勇者様と瑠璃くんの今後

「その、瑠璃くん」

「ん?何かな?」

「瑠璃くんはこれからどうするんだ?」

「これから、、、どうするかな、、、勝手に召喚されて捨てられたみたいなものだから何処にも居場所は無いし、、、勇者の事もあるし、、、どうしようかな?」


そりゃあそう言うしかない。

瑠璃くんはこの世界の事を何一つ教えてもらってもいないし、強制的に召喚されてから勝手にここに行けと言われたんだから。


「瑠璃くん、よかったらここで一緒に暮らさない?」

「え?、、、それは、、僕は助かるけど、、、良いの?」

「サージさん!良いですよね?」

「そうだな、、、この世界の被害者みたいな者だからな。この世界の者が責任を取らないとならないだろう」

「なら!」

「ああ、ここで暮らして構わない。魔王様も懐かれておられるしな。こちらも魔王様が気に入った者がここで暮らしてくれる方が助かるからな」

「だってさ、瑠璃くん」

「、、、なら、これからよろしく」

「こちらこそ!」


フードを再び被ってしまったので瑠璃くんの表情は分からないが、頷いて返事をしてくれたので今日から瑠璃くんと勇者様はここで暮らす事になった。


「勇者もご挨拶」

「あ~、るー?」

「これからよろしくってご挨拶出来る?仲良くしてねって事だよ?」

「う!うーちゃちょるーよぉ」

「多分、勇者と瑠璃だよって言ってる」

「よぉ~くぅねぇ?」

「よろしくね、だと思う」

「はい、よろしくお願いします!勇者様!魔王様もご挨拶しますか?」

「まーちゃ、ちゅう!」

「じゃあ、よろしくってしましょうね?」

「あい!まーちゃよぉ!こぉわレーヤよぉ!よぉ~くぅ!」

「魔王様とこっちはレーヤだよ!よろしく!だってさ」

「ん、こっちこそよろしく魔王」

「あい!」


勇者様と魔王様の可愛らしい挨拶が終わるとサージさんが瑠璃くん達のこれからの事を話してくれた。


「確か、、、ルリだったな?」

「うん、そうだよ」

「ルリはレーヤと一緒に魔王様の世話係りをして欲しい。そして勇者様は魔王様と一緒に育てる」

「うん、別に良いけど僕はあまり赤ちゃんの世話って分からないよ?なんとなくは分かるけど」

「そこはレーヤが分かるから問題ない。ルリに頼みたい事はレーヤが離れる時に魔王様の側に居る事だ」

「それくらいは他の人も出来るんじゃないの?」

「あ!瑠璃くんは知らないよな」

「何を?」


オレは瑠璃くんにオレが喚ばれた理由を説明した。

それと、魔王様がオレと離れるとどうなるかも一緒に説明する。


「つまり、魔王は連夜が自分から少しでも離れると不機嫌になって泣くって事かな?」

「そうそう。しかも、魔王様は無意識に泣きながら魔法を使ってくるから近づけないらしくてな?ちなみに、ここに居る三人、、サージさん、メーヤさん、セーラさんの三人が居れば少しだけオレが離れてもちょっと不機嫌になるだけで修まるんだけど、、、三人共仕事があるからさ、、、オレがトイレとかで離れるくらいならまだ良いんだけど、、、風呂とかになると、、さ」

「ああ、お風呂は時間かかるからね。仕事がある人達をそんなに拘束出来ないだろうね」


そう、瑠璃くんが言う通り今までトイレとかの少しの時間ならサージさん達三人の誰かに任せても問題なかった。

問題だったのは風呂の時間だ。

魔王様は赤ちゃんだから長々と風呂に入れるのはのぼせて危ないので今まで別々に入っていた。

当たり前だが、魔王様を風呂に入れるのは世話係りのオレだ。

先に魔王様を洗い湯をかけてから湯冷めさせない為に素早くタオルで魔王様の体を拭き風呂から出してた。

そのあと、魔王様を風呂に入れて体が濡れてるオレがそのまま風呂に入るのだが、、、オレは体を素早く洗って直ぐに風呂を出る。

最初に少しゆっくり入っていたら途中で魔王様が泣き出したので、次からはそうして風呂に入ってたのだ。

その事を瑠璃くんに話すと、瑠璃くんはオレの頭を撫でながら言った。


「頑張ったね。赤ちゃんが、、、魔王様が大事で大好きなのは分かるけど、お風呂はリラックスして入るものだし、疲れをとる為に入るものだからね、、、ゆっくり休めなかっただろ?連夜は頑張ったよ」

「、、、~っ」


最初何を言われて何をやられてるのか分からなかったが、頭を撫でられる事に恥ずかしさを感じ顔が赤くなるのを感じながら、瑠璃くんの言葉が泣きそうになるほど嬉しく感じて何も喋れなくなってしまった。

(ああ、そうか。オレは少し疲れてたのか、、、オレ、、頑張ってたのか)


「あう~?」

「、、、はい、魔王様、、、大丈夫ですよ。少し、、、そう、少し嬉しいだけです」

「あ~?、、あい!レーヤ!うっうっ!」

「、、、はは、、ありがとうございます魔王様」


魔王様はオレが泣きそうになってるのに気づいたんだろう。

オレの頬に触って首を傾げた。

そしてオレが泣きそうな理由を言うと、瑠璃くんの真似をしてオレの頭を撫で始めた。

(ああ、、、赤ちゃんは本当に純粋で無垢で綺麗だ。魔王様は賢いけど優しくて、、、可愛い!!やっぱり魔王様は世界一可愛い!!)


「では、ルリと勇者様は取りあえずレーヤの隣の部屋に住んでくれ」

「うん、分かった。勇者も大丈夫?」

「あい!」

「ん、いいこ」

「案内は私が致します」

「うん、よろしく、、、メーヤ、、さん?」

「私の事はメーヤと呼び捨てで構いません」

「あ、オレ、、私の事もセーラと呼び捨てで大丈夫です!」

「うん、よろしく、メーヤ、セーラ。あと、ありがとう、、、サージ」

「、、、ああ」

「それじゃあ、連夜と魔王はまたね」

「おう!後で部屋に行くな?」

「うん」


そう言うと、瑠璃くんと勇者様はメーヤさんに着いて行き部屋を出ていった。


「後でちゃんと挨拶しましょうね?魔王様」

「あい!レーヤ!」


オレと魔王様はサージさんとセーラさんに連れられて謁見の間に戻った。





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