「あい!まーちゃよぉ!うーちゃ!るー!よぉくねぇ?」
「はい、魔王様よく出来ました!というか、そんなにちゃんとした挨拶が出来るなんて!魔王様、天才ですね!」
「あう~、きゃっきゃ」
連夜と魔王が部屋に来て騒がしくも楽しい時間が訪れた。
(願わくば、、、この優しいこの世界で勇者も愛されますように)
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