第12話
次の日の朝。
あー、今日も普通に学校か・・・
めんどっちいなあ。
あ、でも。
弥生は昨日のことを思い出した。
「明日学校に行ったらわかるさ。」
という、黒猫の言葉。
本当なのかな。
本当に私、
真由ちゃんみたいな人気者に?!
ドキドキ。
〜〜〜
学校についた。
ドキドキ。
いまのところなにも変わったことはないな。
いつも通り、下駄箱で靴を履き替えて、階段を登る。
教室の前まできた。
五分前のチャイムが鳴った。
ガララッ
扉をあけた。
黒板の前に、真由ちゃんと幸ちゃんが立って話していた。
「あっ、弥生ちゃん!」「おはよー!」
2人は弥生に気付いて言った。
「おはよう」
と弥生ちゃん。
教室のいつもの風景。
なんだあ。
いつもとおんなじじゃん。そう弥生が思った時、真由ちゃんが言った。
「弥生ちゃん、すごいね!」
「すごい、すごい。」
と幸ちゃんも。
教室にいる他の人たちもこちらを見る。
「あ、弥生ちゃんじゃん。」
「弥生ちゃん、」
「弥生ちゃん、頑張って!」
「弥生ちゃん、本当にありがとう」
みんなが弥生の周りに集まってきた。
クラスの喋ったことのない男子も女子も、みんな。
なんのことか分からなかったけど、
「えへへ」
と弥生は笑ってみせた。
ばけねこが、願いを叶えてくれたんだ。
私、クラスの人気者になったんだ!
すごく良い気分。
誰かが私に注目している。
みんなが私に注目している。
真由ちゃんがにこにこ笑って
「昨日は、ほんとにびっくりした。
お姫様役に立候補するなんて。」
と言う。
へ?
お姫様、役?
お姫様じゃなくて????
私、クラスの人気者になったんじゃないの?
「うんうん。誰がお姫様役やるのかな、って思ってたから。
まさか、弥生ちゃんが立候補するなんて。」
と幸ちゃんが言う。
みんなも口々に、すごい、と言う。
確か、昨日の6時間目。
総合の時間だった。
「大発表会」でやる劇の役を決めたのだった。
「大発表会」というのは、一年生から6年生までの全員で行う発表会だ。
先生や保護者も観に来る。
教室ごとに劇や歌を練習をして、体育館のステージに立って発表するのだ。半年かけて、歌や劇を練習するのだ。
弥生たちのクラスは、「オーロラ姫」の劇をやることになっていた。
私、昨日、立候補したっけ、、?
記憶を辿ってみても、そんな記憶はどこにもない。
そもそも、目立つことが苦手で引っ込み思案な弥生ちゃん。
お姫様役に立候補する訳がないのである。
たしか、真由ちゃんや幸ちゃんと一緒に、森の動物役になったはず。
セリフもちょっとだけだし、楽だからって。
一緒に覚えようって言ったじゃん。
はっ。
もしかして、ばけねこのせい??
私がお姫様になりたいって言ったから??
弥生は猫がウインクをしているところを思い出した。
得意げな顔をして。
そんな・・・。
「お姫様」になりたいって、「お姫様役」がやりたいってことじゃないよ!!
「はい、これ台本。」
学級委員の村田さんが話しかけてきた。
「オーロラ姫は出番も多いし、セリフも多いから早めに渡しとくね。
弥生ちゃん、頑張って!」
「うん、ありがとう・・・。」
出番も多いし、セリフも多い・・・??
そんな〜
あのばけねこめー
じゃなくて、バカ猫!
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