勇者様が向かって来てる!?
オレは魔王様の座る豪華な椅子に魔王様を抱っこして座っている。
オレの座っている椅子の手前には一階分くらいの階段があり、その階段のしたの両側にオレの補佐になったメーヤさんとセーラさんが立っている。
そして、オレの座っている椅子の直ぐ隣にサージさんが立って魔王様に何か (多分、政治とかの難しい話)を報告している人の話を聞いている。
そう、コレは魔王様の仕事の一つだ。
魔王様は魔族の王様で魔族をまとめる者だ。
ただ、魔王様はまだ赤ちゃんなので今までは魔王の仕事より健やかに育つ事が第一だった。
それに、魔王様はオレが現れるまで誰にも懐かなく、泣くと雷等の魔法を無意識に使って周りを遠ざけていたので仕事を任せる処ではなかったのだ。
オレが現れるまで!
つまり、オレが現れて大人しくなった魔王様に何となくでも仕事を覚えてもらう為に、魔王様が泣かないようにオレを同伴させて魔王様の仕事の様子を見せている所だそうだ。
ちなみに、コレはサージさんが教えてくれた情報だ。
「~、ーー、~、~です。これにて仕事の報告は以上になります」
「そうか、、、特に問題はないのでそのまま進めてくれ」
「はっ!、、、それと、仕事関係ではありませんが緊急を要する報告がございます」
「緊急?、、、話せ」
「はい、、、サージ様はご存知だと思いますが、人の国に何人か間者を送っておりますよね?」
「ああ」
「そのうちの一人からの報告なのですが、、、勇者が現れこちらに、、、魔王様の居りますこの城に向かって来ているそうです」
「勇者が!?、、、それは、、、緊急会議を開かなければならないな、、、よく報告してくれた」
「いえ」
「これから緊急会議を開かなければならなくなった。各所の『長(おさ)』達に緊急会議をすることを伝えてくれ」
「はっ」
サージさんにそう言われた人はサージさんとこちら、、、魔王様に一礼をして下がっていった。
(勇者?、、、え!?勇者!?)
「サージさん!勇者って!」
「ああ、、、、随分と早いがもうこちらに向かって来ているみたいだ」
「えっと、、、それは、その、魔王様を倒す為にですか?」
「多分な。我々魔族と協定や共存を望んでいる国もあるが、我々魔族を悪として討伐しようとしてくる頭の固い連中も居るのだ」
「え?それって、その、、、ただの思い込みでって事ですか?」
「ああ、そうだ。大昔ならいざ知らず、今は我々魔族も穏やかに人とも共存している者が多いというのに、、、神界(しんかい)や教会の奴らだろうが」
「しんかい?きょうかい?」
「我々魔族と正反対の神の力を持った天使共とその天使共を崇拝している者達の事だ」
「ああ、神様の神で神界ですか。それともう一つはあの教会の事ですか」
「ああ、ソイツらが何を吹き込んだのか知らんが、魔族の悪口を言って勇者を此方に向かわせ、勇者に魔王様を倒させる算段だろう」
どうやら勇者っていう者はこんなに可愛い魔王様を倒す為にここに向かって来ているらしい。
(けど、その神界の奴らと教会の奴らが悪口を言ってこっちに向かわせてるっていっても、魔王様がこんなにプリティーな赤ちゃんってのは知らねぇだろうから勇者の方は説得したらワンチャンあるかもな)
勇者到着まであと、、、一週間
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます