第13話

ちょっと!!全然違うんだけど!!

と弥生ちゃんはダラけて寝そべっている猫に向かっていった。


良いじゃん、お姫様役。


と猫は顔だけこっちに向けて言う。


謝るならまだしも、全く悪そうじゃない様子に腹が立ってくる。

っていうかなんで猫ってこんなにだらけてるの、いつもいつも。


腹が立った弥生ちゃんは、猫のしっぽを思いっきり引っ張った。


ぎゃっ


痛いよ!


ふん、そっちが悪いんだからね。


弥生ちゃんって人間が相手だったら優しいのに猫が相手だとこんなに暴力ふるうの??


だって猫だったら気を遣うこともないし。


二重人格!そんなことをしていると、いつかやり返されるよ。


・・・。


今回は僕の調査不足だったことは認める。ごめんにゃさい。


そういうと、猫は立ち上がってぺこりとお辞儀をした。

顔をあげて、こちらを見つめてくる。


かわいこぶってるつもりなのかなあ。


切り替えて、二つ目のお願いを聞くよ!


今度はちゃんとやってよ?


まかせなさい。


お願いかあ・・・何かあるかな。


・・・。


あ、そうだ!


弥生ちゃんはそういうと、急に喋るのを辞めた。

思い出し笑いでもしているのだろうか、口元が笑っている。


猫は、「言いなさい!この猫様に!なんでも叶えてあげるから!」

と催促した。


えっと・・・


私、実は、好きな人がいるんだよね。

喋ってみたいなあ~、なんて、ね。へへ。


にゃるほど・・・コイバナか。よし、この猫様に任せなさい!!


ほんとう?頼りになるう!!猫様


うむ。その好きな人とやらは、塾の男の子か?前言っていた・・・えーっと・・なんだっけ。


辻君のこと?


そうそう!そんな名前の!


違うよ!私が好きなのは、田中くん。学校で同じクラスなの。


ほう。そいつはどんな奴なんだ。


運動神経抜群なの。みんなの人気者でね。一回だけ喋ったことがあるんだけど、かっこよくって。緊張して全然喋れなかった。

そうだ!田中くんと喋らせて!


普通に話しかけたら良いんじゃないか。


そんなの無理に決まってるじゃん。


なんで?


だって・・・。

喋りかけられないし・・・。


と弥生ちゃんは小さな声で反論した。


猫は、はあ、とため息をついて言った。

全く本当に弥生ちゃんはおとなしいというか。


だって・・・


でも、良いぞ!そんな弥生ちゃんのために、この猫様はいるんだからな!!


ほんとう?!ありがとう!!!


うむ。

とりあえず、田中くんが弥生ちゃんを好きになるようにしとけば良いんだな。


ちょっ、ちょっと待って!そんなことできるの??


簡単さ。


す、すごい・・・!


なんだって、僕は猫様だからだ。


ははー、猫様。


イエーイ


そういうと、猫は笑ってピースをした。


ラブラブになあ~れ。

にゃんにゃん。


そういうと、猫は踊りを踊り始めた。


よし、これで、バッチリ!!

2人はラブラブだぞ。


本当?


本当さ。明日が楽しみだなっ!!


そういうと猫は笑った。

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