第9話

みっくー!!


弥生ちゃん!


昨日の夜からずっと楽しみだったの。あ、これあげる。

みっくはグミの袋を開けて、一粒渡した。


ありがとう、と弥生。


こんなにキラキラしているみっく初めて見たかも。

弥生まで楽しい気分になってきた。


はやく行こう。ばけねこ見たい!


そういうと、みっくは走り出した。


三つ葉山の駐車場に着いた。


黒猫は地面に寝そべったまま、顔だけ動かしてこちらを見た。


黒猫を発見した2人は、

「あー!」と言って走り寄る。


「なんだ?今日は2匹に増えたのか。」と黒猫。


「2匹ってなによー!ほんっと、ムカつくなあ。」と弥生。


みっくは、目をキラキラさせて、

「すごーい。」

と言って近づいていく。


目線をあわせて、「はじめまして。」と丁寧にお辞儀をした。

初対面だからか、みっくは礼儀正しい女の子モードになっている。


黒猫は、

「うむ。このお嬢さんは感じが良いな。もう1匹とは違って。」

と弥生をチラ見した。

「いきなりしっぽをつかんできたり、猫に対する態度がなってない。」

気がついたら、人間のように立ち上がっている。


「猫に対する態度ってなによ!!」と弥生。


人間に向かって、偉そうに説教するなんて!!


みっくは笑いが堪えきれない、といった顔をしている。

「クックック。あー、ほんと面白い、弥生ちゃん。」




面白いなんて初めて言われた。





みっくが黒猫に近づいて、触った。

黒猫は大人しく撫でられている。

だんだん心を許してきたのか、仰向けになった。


あっ!

とみっくが言って、走り出した。


弥生が

どうしたのー?

ときくと、


あれ。

と指を差す。


あ。

ねこじゃらしだ。

と弥生。


2人はねこじゃらしをもって猫に近づいた。


おーい。

と弥生


猫は弥生のほうを見ると、プイッと顔を背けた。


みっくが持っているねこじゃらしを見ると、飛びついた。

つかまえて遊んでいる。


んー、やっぱりムカつくなこの猫・・・。


だけど、かわいいな。


えへへ〜。


2人とも猫に夢中である。


すると、みっくが、

そういえば、時間大丈夫かな?


と冷静に言った。

一気に現実に引き戻される。


そっか、塾・・・


弥生は途端にげんなりした気持ちになった。


そういえば、私まだ宿題やってないんだった。

ヤバイじゃん、はやく行こっ。

うん・・・。


じゃあね、黒猫ちゃん。


ばいばい。

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