第15話

3時間目が始まった。

授業中、真由ちゃんから手紙が回ってきた。

折ってある紙を開いた。


「やよいちゃんへ。

さっきのはなしだけど・・・

好きな人かぶっちゃったね(T_T)

おたがいがんばろおね!


h/k(話変わるけど、の略)

日曜日、さっちゃんと、買い物に行かない?

お母さんが車で送ってくれるんだって。

まゆより」


好きな人が被ってしまったことを気にして、フォローの手紙をかいたのだろう。


「おたがいがんばろおね」


か・・・。


弥生ちゃんは、きっと何か頑張らなければならないのだろう、と思った。


ちらっと真由ちゃんの席(右斜め前の方向)を見ると、顔だけこちらに向けて、様子を伺っている。


弥生ちゃんは、授業中なので、小さく手を振った。


真由ちゃんは可憐に微笑んで手を振り返した。


真由ちゃんは男の子、女の子、関係なく女神のような可憐な微笑みを配っている。


弥生ちゃんは、真由ちゃんのことが好きだと思った。


終わりの会が終わった。

がたがたとにぎやかな音が鳴る。

皆が掃除のために机を下げている。


真由

「弥生ちゃん、帰ろ!」


真由ちゃんは、いつもまず弥生ちゃんに声をかける。


「幸ちゃんも!」

そのあとに幸ちゃん。


それが弥生ちゃんは嬉しい。


「うん!あ、待って。私掃除当番かも。」


黒板の横にある、☆掃除当番☆とかいてある表を見に行く。

くるくると回せるようになっていて、1~7の数字がかいてある。

矢印の下には、6とかいてあった。

弥生ちゃんは6班だ。


「あ、掃除当番だ。」と幸ちゃん。

「そっかー、残念。」と真由ちゃん。


3人の中で掃除当番の人は帰りが遅くなるので、2人には先に帰ってもらっているのだ。


真由ちゃんと幸ちゃんは「弥生ちゃん、バイバイ。」と手を振って言った。


弥生ちゃんも「バイバイ。」と言って手を振った。


弥生ちゃんは田中くんと同じ班なのを思い出した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る